映画『港に灯がともる』出演者11人発表 阪神淡路大震災から30年…神戸舞台のオリジナルストーリー

俳優の伊藤万理華、青木柚、山之内すず、田村健太郎、中川わさ美、MC NAM、土村芳、渡辺真起子、山中崇、麻生祐未、甲本雅裕が映画『港に灯がともる』に出演することが18日、発表された。

『港に灯がともる』追加キャスト発表
『港に灯がともる』追加キャスト発表

3月21日に神戸でクランクイン

 俳優の伊藤万理華、青木柚、山之内すず、田村健太郎、中川わさ美、MC NAM、土村芳、渡辺真起子、山中崇、麻生祐未、甲本雅裕が映画『港に灯がともる』に出演することが18日、発表された。

 兵庫・神戸を拠点とする制作会社・ミナトスタジオは、阪神淡路大震災から30年の節目の年、2025年1月に公開を目指し、神戸を舞台にした映画『港に灯がともる』の制作準備を進めてきた。主な出演者が決まり、21日に神戸でクランクインする。

 主人公は、阪神淡路大震災の1か月後に長田で生まれた在日韓国人三世の金子灯。家族は、震災後、長田を離れて仮設住宅に移り、その後復興住宅で暮らしている。震災で家も仕事も失い、家族の生活は荒廃していく。幼い頃から家族との確執を抱え、家を飛び出すことばかり考えてきた灯。なぜこの家族に生まれてきたのか。家族と私、国籍と私―― 双極性障害を発症し、回復を目指していく中で希望を探し続ける日々。時を経て障害との付き合い方がわかってきた灯は、新しい職場で長田区にある丸五市場の再開発計画と関わることに。コロナ禍を経て、さまざまな人々と出会い、支えられ、心を通わせ、家族とも向き合い、長い時間をかけて、人生にかすかな光を見出していく。2013~25年、高校卒業から12年間に及ぶ主人公・灯の模索の日々を、神戸の喧騒を舞台に繊細に紡いでいくオリジナルストーリーだ。主演は富田望生が務める。

 伊藤が演じるのは、灯の姉・金子美悠役。家族で一番のしっかり者。結婚を見据え、率先して帰化手続きを進める人物だ。

「このお話をいただいた時、主演の富田望生ちゃんと初共演した際に『お芝居またやってよ』とかけてくれた一言を思い出しました。数年後に再会を果たし、また必ず、と思っていました。今作品で家族として、姉として携われること、とても光栄に思います。お芝居を続けていて良かったです。名前のない孤独感、不透明にゆらめく蓄積された心の傷と向き合うことは勇気がいる、苦しいかもしれません。この作品が少しの希望に、あたたかい光になることを願っています」

 青木は、灯の弟・金子滉一役。家族の中で器用に立ち振る舞いながら、自分の居場所を探している。

「想像することしかできない気持ちの輪郭や、“自分が産まれる前のこと”としての印象が強い記憶。今の世界まで地続きに描くこの作品を通して、より温度感をもって自分と結びつけていく時間にしたいです。信頼するチームの皆さま、ご縁ある共演者の方々と共に、街の呼吸を大切に感じながら撮影に臨めたらと思います」

 山之内は灯の唯一無二の親友・綾部寿美花役。母には震災で負った深い心の傷がある。

「生まれ育った神戸でこの素晴らしい作品の一員として生きられる事、とても光栄に思います。私が演じさせていただく綾部寿美花は様々な問題を抱える灯にとって少しだけ気が抜けるような、大切な時間を作れる子です。2人の時間を、ベーやんの前でしか見せない灯の表情を目一杯楽しみます」

 田村は灯と同じクリニックに通う青年・林洋太役。たびたび周りと衝突する。

「普段平然としている人も、本当に大丈夫だからそう見えるのではなく、必死で平然を装っているのかもしれない。台本を読みながらそんな当たり前のことを改めて考えさせられました。台本を閉じた今も、大丈夫であれるよう、自分の居場所をつくろうとジタバタしていた主人公の灯(あかり)の姿を、東京の自分の街にもついつい探してしまいます。どうぞお楽しみに!」

