志尊淳「命をかけて向き合わないとできない作品」 トランスジェンダーの男性を熱演

俳優の志尊淳が1日、都内で行われた映画『52ヘルツのクジラたち』の初日舞台あいさつに杉咲花、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃季、成島出監督とともに出席した。

舞台あいさつに登壇した志尊淳【写真:ENCOUNT編集部】
舞台あいさつに登壇した志尊淳【写真:ENCOUNT編集部】

「ぜひ観てねと安易に言えない部分がある」と複雑な思いを明かす

 俳優の志尊淳が1日、都内で行われた映画『52ヘルツのクジラたち』の初日舞台あいさつに杉咲花、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃季、成島出監督とともに出席した。

 原作は2021年の本屋大賞を受賞した、町田そのこ氏による同名小説。「52ヘルツのクジラ」とは、仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。ある傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家に移り住んできた貴瑚(杉咲)が、虐待され「ムシ」と呼ばれる少年と出会い、今はもう会えない安吾(志尊)との日々を思い出す……というストーリー。

 志尊は、トランスジェンダー男性の塾講師・岡田安吾を熱演したが「大げさな言葉になってしまいますが、命をかけて向き合わないとできない作品でした」と回想。「宣伝活動するなかで、この作品をどう説明したらいいんだろうって。ぜひ観てねと安易に言えない部分がある。公開されたけど、観て嫌な気持ちを持つ人がいなければいいという思い。杉咲花をはじめ、みんなでぶつかって時には苦しい思いもした。とにかく、こうしてたくさんの人に観てもらえるのが何よりも救い」と語った。

 登場人物ごとの“人生表”を手渡され、丁寧なリハーサルを何度も重ねるのが成島組の特徴。志尊は居酒屋に行くシーンの撮影を振り返り、「お店に入るところからやって座ったら、監督が『ちょっと待って。なんでここに座ったの?』って。『役は今、こういう状況。じゃあどこに座る?』と聞かれて……。ものづくりってこういうところから作るべきだよなって、身が引き締まる思いだった。緊張感を持ってリハをやれた期間は、貴重でした」としみじみだった。

 この日、3月5日で29歳の誕生日を迎える志尊に対し、サプライズ祝福が行われた。作品にちなみクジラがあしらわれた青い特注ケーキが登場すると「すごい。どんな味がするのか楽しみ。一人で最後まで食べたい」とにっこり。杉咲から花束を受け取ると「なんか公表の場ですいません、ありがとうございます」と感謝した。

 続けて「29歳になって20代最後の年になる。これから迎える30代を歩むなかで、この作品は絶対に僕を後押ししてくれる。こうしてみなさんに祝っていただけたこと、うれしいです」と気持ちを伝えた。

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