【電波生活】『世界くらべてみたら』ネタ発見の驚き舞台裏、番組Pが明かすこだわり「現地の人には気付かないことがある」
『せかくら』の愛称で知られるTBS系『世界くらべてみたら』(水曜午後8時)のロケはタイトル通り世界各国で行われている。日本人だけでなくスタジオゲストの外国人も自国と比較して驚く世界の意外な文化や風習などを紹介している。毎回どうやって驚きのネタを見つけているのか。プロデューサーの田崎真洋氏に番組作りのこだわりや舞台裏の奮闘、MCの国分太一と上白石萌音の様子も取材した。
MCの国分太一、上白石萌音らが世界の意外な文化や風習紹介
『せかくら』の愛称で知られるTBS系『世界くらべてみたら』(水曜午後8時)のロケはタイトル通り世界各国で行われている。日本人だけでなくスタジオゲストの外国人も自国と比較して驚く世界の意外な文化や風習などを紹介している。毎回どうやって驚きのネタを見つけているのか。プロデューサーの田崎真洋氏に番組作りのこだわりや舞台裏の奮闘、MCの国分太一と上白石萌音の様子も取材した。(取材・文=中野由喜)
「世界各国で暮らしているメディア向けのコーディネーターら基本的に現地に住んでいる人から生の情報をもらっています。ネットで調べても本当かどうかはっきりしないこともあります。やはり現地に住んでいる人に、日本ではこうですが、そちらの国はどうですか、といろんな質問を投げかけて面白そうな情報を集めています」
もう一つ大事にしているこだわりがあるという。
「海外ロケは、事前取材で得た情報だけでなく現地でディレクターが自分で面白いと思った情報を必ず一つは見つけるように努めています。現地の人には当たり前すぎて気付かないこともありますから。以前、ベルリンの街をロケハンしていたら既視感のある景色に遭遇したんです。まるで新橋のレンガの高架橋。SLがあれば完全に新橋と思うほど。翌日、現地の方に聞くと、新橋がベルリンをモデルにして造ったそうです。これは現地で得たネタ。放送しました。現場で発見して自分たちが驚いたネタは視聴者にもライブ感が伝わります。現場で新たなネタを見つける姿勢を大事にしています」
そもそもメディア向けのコーディネーターとはどういう人なのか。
「日本のメディア向けのロケコーディネーションに特化した人たちです。メジャーな国にはほぼいます。スーパーでロケをしたいとお願いするとロケに協力してくれるお店を探し、面白いサービスや商品の情報も提供してくれます。我々が現地に行くと通訳もしてくれてスタッフの仕事も手伝ってくれ本当に感謝しています。だいたい日本人ですが日本語を話せる現地の人もいます。『先週は他局のロケでした』と言う人が大勢います(笑)」
スタジオにはいろんな国の外国人ゲストがいる。どういう人なのか。尋ねると重要な役割も担っていた。
「タレントもいれば学生やビジネスマンなどさまざまです。我々が彼らに求めている役割はロケのVTRに出でこない面白い情報や、その国の人だから知っている情報を話してくれること。でも難しいんです。日本語を話せる人は、ある程度、日本に住んでいて、長く住めば住むほど現地の情報が古くなりがちです。そこで彼らには帰国した際に新しい情報を仕入れてきてもらったり、母国で暮らす家族に連絡を取ってもらったりして、情報をアップデートしてもらっています。面白い情報が入ることを期待しています。実際に彼らの情報をもとにロケを行い放送されたこともあります」
国分太一は「いつもフィードバックしてくださいます」
ここでテレビでは分からない舞台裏のエピソードも尋ねてみた。まずは国分の舞台裏の様子から
「太一さんは収録後にいつも、あの企画のここが良かったとフィードバックしてくださいます。アドバイスだけでなく、ガーナのゴミをアート作品に仕上げ、その売り上げの一部をガーナに還元しているおもしろい日本人芸術家がいるよ!と紹介してくれて企画になったこともあります。すごい制作者。一緒に作らせていただいている感覚です」
そして上白石の様子も明かしてくれた。
「スタッフ全員、上白石さんのファンになっています。バラエティー番組をすごくリスペクトしていてポジティブにいろんなことにチャレンジしてくれます。上白石さんがよく言うのが『バラエティーはものすごい芸術です』という言葉。バラエティーは台本があって無いようなもので、出演者スタッフ一丸となってその場の瞬発力で笑いを作るのはすごいと常々話してくれています。海外ロケに行ってもスタッフのこともリスペクトしてくれています。かといって、ただ言われたことをやるのではなく彼女自身のもっとこうした方が良いのでは?というアイデアも提案してくれます」
最後にロケ中のハプニングも聞いてみた。
「番組がまだ深夜枠だった6年前、スタッフがアフリカのある国に取材に行った際、現地に着いたら対応してくれたのが当初やりとりしていた日本人ではなく現地の人だったんです。基本的にコーディネーターへの支払いは振り込みですが、その人が『振り込みは信用できない。今すぐ現金で払わないと帰さない』と怒って、ディレクターが帰国できなくなったことがありました。アフリカの別の国のコーディネーターに頼んで現金を届けてもらい、ディレクターは4日遅れで何とか帰国できました」
他にも海外ロケ中心の番組ならではのことが……。
「番組で密着している世界一周中の日本人家族がイスラエルでホームステイをした様子を放送したことがあります。その日本人家族がイスラエルを去って数か月後、イスラエルとハマスの紛争が始まり、ホームステイ先の人が戦争で亡くなったと聞きました。イスラエルでの戦争状態は多くの日本人には遠い国の話に感じるかもしれませんが、こういう番組をやっていると身近に感じます。ロシアやウクライナも以前はよくロケに行っていましたが今は行けません。当時撮影に協力してくれた方々の安否も気になります。世界情勢にすごく敏感になりますし、身近に感じます」