清原果耶、主演映画『青春18×2』で初の国際プロジェクト参加 海外スタッフの“意識の高さ”実感
俳優の清原果耶が、日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)で、台湾俳優のシュー・グァンハンとダブル主演を務めた。公開を前に取材に応じ、“作品づくり”への思いや異国の地での体験を語った。
中国語を話すシーンにも挑戦
俳優の清原果耶が、日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』(5月3日公開)で、台湾俳優のシュー・グァンハンとダブル主演を務めた。公開を前に取材に応じ、“作品づくり”への思いや台湾での撮影体験を語った。
本作は、国内興行収入30億円超のヒットを記録した『余命10年』の藤井道人監督最新作にして初の国際プロジェクト、日台合作映画だ。台湾で話題を呼んだジミー・ライの紀行エッセイ『青春18×2 日本慢車流浪記』を原作とし、日本映画界が今最も注目する藤井氏が脚本・監督を務めた。グァンハン演じるジミーと、清原演じるアミが“日本×台湾”“18年前×現在”を舞台に紡ぐ、今年一番泣ける切なくも美しいラブストーリーだ。
清原は「アミューズオーディションフェス2014」でグランプリを受賞し、ファッション誌「nicola」(新潮社)の専属モデルやNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』の主演を務めるなど活動を続けてきたが、国際プロジェクトへの参加は初となった。
藤井監督から清原に、直接「こういう作品があって、果耶ちゃんどうかなと思ってるんだよね」とオファーがあったようで、「藤井監督とは過去にもご一緒したことがあったので『藤井監督がそう言ってくれているなら絶対にやる!』というテンションでした」ときっかけを説明した。
また、「その時は“合作”や“国際プロジェクト”ということはあまり考えずに『藤井さんと作品作りがしたい』という気持ちで。私にとっては、“作品作り”でしかなかったです。台湾の仲間ができて、その仲間たちとみんなで1つの作品を作ったっていう事実に何も変わりはなくて、ただただ懸命に取り組みました」と率直な思いを明かした。
藤井監督とのタッグは、2019年『デイアンドナイト』、20年『宇宙でいちばんあかるい屋根』に続いて3度目だ。
「藤井監督の演出は、すごく俳優部に寄り添ってくださいます。俳優部が迷っていても答えをポンっと渡すのではなくて、一緒に迷いながら、なぜ迷っているのかも探してくれて、『こっちの方面に進んできて』と道しるべを出してくれます。答えを押し付けない感じがすごく好きです。役者側にも考える余地を残してくれるんです」
本作のクランクインは、いきなり終盤のシーンからの撮影だった。清原は「初日からどうしろと!?」と戸惑いもあったようだが、「監督が申し訳なさそうな顔をしながら説明をして『やってみましょうか』と言ってくれて。私も『やってみます!』という気持ちで取り組めました」と、2人がこれまでに培った関係性があったから乗り越えられたと話す。
そんな清原が演じたアミは、天真爛漫でどこかミステリアスな部分を持ち合わせている。
「『好奇心があって、自分の考えを軸に頑張るよね』と言われることがあるので、そこはアミと似ていると思います。なににでも好奇心や興味を持って反応できるところがアミのかわいい部分だと思っているので、そこが際立つといいなと思っていました。私も台南に行ったのは初めてだったので、アミと一緒の気持ちで、初めて見るものや触れるものに反応できたらいいなと。
それ以外の役作りはそこまでしなかったです。ジミーと会ってみなきゃ何も始まらないと思って。台湾に行ってみて、みんなの空気感に合わせてできたらいいなと思っていました」
日本から台湾を訪れるバックパッカーという役どころで、撮影も実際に台湾で行われ、現場では中国語が多く飛び交っていた。
清原も中国語を話すシーンがあるが、「中国語は事前に音声をいただいて聞きつつ、難しい発音やアクセントは現場にいらっしゃった通訳の方に『あってますか?』と確認しながら進めていました」と現場スタッフの協力に感謝した。
そんな台湾の現場では、スタッフ陣の“意識の高さ”を実感したという。
「『今日はこのシーンのために頑張りましょう』という共通認識を持っていて、終わったら『じゃあね、バイバイ』って。時間に乗っ取られている感じではなくて、丁寧かつ活気にあふれた現場でした。
撮影現場によって演じる側の気の流れも変わるので、みんなで同じ方向を向いているというのは安心感がありましたね」
完成品を見たときには「涙が止まらなかった」
台湾での思い出を聞いてみると、思い出しながら自然と口角がゆるむ。空き時間にはアミのように台湾を満喫したようで、「人が優しいですね。撮影の合間に夜市も行ったんですけど、日本語も通じるし、リラックスできました」となじんでいた様子。
「朝ご飯のおかゆがおいしかったし、散歩をして写真を撮ったり、役以外の部分でも勝手に旅をしていました。思い出のある場所になりました」と台湾での日々を笑顔で振り返った。
2か所での撮影を無事に終え、完成品を見たときには「涙が止まらなかった」と明かした。
「自分が出演した作品を客観的に見られないタイプなんですけど、今回は特にそうでした。撮影から約1年ぐらいたっているのに、アミの記憶を覚えすぎていて。エンドロールまでずっと泣いていました。
優しくて柔らかいお話で。タイトルにもある通り、“青春”と“初恋”の話ではあるんですけど、『青春がどんなものだったか』を振り返ると、何気ない日常が全部青春のひとかけらで。その何気ない日常の大切さが身に染みて分かるということを、大人になったジミーと一緒に振り返られるというところがこの作品の魅力なんだろうなと思っています」
本作への出演は、“海外のエンタメ”に今まで以上に触れたいと思う新たなきっかけにもなった。
「この作品に出演させていただいて、これから先、日本以外の作品を見るときの視点が変わるような気がしました。そこまで距離を感じることなく見られるんじゃないかなと思っています」
清原は主演舞台『ジャンヌ・ダルク』(23年)での演技が評価され、『第31回 読売演劇大賞』の新人賞にあたる杉村春子賞を受賞したが、舞台作品と映像作品について「全然違いましたね」と口にする。
「感情を扱う仕事という点では変わらないんですけど、舞台は生でずっと全身を見られているし、数ミリの移動が命取りになる表現の繊細さというか。壮大な舞台に見えて、演出家さんとの細かい緻密な作業と計画の上で成り立ってるというところが楽しかったです。映像は映像で、絵のはかなさや力強さも両立しているところがいいところだと思っています」とそれぞれの魅力にも気付けたようだ。
今後も映像作品に舞台作品、日本のみならず国外の作品とさまざまなフィールドで活躍するために、突き進んでいく。