杉咲花、主演映画封切りに安堵も「手放しで喜んでいません」 作品への思い明かす
俳優の杉咲花が1日、都内で行われた主演映画『52ヘルツのクジラたち』の初日舞台あいさつに志尊淳、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃季、成島出監督とともに出席した。
「きっと議論が起こると想像しています」とその理由明かす
俳優の杉咲花が1日、都内で行われた主演映画『52ヘルツのクジラたち』の初日舞台あいさつに志尊淳、宮沢氷魚、小野花梨、桑名桃季、成島出監督とともに出席した。
原作は2021年の本屋大賞を受賞した、町田そのこ氏による同名小説。「52ヘルツのクジラ」とは、仲間たちには聴こえない高い周波数で鳴く世界で1頭だけのクジラのこと。ある傷を抱え、東京から海辺の街の一軒家に移り住んできた貴瑚(杉咲)が、虐待され「ムシ」と呼ばれる少年と出会い、今はもう会えない安吾(志尊)との日々を思い出す……というストーリー。
初日を迎えたことに、杉咲は「感慨深い。約1年半前に監督と初めてお会いして、ゆっくり時間をかけて人が集いはじめて、議論して作品を深めた。その時間は骨が折れる日々だった。それだけ真剣な現場で、こんな現場に関わることができて幸せなこと。この日を迎えられて、少しだけほっとしている」と心境を明かした。
しかし、その一方で「私たちはこの映画を撮り終えて完成したことに、やりきったと手放しで喜んでいません。きっと議論が起こると想像していますし、みなさまの声を真摯に受け止めていきたい」と語る。「ただ私はこの作品が時代のなかで乗り越えていく作品になってほしいと思っている。将来、この作品を見返したときに『まだこういう悲劇が描かれていた時代があったのだ』と思われてほしい。そのためにこの作品が作られたのではないか、と信じています」とした。
続けて「人の痛みすべて分かることはできなくても、無力ではない。分からないから知りたいと思えるし、優しくしたいと思える。共感できなくても、隣にいられるし、大切なものを分け合える。だからこそ、どうか諦めないで人と関わってほしいという映画のメッセージを大切に受け止めたい。このメッセージを、私はきょう責任を持って届けにきた」と作品への思いを吐露した。