トニー賞舞台に「臆せずチャンレンジ」若手俳優・富田健太郎の挑戦
自主映画制作は「『映画に出たい』という素直な気持ちから」
――その経験を経て、演劇に対しての向き合い方や考え方は変わりましたか。
「早く現場でお芝居がしたいという思いは募りながら、この状況で、みんなが同じ思いを胸にものを作っていくという環境は、とても貴重な経験でした。この時に感じた思いを胸に刻み、今後も今まで以上に真摯にものづくりに取り組んでいきたいです」
――自主映画を制作されていると伺いました。制作するきっかけはなんだったのでしょうか。
「僕がお仕事として映画をあまりやってこなかったので、『映画に出たい』という素直な気持ちからですね。自分で脚本を書いて、監督に見てもらって、その脚本は結局だめだったんですけど。でも、監督がそこで僕の熱意に応えてくれて、制作が始まりました。最初二人で『映画を作りたい』と始めたものが、徐々にみんなが集まって、撮影が開始して、終わって……。この約一年の様々な経験が自分を成長させてくれたような気がします。やってみないと分からないこともたくさんあったので、改めてチャレンジしてよかったと思っています」
――その中で一番大変だったこと、逆に一番印象的だったことはありますか。
「一から作り上げる、その最初の段階に自分が携わることができたというのが一番大きいと思います。僕たちが何かの作品に参加するとき、その前にプロデューサーさんやいろんな方が力を貸してくださって作品の土台が作られていて、僕たちが途中から参加するという形になるんです。その最初の段階を経験することで、たくさんの過程があって、すごく苦しんだり、模索を経ての”今”があるということを知れた。それが僕の中ではすごく大きな成長でした」
――様々な経験を経て、7月には舞台「ボーイズ・イン・ザ・バンド~真夜中のパーティー~」に出演が決まっています。出演者のみなさんが全員集まってビジュアル撮影が行われたと聞きました。
「個別にご挨拶もさせていただいたのですが、みなさん本当に優しくて。これからの稽古で、先輩方からたくさん勉強させていただきたいなと思いました」
――世界的に人気のある作品ですが、出演が決まったときの率直な感想を教えてください。
「すごく簡単な言葉になってしまうのですが、本当に驚きました。この作品を映像で観たときに、改めてすごい作品に自分が携わることになるんだと少しずつ実感が沸いてきて……。2月の記者発表までは誰にもお会いしていなかったし、現実味を帯びていなかったんです。でも記者発表でみなさんと一堂に会したときに『現実だったんだ』と。本当に嬉しかったですね」
――この作品の中で富田さん自身はどんな役割を果たしていきたいですか。
「出演者のみなさんは本当にベテランの方々。だけど、そこで臆せずにチャンレンジし続けていきたい。この作品がより面白く深い作品としてお届けできるように誠心誠意取り組むべきだと思っています。Bunkamuraシアターコクーンに立つのは初めてです。夢だったので、まだ想像つかないですね。劇場入りしてから感動がこみ上げてくる気がしています」