年齢差は10歳以上、15周年迎えた私立エビ中メンバーが明かす結束力の秘訣「固定観念を捨てた」
アイドルグループ・私立恵比寿中学が結成15周年を迎えた。大手芸能事務所・スターダストプロモーション所属のももいろクローバーZに次ぐグループとして、2009年に結成。「永遠に中学生」というコンセプトを掲げ、5人組でスタートし、メンバーの転入(加入)、転校(卒業)を経て、22年から10人新体制で活動している。最年長と最年少の歳の差は10歳以上。そこに上下関係はなく、全員が横一列でつながり続ける稀有なグループでもある。そこで、私立恵比寿中学ならではの「結束力」を安本彩花(25)、小林歌穂(23)、桜木心菜(18)、風見和香(16)の4人に聞いた。
安本彩花、小林歌穂、桜木心菜、風見和香インタビュー・後編
アイドルグループ・私立恵比寿中学が結成15周年を迎えた。大手芸能事務所・スターダストプロモーション所属のももいろクローバーZに次ぐグループとして、2009年に結成。「永遠に中学生」というコンセプトを掲げ、5人組でスタートし、メンバーの転入(加入)、転校(卒業)を経て、22年から10人新体制で活動している。最年長と最年少の歳の差は10歳以上。そこに上下関係はなく、全員が横一列でつながり続ける稀有なグループでもある。そこで、私立恵比寿中学ならではの「結束力」を安本彩花(25)、小林歌穂(23)、桜木心菜(18)、風見和香(16)の4人に聞いた。(取材・文=福嶋剛)
――15年経っても全く変わらない「チームワークの良さ」。その秘訣とは。
安本(彩花)「この前、振付師の方にも『今までいろんなグループを見てきたけれど、私立恵比寿中学は他にはない唯一無二の雰囲気を持ったグループだね』って言ってもらいました。そこは私たちが今までずっと大切にしてきたところで、思ったことはちゃんと正面から意見をぶつけ合って今の関係を築いてきました。私立恵比寿中学ってメンバーの変遷がめちゃめちゃあるグループで、私が入った頃はみんな学生だったから、1回遊んでプリクラ撮ったらすぐに仲良くなれたんです。でも、2021年に10歳近い歳の差の新メンバー(桜木、風見、小久保柚乃)が入ってきた時は、最初はコミュニケーションを取ることがとても難しかったです」
小林(歌穂)「私も2014年に転入して新メンバーとして大変なこともたくさん味わってきました。なので、『お姉さんメンバーから教わったことや助けてもらったことを今度は私が新メンバーにしてあげないと』という思いで接しています。でも、世代が違うと価値観も違うから、私の固定観念を捨てて、新メンバーを知るところから始めました。時間は掛かったけど、信頼関係が築けました」
――桜木さんと風見さんは転入して3年が経ちました。
桜木(心菜)「私って親譲りの負けず嫌いな性格で、小さい頃からダンスコンテストに出場したり、ずっと1人で戦ってきました。私立恵比寿中学に入った時も『誰にも絶対負けたくないし、自分にも負けない』っていう気持ちが強かったんです」
小林「心菜は『尖った性格の子かな』って思いましたが、私立恵比寿中学に入ってからすごく協調性を大切にするメンバーになったと思います」
――変化のきっかけは。
桜木「『こんな私をみんなが受け入れてくれた』と感じて、『私もちゃんとみんなを受け入れないと』って思うようになり、みんなと一緒にやっていく楽しさを学びました。エビ中私立恵比寿中学って横一列を大切にしているグループなので、個性豊かなメンバーなのにセンターがいなくても1つにまとまれるところがすごく良いところなんです」
安本「心菜は今まで1人で全部背負って頑張ってきたんだけど、『自分が苦手なところは得意な子に任せる』というチームワークを学んだことが大きかったのかなって思います」
風見(和香)「私はアイドル経験がなかったので、入ったばかりの頃は目の前のことしか見えなくて、どうやっていったら良いのか分かりませんでした。そんな時、高学年メンバーが真剣に向き合ってくれて、私立恵比寿中学というグループがここまでやってきた歴史や思いを教えてくれました。他にも『本番で実力を発揮するため、ライブはリハーサルから全力でやる』というアドバイスを直接くれたり、高学年メンバーから教わった多くのことが今の私につながっています」
――熱意を込めて伝えることは大切だと思います。反面、時に相手を委縮させてしまい、お互いの距離が離れてしまうこともありますよね。
