『めぞん一刻』響子さんのヤキモチはアリ?ナシ? 「かわいい」「面倒くさい」と賛否の姿

1980年から87年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載された漫画『めぞん一刻』(作:高橋留美子)は、80年代のラブコメ漫画を代表する作品だ。本作は、「一刻館」という古いアパートの管理人を務める未亡人・音無響子と、5号室の住人で苦学生の五代裕作が織りなす恋愛物語である。

めぞん一刻 1巻【画像:(C)高橋留美子/小学館・ビッグコミックス】
めぞん一刻 1巻【画像:(C)高橋留美子/小学館・ビッグコミックス】

八神いぶきの登場で響子は静かにヤキモチを妬く

 1980年から87年まで『ビッグコミックスピリッツ』(小学館)で連載された漫画『めぞん一刻』(作:高橋留美子)は、80年代のラブコメ漫画を代表する作品だ。本作は、「一刻館」という古いアパートの管理人を務める未亡人・音無響子と、5号室の住人で苦学生の五代裕作が織りなす恋愛物語である。

 響子は、五代が自分のことを好きだと知りつつも、今は亡き夫・音無惣一郎への想いから彼の気持ちに応えられず、もどかしさを感じていた。しかし、そんな彼女が次第に五代と心の距離が縮まっていくにつれて、彼に好意を抱く女性との関係に嫉妬するようになる。そのヤキモチがまた音無響子というキャラの魅力といえるだろう。そこで、この記事では作中で響子がヤキモチを妬いたシーンをまとめてみた。

※本記事はコミックス『めぞん一刻(新装版)』から準拠情報を記載しています。

 例えば、五代へ積極的にアプローチをする七尾こずえと、こずえのアプローチを断らない五代の関係に響子がヤキモチを妬くシーンがある。コミックス4巻に収録された「SOPPO」では、五代がこずえと会う日は、響子が一刻館の外で掃除をして彼が出かけるのを待っているシーンがある。またコミックス5巻に収録されている「こずえちゃん気を付けて」では、五代のネクタイが曲がっていると服装を整えてあげるフリをして、ネクタイをきつく締めるという地味なヤキモチもあった。

 そのほかにも、時系列はさかのぼるがコミックス2巻に収録された「複雑夜……」では、嫉妬深い響子が怒りをあらわにするシーンがある。響子がテニスクラブのコーチ・三鷹瞬とデートをしたときのこと。三鷹の車が故障し路上で立ち往生している際に、映画館へ向かう五代とこずえに遭遇する。

 こずえは五代と腕を組み仲の良さをアピールしつつその場を立ち去った。この姿が響子の嫉妬心に火をつけるが、怒りの矛先はこずえではなく五代に向けられ、響子は心の中で「五代のアホ」「死んじまえ」と念仏のように唱えたのだ。

 たしかに自分のことを好きだと言っている男性が、自分以外の女性とデートをしている姿を見たとなれば、響子が五代にヤキモチを妬くのも仕方ないだろう。

 また、八神いぶきも響子の嫉妬心に火をつけたキャラのひとりだ。八神(作中で「八神」と呼ばれているため、本記事では「八神」と記載する)は、五代が教育実習生として配属された実習先の高校で受け持つクラスの生徒。コミックス9巻に収録された「VS.乙女」で八神が五代に好意を抱き、猛烈なアピールが始まるのだ。

 同巻に収録された「パジャマでお邪魔」「パジャマとネグリジェ」の回では、八神が強引に五代の部屋に泊まろうとしたエピソードが収録されている。ここでの五代をめぐる響子と八神の恋の心理戦が見ものである。

 この回では、意地でも五代の部屋に泊まろうとする八神に対して響子が、「しょーがないですね。私の部屋にいらっしゃい」と五代を誘い、思わせぶりな言葉で彼女に揺さぶりをかけた。結局、八神が響子と管理人室で一泊する形で収まるが、響子のヤキモチはまだ終わっていなかった。

 その後、朝を迎えた五代と八神は一緒に学校へ登校するのだが、玄関の外で掃除をしていた響子はふたりの後ろ姿を見て、持っていたホウキの柄をへし折ったのだ。

 響子が作中で見せたヤキモチに対し、ネット上では「シンプルに面倒くさいな」などの声以外に「かわいい」「むしろ積極的にヤキモチを妬かせたい」と好評の声もあがっている。その理由は、五代がこずえとデートするときなど、響子は一刻館の玄関を掃除しながら落ち着かない様子で彼の帰りを待っており、初々しく純粋な側面がファンの心をつかんでいるからかもしれない。

 いずれにしても、響子のヤキモチは読者の心をつかみ、ストーリー上で欠かせないアクションになったと言えるだろう。

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