ヒコロヒー、俳優業や執筆活動は「他にない強み」 笑いのネタに昇華「経験をしゃべれる」
“国民的地元のツレ”ヒコロヒーは1月31日に初の短編恋愛小説集『黙って喋って』を発売した。その後、ミュージシャンの奇妙礼太郎とトークライブを実施。芸人以外にもドラマや執筆など幅広く活動するヒコロヒーが、“畑”の違う仕事にも取り組む胸中を明かした。
ブレークから2年「忙しさには慣れました」
“国民的地元のツレ”ヒコロヒーは1月31日に初の短編恋愛小説集『黙って喋って』を発売した。その後、ミュージシャンの奇妙礼太郎とトークライブを実施。芸人以外にもドラマや執筆など幅広く活動するヒコロヒーが、“畑”の違う仕事にも取り組む胸中を明かした。(取材・文=島田将斗)
クロちゃんやなすなかにしと並び、松竹芸能の顔であるヒコロヒー。2021年には日向坂46の齊藤京子との冠番組・テレビ朝日系『キョコロヒー』も始まり、大ブレークした。、数々のバラエティー番組に出演する中、俳優としても活動し、22年のフジテレビ系連続ドラマ『ミステリと言う勿れ』などにも出演している。まさにマルチの活躍をしており、『GQ MEN OF THE YEAR 2023』では「ブレイクスルー・エンターテイナー賞」を受賞した。
テレビ放送の調査・測定を行うニホンモニターの「2021テレビ番組出演本数ランキング」では、ヒコロヒーがブレイクタレントの5位にランクイン。20年に18本だった出演本数は1年で210本まで伸びた。環境が激変した当時についてこう振り返る。
「自分が勝手にそこまで頑張らなくていいことも、すごく頑張ってたし、もう毎日緊張するし、不安やし、知らん人と同じ現場やしとかで……わーって一番なってた時代ですよね」
23年には日本テレビ系連続ドラマ『だが、情熱はある』の演技も話題に。ブレーク当時と比べ仕事の幅も増やしているが、現在は逆に心が安定しているという。
「忙しさには慣れました。初めて嫌なことがあると、ガシーんと来る。10回、20回となるとそれは『知ってるやつ』ってなる。知ってる経験が増えてくれたおかげですよね」
『キョコロヒー』では齊藤京子とともに楽曲「After you!」をリリース。23年12月22日放送のテレビ朝日系『ミュージックステーション SUPER LIVE 2023』で初披露した。2月3日に行ったトークライブではファンの前で心境をこう打ち明けた。
「私は歌手でもないですし、歌も上手なわけではないです。『歌を歌いたくてこの世界に入ってきたわけじゃない』っていうのがあって。最初から番組で『やりたくない!』って言ったんですよ」
「やっぱり気恥ずかしいし、やりたかったかと言われたら絶対にやりたくなかったプロジェクト。でも何が救いになるかというと『After you!』を聴いて『励みになった』『いい曲だ』とかそう言ってくれる人がいるとやって良かったなと思えるんです」
トークライブでも奇妙とともに歌う姿はあった。“畑”の違う仕事をどう捉えているのか。
「もう、勉強させていただこうと。自分の仕事はありがたいことに経験をしゃべれる。お笑いの人たちが経験してないことをさせていただけたら話せますし、それは他の人にない強みになるなと」
それでも複雑な気持ちもある。お笑い以外の仕事について「もう、忍びない。『自分みたいなものが』という気持ちです。自分もそうでしたけど、その道を目指して長い下積み時代を過ごしている方に失礼のないようにという気持ちです」と謙遜するが「それでも自分を選んでくださったことで良い方向に進んでほしいと思ってもいます」とうなずいた。
初の小説も発売。本の中で見せるワードセンスはミュージシャンである奇妙も一目置いている。思わず「表現力やばい」と書き込んだそうだ。決して簡単ではないが、笑いに使う脳とは全く違う。
「締切前に書かなあかん状況になって、とにかくひねり出すみたいな。なにかを見て本に書いたとかは全くないです。笑かさなくていいってところは気楽ですよね」
ブレーク当時は借金などのエピソードから、“クズ芸人”として紹介されることも多かった。最近では俳優らと肩を並べイベント登壇。紹介のされ方は明らかに変化している。本人は何を感じているのか。
「私がやることはなにも変わっていないです。どういう枕詞をつけられるかは、それを勝手に書いている記者やメディアのセンス。そういう部分で“クズ”とつけられているなという感じですね。自分が大きく変わったとは思っていないです」