デビュー8年でついに王座戴冠→翌年に引退 角田奈穂の決断「次にやりたいことが明確に」

2015年にアクトレスガールズのリングでデビューし8年目の2023年、角田奈穂は初めてチャンピオンベルトを手に入れた。実はその裏で、なんとなくプロレスラーとしての身の振り方を模索していたという角田。7月いっぱいで東京女子プロレスを卒業し、プロレスラーを引退する角田が今考えていることとは……?

角田奈穂はどのように東京女子を卒業していくのか【写真:橋場了吾】
角田奈穂はどのように東京女子を卒業していくのか【写真:橋場了吾】

デビュー8年で「無冠の女王」の称号を返上

 2015年にアクトレスガールズのリングでデビューし8年目の2023年、角田奈穂は初めてチャンピオンベルトを手に入れた。実はその裏で、なんとなくプロレスラーとしての身の振り方を模索していたという角田。7月いっぱいで東京女子プロレスを卒業し、プロレスラーを引退する角田が今考えていることとは……?(取材・文=橋場了吾)

 角田の安定感ある試合運びは高い評価を得ていたものの、なかなかには縁がなかった。「無冠の女王」と呼ばれていた時代もあったが、ついにチャンピオンになる日が訪れた。2023年10月9日、東京たま未来メッセで開催された東京女子のビッグマッチ『WRESTLE PRINCESS IV』にて、「ふりーWiFi」のパートナー・乃蒼ヒカリとともにプリンセスタッグ王座を獲得したのだ。

「(デビューから)8年ですよ! なかなかいないですよね、8年もかかるって(笑)。ベルトに関しては、チャンピオンになるまで意地でも触れないと決めていたんです。冗談でも肩にさげるようなことはしたくなくて、それくらいチャンピオンになることは夢だったので。(ベルトをレフェリーの)木曽さんから渡された感覚は今も覚えています。『やっと』だという気持ちでしたが、なかなか実感は湧きませんでした。あの試合(ふりーWiFivs上福ゆき&桐生真弥)は、もうめちゃくちゃにボコボコにされて、結構しんどくて(笑)。控室に戻ってベルトが目の前にあっても実感がわかなくて、(試合終了後の)サイン会でお客さんに『おめでとう!』『チャンピオン!』と声を掛けられてようやく実感しましたね」

 角田がチャンピオンになる予感はあった。同年4月に、当時瑞希が保持していたプリンセス・オブ・プリンセス王座に挑戦表明したのだ。それまで王座獲りへの動きを見せていなかった角田だったが、瑞希への挑戦を申し出た角田のマイクをファンは後押しした。

「普通に考えたら、最高峰のベルトにいきなり挑戦表明するというのはむちゃくちゃだと思うんですが(笑)、あれは(東京女子参戦前から面識のある)瑞希さんが持っていたベルトというのは大きかったですね。2番目、3番目に挑戦するのは意味がないと思って、1番目に挑戦したいなと思いました」

プロレスラー生活8年目にして初のタイトルを獲得【写真:東京女子プロレス提供】
プロレスラー生活8年目にして初のタイトルを獲得【写真:東京女子プロレス提供】

次のステップのために7月いっぱいで引退、舞台からも姿を消す

 残念ながら瑞希に惜敗した角田だったが、先述のタッグ王座を獲得した。しかし、王座を返上することになり、3月13日に東京女子プロレス卒業、プロレス引退、そして舞台活動からも身を引くことを発表した。

「一昨年くらい前から『あと1、2年かな』とずっと考えていたんですけど、ベルトは獲れていないし、レスラーとしての目標も達成できていない。だから、ベルトを獲れないまま引退したら一生後悔すると思っていて。そんな中でようやくタッグのベルトを獲れたと同時に、自分の人生で次にやりたいことが明確にできて、そこに向かっていくのは今かなと思ったのが昨年だったんです」

 角田の引退発表には元を含む多くのレスラーが反応した。その中には、昨年11月12日にDDTの両国国技館大会で引退した赤井沙希もいた。

「赤井さんとは同じ年で、私が引退表明した後にお話しすることができたんです。実は、赤井さんが引退ロードを歩んでいるときに、私もまだ会社には話をしていなかったんですが引退を考えていたので、自分に重ねて見ていたんです。赤井さんは最後の最後まで『強く、気高く、美しく』でした。私には眩しすぎて自分とは違うなとは思ったんですけどね。東京女子の赤井さんのラストマッチのときも、残り数試合になった選手は今どういう気持ちなんだろうとみていました。赤井さんに聞くと、赤井さんは赤井さんで私が引退会見してから重ねてみていたらしくて。今度ゆっくり話しましょう! と約束しました(笑)」

 そしてもう一人、忘れてはならないレスラーがいち早くXでリアクションした。アクトレスガールズ時代の同期、安納サオリだ。「なぁ角田 久しぶりにリングで会いたいんやけど」。このシンプルなポストは、角田の胸にも響いた。

「引退試合は7月のどこかになるとは思うのですが、今誰と戦いたいのか、シングルがいいのかタッグがいいのか、タッグだとしたら隣は誰がいいのか、悩みに悩んでいて。会見でも言った通りで戦いたい選手はいますが、それは想像におまかせします(笑)」

※インタビュー後に、角田の卒業試合は7月25日に新木場1stRINGで開催される『角田奈穂卒業記念興行~キミタチハ イッショウノ タカラモノ~』で行われることが発表された。

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