『イップス』脚本・オークラ氏、バカリズムの“天才的”な部分明かす「初めて見た時から衝撃」

俳優の篠原涼子、お笑い芸人のバカリズムは毎週金曜に放送中のフジテレビ系連続ドラマ『イップス』(金曜午後9時)で、ダブル主演を務める。2人が演者として共演するのは初。本作の脚本を務めたオークラ氏、バカリズムが報道陣の囲み取材に応じ、撮影の雰囲気などを明かした。

囲み取材に応じたバカリズム(左)とオークラ氏【写真:(C)フジテレビ】
囲み取材に応じたバカリズム(左)とオークラ氏【写真:(C)フジテレビ】

バカリズムは篠原涼子と『イップス』でダブル主演

 俳優の篠原涼子、お笑い芸人のバカリズムは毎週金曜に放送中のフジテレビ系連続ドラマ『イップス』(金曜午後9時)で、ダブル主演を務める。2人が演者として共演するのは初。本作の脚本を務めたオークラ氏、バカリズムが報道陣の囲み取材に応じ、撮影の雰囲気などを明かした。

 本作は小説を“書けなくなってしまった”おしゃべりなベストセラーミステリー作家と、事件を“解けなくなった”自己評価高めのエリート刑事という互いにイップスを抱えた2人が、事件を解決していくミステリーコメディー。絶不調なバディがお互いを補い合い、小気味よい会話劇を繰り広げながらコミカルタッチに犯人を追い詰めていく。

 脚本を務めるのは『となりのナースエイド』(2024年/日本テレビ系)、『ドラゴン桜 第2シリーズ』(21年/TBS系)など、近年話題のドラマ作品を多く手掛けているオークラ氏。『素敵な選TAXI』や『黒い十人の女』(16年/日本テレビ系)で、バカリズムへの脚本協力を経験するなど、親交もある。

 篠原は、ミステリー小説家・黒羽ミコを演じる。デビュー作から3作連続でベストセラーを記録するも、現在はネタが思いつかず5年間新作が書けていない。その傍ら、持ち前の会話術と洞察力を武器にネット番組のコメンテーター業やコラム執筆をこなすも、そのせいで本業がさらに片手間になってしまっている。5年前に出した最新作の小説はSNS上で「トリックがダサい」とたたかれ、コメンテーター業でも「なんにでもクビつっこむんじゃねーよ」などとたたかれており、イライラが募る日々を送っている。新作の執筆に煮詰まり、執筆から逃げるために訪れたサウナで森野と出会う。

 一方、バカリズムは、イップスが原因で捜査ができなくなってしまった警視庁捜査一課刑事・森野徹を演じる。かつてはエリートとして組織内でも一目置かれる存在だったが、とある出来事をきっかけに解けなくなってしまった。実はミコの作品の大ファンだったが、最新作の完成度が悪く、コメンテーター業ばかりで新作を出さないミコにいら立ちを募らせ「トリックがダサい」とSNSにアンチコメントを書き込んでいる。刑事でありながら、ノモリというアカウントで日々ミコの小説についてアンチコメントをつぶやいている。

バカリズム(左)とオークラ氏【写真:(C)フジテレビ】
バカリズム(左)とオークラ氏【写真:(C)フジテレビ】

バカリズムとオークラ氏、昔は「風呂なしに住んでた」

――バカリズムさんは以前の取材で「セリフ量が多い」と嘆いていましたが、撮影が始まっていかがですか?

バカリズム「セリフが多いです。前からオークラさんは僕に長セリフとか説明セリフを僕に当てるんです。めんどくさい説明を僕が担当するっていうのがあるんで、やっぱりそうかって思いました(笑)」

オークラ氏「僕の中でもバカリズムはすごく頭が良くて、説明がちゃんとできるってイメージがずっとあるんです」

――主演×脚本としてタッグを組んで作品を作ることに感慨深いものがありますか。

バカリズム「感慨深いですね。だって元々お互い風呂なしに住んでた」

オークラ氏「そうですね。(水道が)止まったりとか」

バカリズム「19歳の時に最初にお会いして、その時オークラさんは芸人でしたから。家に泊まりに行ったりとか、一緒に銭湯行ったりしている関係性。お互い無名の、何の仕事もないような時からずっと2人で愚痴やお笑い界に対する妬みを言いながら共に過ごしてきた間なので、それがフジテレビのゴールデンで仕事できるっていうのは不思議ですね」

オークラ氏「いや、まさにその通りで。本当に20年以上前ぐらいから、いろんな不満をぶつけたりしていたんです。今はそんなこともちろん言わないですし、こういう形でできるのが本当にうれしいです」

