『日本統一』映画版、誕生秘話 山口祥行が主演・本宮を説得「泰風は乗り気じゃなかった」

大人気オリジナルビデオ・シリーズ『日本統一』の10周年記念作が、本宮泰風主演の映画『氷室蓮司』(4月12日公開、辻裕之監督)だ。本作の発起人である俳優・山口祥行(52)が、舞台ウラを語った。

インタビューに応じた山口祥行【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた山口祥行【写真:ENCOUNT編集部】

台湾で初の海外ロケも敢行

 大人気オリジナルビデオ・シリーズ『日本統一』の10周年記念作が、本宮泰風主演の映画『氷室蓮司』(4月12日公開、辻裕之監督)だ。本作の発起人である俳優・山口祥行(52)が、舞台ウラを語った。(取材・文=平辻哲也)

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『日本統一』は横浜出身の不良、氷室蓮司(本宮)と田村悠人(山口)が日本最大の任侠団体「侠和会」の盃を受け、極道界の統一を目指して奮闘するシリーズ。50作からは本宮自身が総合プロデュースも務めている。2022年9月にはスピンオフ『劇場版 山崎一門~日本統一~』が映画化されているが、本作はこれまで描かれてこなかった氷室蓮司の父親としての側面をフィーチャーしたもので、台湾で初の海外ロケも行った。

「泰風は、最初、この映画に乗り気じゃなかったんです。レギュラーシリーズでトップにいるから、映画版を作っても仕方ないだろうと。それで、最初にコメディー要素の強い『山崎一門』を作ったんです」

 そこで大きな役割を果たしたのが本宮の親友でもある山口だった。

「北海道篇のロケ中に監督のホテルの部屋で構想を立てたんです。氷室蓮司の奥さんはどうなったのか、子供はどうなったのか、というファンの声も多かったので、伏線を回収しようかみたいな話をして。海外ロケも行きたいな、と」

 妻子の話は初期に登場するが、その後は一切語られない。

「シリーズで家族の話を描いていくと、複雑になりすぎてしまうので、いらないだろうとなったんです。ただ氷室にも、当然家族はいる。そのヒューマンの部分を描いたら、いいんじゃないか、と思っていました。氷室はクールでカリスマ性があるのですが、その分、私生活が見えない。だから、ファンの声に応えたいという思いがあったんです」

 本作では、沖縄での抗争からスタート。ある時、スマホに誘拐された息子・悠太の写真が届く。元妻からの連絡で、修学旅行で台湾にいると知った氷室はすぐさま台湾に向かい、息子探しに奮闘する……。

 初の海外ロケに台湾を選んだのはなぜか。

「これはノリに近い感じでした(笑)。韓国、タイという話もあったんですけど、台湾が一番予算的にもやりやすかった。僕は、監督と一緒に構想を考えた時点で役目は終わりです。あとは予算、枠組みは長けている人がやった方がいいですから。最初のアイデアを出して、泰風にウンと言わせるまでが仕事でした」

 田村も台湾ロケには行かなかった。

「行きたかったですが、そこは我慢でしたね(笑)。今回は監督が脚本を書いているんですが、日本統一ぽくないアウトローなヒューマンドラマになっていると思いました。田村も、もっと出番が少ない予定ではあったんですけど、監督はキャストに愛があるから、出番を書いちゃうんですよ。山崎一門の若い子たちも、最初の脚本には全員出ている。でも、そうやっていくと、2時間半の話になってしまいますから」

 台湾のメインキャストには現地で活躍の俳優を起用。氷室のアテンドをする台湾人通訳・李文環役は、台湾を拠点に幅広い分野のマルチタレントとして活動中の俳優・大谷主水(夢多)が務めた。

「大谷とは三池崇史監督の『藁の盾』(13年)で知り合ったんです。日本から台湾に渡って、頑張っている俳優で、ずっと交流が続いていた。現地の言葉もうまくて、よかったですね。台湾のスタッフ、キャストとの仕事はインするまでは大変だったと思うんです。毎回のことですが、出来上がると、反省点は多いんですよ」

 本作では、氷室の新たな魅力を引き出している。

「泰風の中にある父親像というのが氷室蓮司に乗り移っていると感じました。泰風自身は実際、父親ですからね。泰風いわく、氷室と田村は理想の人間像なんですよ。二人で一つみたいな存在なんです」

 自身が演じる田村にはどう感じているのか。

「自分にも相手にも正直で、行動できる男。率先して、戦場に立てる男だと思います。苦悩があったとしても、その一瞬の感情だけで、周りがいつも助けてくれる。ちょっとかわいらしいところもある。本当に羨ましいやつですよ。クールなリーダーの氷室とは逆で、甘えん坊のところもある。そういう部分はオレに近い部分もありますかね。きっと実際にいたら、今頃、刑務所にいるはずですよ」と笑った。

『日本統一』はシリーズ最新61作がセル&リリース中。メインキャラクターの氷室のアナザーストーリーを描く映画『氷室蓮司』のほか、スピンオフなども展開している。

「鈴木祐介プロデューサーいわく、『日本統一』はスター・ウォーズみたいな感じなんです。シリーズがあって、山崎一門のスピンオフ作品があって、今回の映画もある。今はその先の話を撮っていますが、これからはまた違った展開を見せていきますよ」と予告した。

□山口祥行(やまぐち・よしゆき)1971年8月6日、東京都生まれ。ジャパンアクションクラブ出身。2017年ジャパンアクションアワードベストアクション男優・最優秀賞受賞。主な出演作品に、映画『覇王』シリーズ(16-17)、『アウトレイジ最終章』(17)、『罪の声』(20)、『BAD CITY』(22)。ドラマ『駐在刑事』シリーズ(14、18-)、『鎌倉殿の13人』(22)『ファーストペンギン!』(22)『闇バイト家族』(24)、ゲーム『龍が如く7外伝 名を消した男』(23)。

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