 中川は灯が働く設計事務所の先輩・桃生紀枝役。仕事に慣れない灯を優しく見守る。

「桃生紀枝役の中川わさ美です。今、この時代だからこそ創り出せる、様々な方々の想いや願いが込められた『港に灯がともる』という作品の一味になれる事がとても嬉しいです。
安達もじり監督の元、作品に携わる全ての皆様と一緒に桃生役を全うしたいと思います」

 MC NAMは長田を愛する在日ベトナム人・グエン・ヴァン・フォン役。丸五市場の再興を目指す灯を優しく受け入れる。

「震災に関わる作品に参加できる事を光栄に思います。作品を通して、阪神淡路大震災後30年という時間が経過し、人々の心境の変化と在日外国人が抱える複雑な気持ちを表現する事を楽しみに思います。多くの人々の心の支えや、増え続ける被災地や被災者の応援になりたいです」

 土村は長田・丸五市場にあるそば焼き屋の主・平良夕役。市場の再興計画を通して灯と知り合う。

「安達監督はじめ、私がまだ右も左も分からない頃お世話になった方々がいらっしゃる作品に、こうして携わることができてとても嬉しく思っています。この物語に強く引き込まれ、とても素敵な出演者の皆さんとご一緒させていただけることに今からドキドキしています。私も作品に携わる1人として精一杯頑張りたいと思います」

 渡辺は精神科医・富川和泉役。治療にやってきた灯を受け入れ、回復へと導いていく。

「心の傷を癒すこと。簡単に道筋は見えずとも、どうにか少しでも明るい未来に辿り着きたい、たどり着いて欲しいと思います。どうすれば良いのか答えは簡単に出ませんが、今作に関わりながら、生涯、何度でも考えていきたいと思います」

 山中は就職活動を始めた灯を受け入れる設計士・青山勝智役。丸五市場の再興を目指す。

「自分の歩幅を確かめるように、少しずつ前を向いて歩いていく人々の姿を思い浮かべました。演じる青山もそのひとり。共にその道を歩んでいきたいと思います」

 麻生は灯の母・金子栄美子役。震災で仕事を無くした夫と家族を支えてきたが、夫婦の溝は徐々に深まってしまう。

「日本に住む限り、地震は避けて通れない課題です。被災しても、していなくても、心の傷に気がつかず、生きづらいまま生活している人も多いと思います。このストーリーに出てくる人達も、家族、人間関係、地域との関わりなど、更に問題を抱えたまま毎日を生きています。誰とも関わらずに生きる事は不可能に近い事ですが、私はヒロインの家族として、一緒に立ち向かっていこうと思います。そしてNHK朝ドラ、『カーネーション』などでご一緒した、尊敬する安達もじり監督と作るこの映画、今から楽しみでなりません」

 甲本は灯の父・金子一雄役。長田で働いていたが、震災で仕事を無くしたことをきっかけに、家族と度々衝突するように。家族が進めようとする帰化に猛然と反対する。

「連絡テレビ小説カーネーション、カムカムエヴリバディでお世話になったスタッフの方々と映画!? …最高です! 役者として何をするかは勿論のこと、誰とするかが重要なんです。もう迷うことは何もありません、ただただ役に没頭するだけです。楽しみじゃな~」

○主人公・金子灯役の富田望生 コメント

「灯ちゃんの人生に深く関わる人々を演じられる方々が発表になりました。もじり監督からゆっくりと、おひとり… おひとりの名前を伝えられました。初めましての方、信頼を寄せる方… 聞く度に、勝手ながら大きな安心に包まれました。まもなく身を灯し合う時間を迎えることに、引き締まる思いです。“はやく会いたい”この言葉に尽きます」

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