水曜日のカンパネラ、詩羽体制初の武道館 大舞台で示した“詩羽らしさ”…全25曲に涙のMC

水曜日のカンパネラが16日、詩羽体制初となる東京・日本武道館公演を開催した。全25曲を詩羽らしさあふれるパフォーマンス。会場に駆けつけたファンを熱く魅了した。

詩羽体制初となる武道館公演を開催した水曜日のカンパネラ【写真:興梠真穂】
詩羽体制初となる武道館公演を開催した水曜日のカンパネラ【写真:興梠真穂】

3rd EP『POP DELIVERY』の発売とZeppツアーも発表

 水曜日のカンパネラが16日、詩羽体制初となる東京・日本武道館公演を開催した。全25曲を詩羽らしさあふれるパフォーマンス。会場に駆けつけたファンを熱く魅了した。

 2021年9月に初代ボーカリストのコムアイが脱退、2代目ボーカリストとして詩羽が就任し、現在は詩羽、サウンドプロデューサー・ケンモチヒデフミ、Dir.Fの3人で活動を続けている。詩羽体制となってから約2年半。俳優業でも存在感を示している詩羽のアーティストとしての集大成ともいえるステージとなった。

 この日のレイアウトは武道館では珍しいセンターステージ。360度から詩羽の姿を楽しむことのできるレイアウトとなった。開演予定時刻から15分ほど過ぎた頃に会場が暗転。待ちわびたファンからは大歓声があがった。

 うさぎの仮面をかぶったダンサーが花道をゆっくりと歩き、センターステージに到着すると、床からうさぎの仮面をつけた詩羽が登場。詩羽体制の1曲目『アリス』から幕を開けた。曲の合間で詩羽は仮面を外し、満面の笑顔で「今日は最高に楽しんでいきましょう!」とあいさつ。その後は『バッキンガム』と続け、そのまま『シャクシャイン』『ラー』『アラジン』とコムアイ時代の楽曲をノンストップで披露した。アップチューンの楽曲の数々にオーディエンスも歓声と手拍子で楽しんだ。

 最初のMCでは、“恒例”の水飲みパフォーマンスを披露。「かわいい~」の歓声を浴びる中、ほどけてしまった靴ひもを結ぶなど、大舞台でもいつも通りの姿を見せた。詩羽が「いつも通りのライブをこの大きな箱で、皆さんと一緒に最高に楽しんでいけたらいいなと思っているんですけども、皆さん一緒に声出したり盛り上がる準備はできてますか?」と呼びかけると観客も大歓声で応じた。

 その後は「いい湯だね!」のコール&レスポンスでおなじみのコムアイ時代からの楽曲『ディアブロ』を披露。『シャドウ』『聖徳太子』と続け、詩羽が1度ステージから消えると、『オードリー』のBGMをバックに6人のダンサーがダンスで会場を盛り上げた。

 ステージ上のモニターに、人気曲『赤ずきん』で詩羽と一緒にパフォーマンスをすることでもおなじみのオオカミのインタビュー映像が流れ出した。「詩羽はビジネスパートナー」など、コミカルなやり取りが届けられた後、センターステージにはオオカミの姿が。詩羽が『赤ずきん』を歌いながら花道から登場すると、オオカミと歌詞に合わせた息ピッタリのパフォーマンスで魅せた。

 この日2度目となるMCでは、衣装を紹介。会場中から「かわいい」の声があがると、「そうなんですよ~、かわいいんですよ。今日1番かわいい、私が!」と“詩羽節”で応じた。続けざまに、アナログ版をリリースしたことやコラボスニーカーの受注開始、グッズ販売に加え、6月に3rd EP『POP DELIVERY』のリリース、7月にZeppツアー「POP DELIVERY」の開催など盛りだくさんの情報を発表した。

武道館の宙に浮かび『かぐや姫』の荘厳な世界を表現【写真:興梠真穂】
武道館の宙に浮かび『かぐや姫』の荘厳な世界を表現【写真:興梠真穂】

 その後は『キャロライナ』をパフォーマンス。さらに観客にスマホのライトをつけるように呼びかけ、客席に天の川を作ると『織姫』を熱唱した。その勢いのまま『卑弥呼』を披露し、最新曲『たまものまえ』では、刑事と鑑識に扮(ふん)したダンサーを従えた。

 続く『かぐや姫』ではハーネスをつけた詩羽が空中に舞い上がる。ステージ上には立体的な照明がキラキラと輝くなど幻想的。武道館という大きな空間を存分に使いながら、『かぐや姫』の荘厳な世界を表現してみせた。

 センターステージは、渋谷の街並みのようなイメージのセットに変化。スーツ姿の男性や女子高生などさまざま格好をした人々がステージに現れ、その中で詩羽が路上ライブのように『モヤイ』を披露。その後は『ティンカーベル』と続けた。

