つぶやきシロー「薄く長く」続けた芸能活動30年 『ボキャブラ』後の転機は有名報道番組

Xに投稿したネタをまとめた書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』(小学館、税込1760円)を出版したお笑いタレントのつぶやきシロー(52)。30年にも及ぶ芸能活動の転機は?

今年で芸能活動30年になるつぶやきシロー【写真:ENCOUNT編集部】
今年で芸能活動30年になるつぶやきシロー【写真:ENCOUNT編集部】

書籍を出版も…書き物仕事は「向いていない」

 Xに投稿したネタをまとめた書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』(小学館、税込1760円)を出版したお笑いタレントのつぶやきシロー(52)。30年にも及ぶ芸能活動の転機は?(取材・文=平辻哲也)

「こだわりがない」のがこだわりかもしれない。今年が芸能活動30年と水を向けても、「実感がないです。10年の時も、20年の時も何もやってないから。急に30年って、言われてもね。薄い30年だから、思い出せないくらい。今年も、イベント的なことは何にもやらないつもりです」

 謙虚なつぶやきに代わって、プロフィールを振り返ると、1994年にホリプロオーディションをきっかけに芸能界入り。フジテレビ系『ボキャブラ天国』(92~99年放送)で独特の栃木弁と、ボソボソとした語り口が受けて、大ブレーク。『ボキャブラ天国』の終了とともに人気も落ち着いたが、その後も20年続いている。浮き沈みの激しい芸能界にあって、息の長い活動ができているのはさすがだ。

「転機と言われても、なんだろうな。久米宏さんがキャスターをやっていた頃の『ニュースステーション』かな。午後10時50分くらいから特集コーナーがあったんです。そこで、ナレーションをやらせてもらって、『個性的だから、ナレーションも向いているよ』とほめられたんです。ナレーションの仕事は今でもなぜか続いている」

 ナレーションの良さは一人で完結することだという。

「ブースに入って、一人になれるのがいい。タレントと絡まないのが面倒くさくない。自分との闘いが好き。例えば、ピッチャーなら先発登板したら、パーフェクトを目指すぞ、みたいな感じで始まって、球を投げる。途中打たれたら、今度は完投を目指す。ナレーションをやる時は、ノーミスでやるぞと思って臨むんです。これは他人との勝負は関係ないから、いいのかな」と大好きな野球になぞらえる。

 昨今は書き物の仕事も増えている。理想と現実の間で苦もんするスーパーマーケットの万年主任、45歳の主人公が脳内で格闘する小説第2弾『私はいったい、何と闘っているのか』(2016年)は、安田顕主演で映画化もされた。

「書き物もありがたいです。これも自分との闘い。自分でいつまでに書かなくちゃいけないと考えて、やっています。書き物は向いていないと思っているけど、一人の仕事だからいいのかな。芸能界に入るきっかけはお笑いだったけど、今は書き物とナレーションの仕事もある」

 何事も一人が好きだが、芸能界の先輩には随分助けてもらったのだという。

「同じ事務所なら、伊集院光さんとさまぁ~ずさんですね。さまぁ~ずさんには、テレビの仕事がなかった時もライブに出させてもらった。ヒロミさんはデビューのきっかけを作ってくれましたし、名古屋の生放送番組にも出してもらった。ヒロミさんも当時若かったけれど、面倒を見てくれました。オレなんかは、後輩の面倒を見ることは全然していないです」

つぶやきシローはドラゴンズファンとしても有名だ【写真:ENCOUNT編集部】
つぶやきシローはドラゴンズファンとしても有名だ【写真:ENCOUNT編集部】

休日は家でビール片手に野球観戦

 仕事が休みのときは朝から晩まで、野球の中継や録画を見ながら、キンキンに冷えたビールを飲むのが至福のとき。

「お酒好きですよ。家飲みが多いかな。どこかに行くと落ち着かないです。人と飲むと、大抵は年下になるけど、自分からは誘わない。人の時間を奪うことになるし、何か言ったら、パワハラ、モラハラになりそうだから。でも、僕は上の人から誘われたら絶対に行きますけど」

 ドラゴンズファンとして有名だが、野球なら高校野球からメジャーリーグまで幅広く見ている。

「野球場までは見に行かないんです。解説を聴きながら見るのがいい。野球場で見ていても、よくわからないじゃないですか。テレビなら、大事なシーンを見逃しても、リプレイもある。オフシーズンでも、録画した試合を見ていますよ」

 注目選手には大谷翔平とともに、ドジャースに新規加入した山本由伸、中日の根尾昂、スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎を挙げる。

「山本由伸はヤンキースに行ってほしかった。ドジャースの試合は大谷がいるから、テレビで見られるけど、ヤンキースにも日本人選手がいればヤンキースの試合もテレビで見れたかもじゃないですか(笑)。佐々木麟太郎は何年か注目したいですね。彼が成功したら、すごい選手は全部、アメリカに行ってしまうかも。清宮幸太郎も高校通算111本の本塁打を打っているんだから、もっと活躍するはずだと思うんですね」

 結構な野球通だが、仕事やXのネタにする気はあまりない。

「タレントの中には各球団のコアなファンがいるでしょ。そういう人に敵わないし、僕が発言したら、嫌な気分になる人もいると思うから、ブレーキがかかっているのかな」

 今後については「将来が見えていないから、何か具体的にやってこうとは思っていないです。でも、書き物の仕事は頂いたら、やっていきたい。文章や本を読むのは嫌いだし、自分では向いていないと思うけど、やってみたら、意外と合っているところあって、自分でもよく分かっていないんです。できれば、どの仕事もいろいろとやっていけたらいいと思うんですね。マルチタレントという名で薄く長く続けられたらいいかな(笑)」。このつかみどころのなさがつぶやきの魅力だ。

□つぶやきシロー(つぶやき・しろー)1971年3月10日、栃木県出身。愛知学院大学心理学科卒業。著書に『3月生まれあるある』(さくら舎)、小説『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館)、小説『イカと醤油』(宝島社)、『つぶやき隊』『みんなのつぶやき隊』『新しいつぶやき隊』(いずれもTOブックス)、『こんな人いるよねぇ~本を読んでつぶやいた』(自由国民社)などがある。

書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』
https://www.amazon.co.jp/dp/4093891540

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