――脚本を読んだ感想は。

バカリズム「オークラさんが思う僕らしさっていうのが、すごくわかりました。めんどくさいところとか。あと少し思ったのは、オークラさんの中で僕は20代とか30代ぐらいのイメージからそんなに変わってないのかなって。割とフィジカル的に僕は結構運動神経が良くて、体が丈夫だって多分思われてるんですよ。割と体張る場面多い。僕も48歳だから、そこはちょっとアップデートしてほしい。めちゃくちゃ走ったりするんです」

オークラ氏「確かに、僕2個年上なんですよ。ちょっとだけ後輩って思ってるところがありまして。(バカリズムは)マセキ芸能社じゃないですか。(同じ事務所の)内村(光良)さんって動ける=その後輩だから、勝手に動けるイメージができちゃって」

――脚本や撮影を見て、オークラらしい、バカリズムらしいと感じる部分は。

バカリズム「オークラさんはコントにしても、必ず言いたいことがあるっていうのはすごく感じます。僕はどっちかっていうと何も特に言いたいこともなく、お笑いだけで考えるんですけど、結構この作品で『こういうことを言いたい』『この話でこういうことを言いたい』っていうのは、ちゃんと明確にある人だなっていうのは、コントを見てるときから割と思いますね」

オークラ氏「バカリズムは、コントの中で1つルールを作って、そのルールを笑いに作っていくのが昔から天才的。初めて見た時から衝撃受けたくらい。バカリズムと同じ路線だと勝てないなって思った時期があります。作家になるからには、メッセージ性とか、この人って結局こういう人間なんだなってことを描くことをちょっと重点的に考えよう。そこにどうやったら笑いが絡められるかなっていうのを意識するようになりました。バカリズムに妬みもありましたが、どんどん棲み分けができるようになってきて、楽しくなってきたなと思います」

バカリズム「あと、これは職業の違いなんですけど、僕は芸人でオークラさんは放送作家で、僕は芸人はコントを作るときに、いろんなところでやったりとか、それこそ何年後にやったりすることも想定して作るんで、基本的に時代のものって入れないんですけど、割とオークラさんは意識的なのか、仕事柄なのか、今回だったらサウナとか、割とそういうものがトレンドものが必ず入ってくるから、そこは割と(違いを)感じています」

オークラ氏「このドラマの職業は、今っぽい職業。今っぽい理由とか今っぽいプライドも時代によって変わってくると思うんで、そういうのちょっと意識しながらやってると思う」

バカリズム「若い人の文化とか、こういう感じなんだみたいな。知らないこととか……」

オークラ氏「だから若い子としゃべらないとなと思うんですけど。今若い子と積極的にしゃべると時代的によくないんで悩ましいところではありますね(笑)」

バカリズム「そうなんですよ。若い子のしゃべり方も勉強しなきゃいけないんですよ。セリフ回しとか。だけど、それをどこで吸収すればいいかわかんないから、どうしてんだろうなと思っています」

オークラ氏「それは本当に苦労しますよ。毎回、信頼のおける人にしかしゃべらない」

バカリズムの魅力は「いろんなことを演じられる」

―バカリズムの役者としての魅力を教えてください。

オークラ氏「バカリズムは人を観察する目があるので、いろんなことを演じられる。すごいですよね。なんでもできるから。突然どこかのタイミングで上手になったイメージがある」

バカリズム「そうですかね。最初の頃は、芝居を割と記号的なものでしかやってなかった部分があるんですけど、感情とかも入れるようになったら広がるんじゃないかなということで、20代前半ぐらいからですかね。ちょっと変えた部分があります」

――キッカケがあったのでしょうか。

バカリズム「なんとなく20代の頃に行き詰まりを感じたというか、ネタのパターンもある程度やり尽くして、ここからさらに広げていくには、いろんなキャラクターを演じれるようにしなきゃいけないのかなっていうのがありました。あと僕、日本映画学校の俳優科なんですよ。お芝居のレッスンとかをやりながらだったので、若干そこに反発してる部分があったんです。お芝居の発表会とかで大きなの演技を強いられるので、ちょっと反発してる部分があって。ネタの発想とか、そういうところを強調させる演じ方にしようっていうのを心がけていたんですけど、ちょっと行き詰まりを感じて。でも、キャラクターを演じればもっと広がるなっていうことに気づいてから、なんか割とそこはやるようになりました」

――撮影現場の雰囲気について。

オークラ氏「僕、バカリズムという芸人は日本で1番仕事を抱えてる芸人。こういう言い方はあれですけど、(撮影現場に)行って芝居をして帰ってくるんではなくて、行って芝居をして帰ってきて家で作業する。だから、常に作業に追われてて。こんなに遊んでない芸人見たことないですね」

――撮影で印象的なことは。

バカリズム「今回、結構変わった演出が入るんで。がっつりセリフ入れてしゃべっているところに途中インサートが入るから、せっかく僕セリフ覚えたのに……って。インサートが入っているところも『ちゃんと現場では何も見ずに言ってるよ!』って視聴者には言っておきたいです」

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください