タワマンで猫の多頭飼育、異臭トラブルも…飼い主は開き直り「殺せと言うのか!」
マンションやアパートといった集合住宅で「ペット可」の物件が増加している。ここ数年はコロナ禍だったという状況も影響し、多くの家庭が愛犬や愛猫を家族の一員として迎えているが、その一方で増えているのがペットの鳴き声や大小便の異臭が原因となったトラブルだ。
昨夏の異常な暑さで獣臭さや尿の匂いが…
マンションやアパートといった集合住宅で「ペット可」の物件が増加している。ここ数年はコロナ禍だったという状況も影響し、多くの家庭が愛犬や愛猫を家族の一員として迎えているが、その一方で増えているのがペットの鳴き声や大小便の異臭が原因となったトラブルだ。
「恥ずかしながら、私の住むタワーマンションでも似たようなことがあるんですよ……」
そう話を切り出したのは、港区内の高級タワーマンションで暮らす川上萌音さん(仮名・48歳)。
「私が住んでいる階ではないのですが、なんでも、猫を数十匹飼っている部屋があるらしいんです。猫の姿を見たことはないのですが、驚くほど大きなキャットフードの袋を2つも3つも運んでいく配達員の方を目にしたことがあります」
猫ということで鳴き声による騒音が問題になることはなかったが、昨夏には異常な暑さのせいか、獣臭さや尿の匂いが気になり始めたという。
「同じ階に住んでいる方が言うには、その部屋の前を通るときはマスクなしでは歩けないとのこと。その階でエレベーターが止まると、確かにツンと鼻をつく匂いが漂っていることが分かります。それと発情期っていうんですか? そのシーズンになると、悲鳴のような鳴き声が響き渡ると聞いています」
理事会を通して苦情を伝えたものの、当の飼い主は開き直るばかり。挙句、「じゃあ、猫を殺せと言うのか!」と逆ギレするため、らちが明かないという。
「どうすればいいんでしょうか。高いお金を払って手に入れたタワマンなのに、まさか、こんな人が住人の中にいるなんて……」
「現実的な対処は難しい」のが現状
個人を尊重することが「是」となって久しい令和の時代。周囲から孤立し、寂しい思いをペットで埋めるという人も間違いなく増えていることだろう。だからと言って、異臭や騒音をまき散らして近隣に迷惑をかけても良いという話ではない。
20年以上のキャリアを持ち、不動産業界に精通する中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに、対処方法についてアドバイスを聞いた。
「すごく難しい問題ですね。マンション内で飼育が可能であり、頭数などの制限が決められていないのであれば、異臭や騒音に対する改善をお願いすることはできても、猫の数を減らしてもらう、飼わないようにしてもらう、といった現実的な対処は難しいでしょう。管理組合に訴え、総会などを通じてペット飼育に関する詳細ルールを決め直すこともできますが、これまでに飼育していたペットを手放してもらうことはもちろんできません。ただし、今後、似たような状況になることは防げるようになるとは思います」
問題となっている部屋が、分譲か賃貸物件かによっても対処は変わってくるという。
「分譲の場合は上記のような対処が難しいのですが、賃貸であれば住人ではなくオーナーに対して内容証明を送るなどし、対処してもらうこともできます。猫の糞尿の匂いは本当にキツいですよね。早く対処してもらえるよう、影ながら応援しています」
□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。