 詩羽が再びステージから姿を消すと、モニターには、詩羽の声で『桃太郎』の紙芝居が流れた。一通りのストーリーが終わり、「と、ここまではみんなが知っている桃太郎ですが、こんな桃太郎もあるそうです」とナレーションが流れると、ステージは暗転し、アリーナ後方には、巨大な桃が出現。その中から詩羽が現れると、そのまま会場をトロッコに乗って、きびだんごに模したボールを投げながらぐるりと回っていった。

 さらに『一休さん』『ツイッギー』『金剛力士像』と続け、『一寸法師』では観客4人をステージに呼び込んだ。この日の会場には子どもから大人まで老若男女のファンが集まったが、ステージ上も20歳、9歳、21歳、還暦とバラバラ。4人は打ち出の小槌を手に、『一寸法師』を歌う詩羽とともに会場を盛り上げた。歌唱後には、「お客さんをステージにあげるのはどうしてもやりたかった」とこの演出は詩羽たっての希望だったことを明かした。

 そして、「あと4曲しかやらない」終わりの時が近づいてきていることを明かす。この日最後となるMCでは「真面目なMCでが苦手なんですよ~」と照れくさそうに笑いながらも真剣な思いを語った。

 フォトエッセイ『poem』を15日に発売した詩羽だが、「私が水曜日のカンパネラの活動に至るまでの人生を書かせてもらったんですけど、優しい話とかじゃなくて、結構重くて、苦しくて」と本にしたためた思いを説明した。

 さらに、「高校生まで、私は本当に上手に生きることができなくて。中学高校で友達が全然いなかったり、すごいいろんなことが今まであって。生きているのがつらかった時期がすごくあって。もう死んじゃおうかなと思い詰めていた時期が学生の頃にあって」と涙ながらに過去の心境を吐露した。その上で、「愛がない生活をずっとしていたんですけど、水曜日のカンパネラの活動を始めて、みんなにばかみたいに愛されるようになって。みんながすごい優しい目で私のことを見てくれて。すごいたっぷり愛をくださって、本当に私にとってかけがえない時間です」と感謝。

 そして、「私の明日を作ってくださるのは、ここにいる皆さんの大きな愛の力なので、皆さんに本当にありがとうございますと伝えたいです。愛しています!」と涙を流し続けながらも笑顔であふれんばかりの真っすぐな思いを伝えた。

 ラストブロックは、『マーメイド』からスタート。6人のダンサーも登場し、周囲には、大漁旗を振る恰幅のいい海の男たちも現れ、ステージを盛り上げた。観衆はタオルを回しながら身体を揺らしていた。そのままの流れで『七福神』へとつなぎ、詩羽体制の代名詞ともなった人気曲『エジソン』では、観客からの大合唱が起こった。

 この日の25曲目『招き猫』では、「本当に最後の曲です!」と詩羽が呼びかけると、巨大な招き猫がステージに登場。「最後はみんなでバンザイやりますよ!」と呼びかけ、会場全員がバンザイをする中、金色に光る小判型の紙吹雪が宙に舞い、武道館を彩った。

 歌い終わった詩羽は「皆さん愛してるよー!」と大絶叫。「また会おうね! バイバイ!」と大きな拍手を浴びながらステージを去った。

 水曜日のカンパネラとしては2度目、詩羽としては初の武道館。詩羽の真っすぐな言葉の数々やファンへの感謝の思いが会場中に伝播していき、多幸感にあふれる空間となっていた。

笑顔でファンへの感謝の思いを口にした詩羽【写真:興梠真穂】
笑顔でファンへの感謝の思いを口にした詩羽【写真:興梠真穂】

◯水曜日のカンパネラ 日本武道館単独公演「METEO SHOWER」/2024年3月16日
1.アリス
2.バッキンガム
3.シャクシャイン
4.ラー
5.アラジン
6.ディアブロ
7.シャドウ
8.聖徳太子
9.赤ずきん
10.キャロライナ
11.織姫
12.卑弥呼
13.たまものまえ
14.かぐや姫
15.モヤイ
16.ティンカーベル
17.桃太郎
18.一休さん
19.ツイッギー
20.金剛力士像
21.一寸法師
22.マーメイド
23.七福神
24.エジソン
25.招き猫

◯3rd EP『POP DELIVERY』/6月5日発売、2500円(税込み)
収録内容:
・マーメイド(コカ・コーラ Coke STUDIO サマー・キャンペーンソング)
・聖徳太子(JBL TOUR PRO 2 CMソング)
・幽霊と作家(フジテレビ水10ドラマ『婚活1000本ノック』主題歌)
・たまものまえ(Amazon Originalドラマ『僕の愛しい妖怪ガールフレンド』主題歌)
・キャロライナ
他3曲、全8曲収録予定

◯水曜日のカンパネラ ZEPP TOUR 2024 POP DELIVERY
開催日(※全公演、開場午後6時、開演午後7時
・7月3日:北海道・Zepp Sapporo
・7月9日:福岡・Zepp Fukuoka
・7月17日:大阪・Zepp Osaka Bayside
・7月18日:愛知・Zepp Nagoya
・7月31日:東京・Zepp Haneda

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