新型コロナ抑え込みに成功した台湾の現状 第二波もおさえ“収束した感”強まっている
新型コロナウイルスの防疫措置で世界中から称賛を受けた台湾。国内の新規感染者数ゼロを連続56日記録した6月7日、中央政府の「疫情指揮センター」が防疫措置の大幅解禁を宣言するとともに、毎日行っていた記者会見を今後は週1回にすると発表した。 これを機に一時期のピリピリした空気はほぼなくなり、限りなく平常に近い生活が戻って来た。さらに6月22日、それまで慎重だった外国からの入境者に対しても緩和の措置がスタートしている。台北の今の風景を現地視点でご紹介したいと思う。
日々減りつつあるマスクの着用者
新型コロナウイルスの防疫措置で世界中から称賛を受けた台湾。国内の新規感染者数ゼロを連続56日記録した6月7日、中央政府の「疫情指揮センター」が防疫措置の大幅解禁を宣言するとともに、毎日行っていた記者会見を今後は週1回にすると発表した。
これを機に一時期のピリピリした空気はほぼなくなり、限りなく平常に近い生活が戻って来た。さらに6月22日、それまで慎重だった外国からの入境者に対しても緩和の措置がスタートしている。台北の今の風景を現地視点でご紹介したいと思う。
新型コロナウイルスの感染が広がっていたころ、台湾でも街を歩いている人のマスク着用率は非常に高かった。屋外でもおそらく9割を超えていたのではないだろうか。そのときは自分がマスクをしていないと罪悪感にも似た感情を覚えた。それがここ数日、微妙に変わりつつある。満面の笑顔を露出しながら街行く人が確実に増えている。マスクを外す人はさらに増えていくに違いない。
マスクといえば、購入量の制限もなくなって(以前は2週間に9枚)、箱単位で買えるようになった。海外への発送もできる。知り合いの会社では日本の取引先に数箱送ったという。マスクを求めて何時間も長蛇の列を作ったのが、今では懐かしい感じさえする。
レストランはほぼ平常の状態に
台湾といえば、大勢でテーブルを囲んで飲んだり食べたり。そんな光景も一時はまったく見られなかった。店内はどこも閑散として、従業員は1組か2組しかいないお客をひまそうに眺めていた。夜市もガラガラで、屋台の店主たちはただ茫然とするばかり。そんな中、いつ行っても満員のレストランが予約もなしですぐに入れたときは、うれしいというより何だか複雑な気分になった。
ところが6月に入って状況は一変した。それまでの鬱憤を晴らすかのように、みんなこぞって食事に出かけるようになったのだ。一旦そうなると、流れはもう止まらない。ぼくのもとにも誘いの電話やメールがいくつも入ってくる。新型コロナウイルスの非常事態から最初に立ち直るのは飲食施設のような気がする。食を大事にし、大勢でにぎやかに食事をするのが大好きな台湾らしい。
イベントの規模も拡大している感染は抑えられている
6月7日から映画館や野球観戦、その他のエンタテイメントやカルチャー関連のイベントでは隣りの席を空けて座る「梅花座」を行う必要がなくなった。これによって入場者数は増え、開催できるイベントの規模が大きくなった。
さらに6月11日からは9日間の日程で「媽祖繞境」が行われた。これは毎年約200万人が参加する台湾最大の宗教イベントで、経済効果は約30億元。もともと旧暦3月に行われる予定だったが、今年は新型コロナウイルスの影響で中止となっていたものだ。
僕自身の話もひとつ。6月は台湾の卒業シーズンに当たるが、国語の教科書に文章が載っている関係で、今年は3つの小学校から卒業記念の講演を依頼されていた。ところが、そのうちの2つは新型コロナウイルスの影響で早々と中止が決定した。残りの1つも難しいだろうなと思っていたら、その後、防疫対策の大幅解禁が発表されて、室内での密集人数の制限が250人に拡大したため開催することができた。
こうしてあちこちでイベントが開催され、それとともに生活が活気づいている。一方で、これによる感染は確認されていない。