安本「よく分かります。私たちも初めは世代の違いをどうやって埋めたら良いのか分かりませんでした。まずは『私立恵比寿中学が大切にしてきたことを一生懸命伝えてみよう』と思いました。時にはめちゃめちゃ怒ったり、厳しく言ってしまい、お互いに泣いちゃったりして、分かり合うまでに時間も掛かりました。でも、真剣に向き合った分だけ理解が深まり、『全員で新しいことに挑戦しよう』という意識も芽生えました。このぶつかり合いが、今の私たちの財産になっていると思います」
桜木「高学年メンバーの厳しいところと優しいところのメリハリが初めからハッキリしていました。『私たちを大切にしてくれているからこそ、本気でしかってくれた』というのが分かって、距離が縮まったと思います」
風見「自分だったら『絶対こっちが正解だ』と思ったら、それを押し通してしまいます。だけど、彩ちゃんや歌穂ちゃんは『そうだよね』と言って、最初に私たちの意見を受け入れてから、『こんな考え方もあるよ』と押し付けずにアドバイスをくれるんです。それはすごく勉強になります」
8thアルバム『indigo hour』の注目ポイントを4人が紹介
――安本さん、小林さんも低学年メンバーから学ぶことは多かったのでは。
安本「すごくあります。そもそも10年以上やってきた年上のお姉さんメンバーばかりのグループに飛び込んでくる時点で度胸のある子たちです。私たちの世代が真似できないメンタルの強さとチャレンジ精神を持っていて、和香は入った頃からステージ上で物怖じしたことがないくらいキラキラしています。心菜はへそ出しの衣装を着たり、グラビアに挑戦したり、得意なダンスを生かしたり、そんな新しい風を低学年メンバーから受け取っています。私たちも私立恵比寿中学に入った時のチャレンジ精神を思い出しました」
小林「世代の違いはあるけれど、今までやってきた全てがプラスになっています。気持ちの強さを持ったメンバーが入ってきたおかげで、さらにパワーアップできたと思います」
――「私立恵比寿中学らしさ」はメンバー間のつながりにあると。
安本「若手5人とベテラン5人が1つになるという課題をみんなで乗り越えたからこそ、他のどこもやっていない新しいことに挑戦できていると思います。歳の差に関係なく、みんな平等に意見を言い合えるチームって最高だなって思います。15年目を迎えても、全員で『もっと面白いことに挑戦しよう』というフレッシュな気持ちでいられるのは、すごく幸せです」
小林「今回のアルバム『indigo hour』のテーマは『永遠の青春』なんです。こうやって世代の違いを乗り越えてきたからこそ、本当の意味で永遠の青春を歌えるグループになったのかなって思います」
――最新アルバム『indigo hour』の注目ポイントを教えてください。
桜木「私の推し曲は、アルバム1曲目の自己紹介ラップ『Knock You Out!』です。梅田サイファーのKennyDoes(ケニーダズ)さんにリリックを書いていただきました。めちゃくちゃアガって自分のラップパートはR-指定(Creepy Nuts)さんを思い浮かべながらチャレンジしました。全員の個性をラップで表現した新しいタイプの曲なので、ライブやフェスで絶対ぶち上がれる曲です」
小林「私は3曲目の『BLUE DIZZINESS』がお勧めです。進化した私立恵比寿中学を感じてもらえる1曲ですし、『これからもファンのみなさんと一緒に前に進んでいくよ』という意味が歌詞に込められている大切な1曲です」
風見「私は6曲目の『CRYSTAL DROP』が推し曲です。ディレクターさんから『レコーディングする前に1度歌詞を全部読んでみよう』と言われて、初めてやってみました。歌詞に出てくる主人公の寂しさや言葉に表せない切ない気持ちみたいなものが伝わってきたので、初めて表現することを学んだ曲です」
安本「私は『トーキョーズ・ウェイ!』を推し曲に挙げます。TOKYO MXのアニメ『マッシュル-MASHLE-神覚者候補選抜試験編』のエンディングテ―マになっています。サウンドはめちゃくちゃクールなのに歌詞が思い切りシュール。振り付けも遊んでいるし、『私立恵比寿中学っぽさ』があってライブ映えする大好きな曲です」
□私立恵比寿中学 2009年8月結成。グループの活動コンセプトは、「永遠に中学生」。12年5月リリースのシングル『仮契約のシンデレラ』でメジャーデビュー。以来、全てのシングルがオリコントップ10入り。13年、初のアリーナ単独公演をさいたまスーパーアリーナで開催。同アリーナでの日本人アーティスト史上デビュー最速記録(当時)を打ち立てた。22年から10人体制。