普段車を運転していると、個性的なカスタムや目立つルックスの1台に遭遇することがあるだろう。北海道のトラックドライバーが目撃したのは、「必死に運転中」などのステッカーがベタベタと貼られたコンパクトカーだ。高齢者マーク（もみじマーク）もいくつも掲示されている。トラックドライバーの男性は「今まで見たことがない」と驚きの様子。目撃談や、車が日常生活に必要不可欠である北海道の自動車事情を聞いた。

　今回、日中の苫小牧市内で見かけたのは、ユニークな車体。リア側にもみじマークが5枚、それだけでなく、「必死に運転中」「近ずかないで！（原文ママ）」と手書きの文章も貼られている。強いインパクトを放っている。

「過去にも面白いクルマは見たことはありますが、このクルマより存在感のあるクルマは今まで見たことありません」と、男性ドライバーは仰天の思いを明かす。

　男性ドライバーは北海道で、搬送車で顧客の車両を運搬する仕事に就いている。トラックドライバーの残業規制強化の一方で人手不足を招くとされている「2024年問題」の影響もあり、もともとは函館に住んでいたが、現在は物流の要である苫小牧港を拠点に、日々ハンドルを握っている。たーちゃん（@ddPD95rvjtp73Yc）のアカウントでXを発信している。

　実はこれが初めての目撃ではなく、3年ぐらい前から何度も見ているというのだ。「信号待ちの時に後ろについたのは4回目かな？　後ろからなので、どのような方が運転してるのかは分かりません」。運転手の素性までは分からないという。

　珍しい車を見かけたことを共有したいという素朴な思い。投稿の意図について、「普段お付き合いさせてもらってるフォロワーさんたちに、ちょっとホッコリするようなポストをしようと思いました。2年前に同様のツイートをした時は今回のような反響もなかったし、普段からXもこじんまりとおいしいお店の紹介や道路状況をポストしているので、仲間内のホッコリした話題にと思った次第です」と説明する。

　投稿は反響を集めており、約10万件のいいねが付いている。「逆にありがたいw」「これは応援したくなります」「注意喚起して偉いけど見ようによってはかなり怖い車www」「アピールがすごい笑笑」「必死さが切実」など、驚きが広がっている。

　男性ドライバーは「おそらく運転手さんは緊張して不安な思いで運転されてるのは伝わります」と、コンパクトカーの運転手をおもんぱかる。

　北海道の車事情について聞くと、「北海道に住むにはクルマは必須だと考えてます。北海道の地方の市町村の過疎化はさすまじく、駅前の商店街はシャッター街に。郊外に大手ディスカウントストアの進出とネット通販の影響で地元の百貨店は閉業しています。近所にお店もなく、スマホやインターネットになじめない年配の方々は仕方なくクルマを運転して出かけなければならない事情もあるんです」と、切実な内情を訴える。

　より安全運転を心がけるとともに、高齢ドライバーへの思いやりの大事さを感じている。「ですので、お急ぎの方も多いと思いますが、車間距離を十分にとってあげたり、スーパーの駐車場に止める時もできる限り隣のレーンは空けてあげて、安心して運転していただけるように心がけていただければ幸いかと思います」と話している。