妻夫木聡がテレ東ドラマ初出演で渡辺謙と共演 脚本は北川悦吏子氏、『オレンジデイズ』以来20年ぶりタッグ
俳優の妻夫木聡と渡辺謙が5月6日に放送されるテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』に出演することが29日、発表された。妻夫木はテレ東ドラマ初出演にして、初主演となる。
医者と患者が各地を巡るヒューマンドラマ
俳優の妻夫木聡と渡辺謙が5月6日に放送されるテレビ東京開局60周年特別企画ドラマスペシャル『生きとし生けるもの』に出演することが29日、発表された。妻夫木はテレ東ドラマ初出演にして、初主演となる。
この作品は、人生に悩む医者と余命宣告された患者の2人が、人は何のために生き、何を残すのかという永遠の問いの答えを求めながら各地を巡るヒューマンドラマとなっている。
人生に悩む内科医・佐倉陸を演じるのは、シリアスからコメディまでさまざまな役を演じ、映画『ある男』では日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞するなど数々の話題作へ出演する妻夫木。
また、陸と旅をする、余命宣告を受けている男・成瀬翔を演じるのは、日本を代表する俳優であり、ハリウッドでも活躍を続ける、渡辺。今回、7キロの減量をするなど役作りをして本作に挑んだ。
物語をつづるのは、数々のラブストーリーを生み出し、『ラブストーリーの神様』と呼ばれる脚本家・北川悦吏子氏。北川氏のデビューはテレ東で1989年に放送したドラマ『月曜 女のサスペンス』の中の一遍「赤い殺意の館」での共同脚本だった。それから30年以上の時を経て、北川がテレ東に帰ってくる。北川作品に妻夫木が出演するのは『オレンジデイズ』(TBS)以来20年ぶり。渡辺の出演は初となる。
さらに、監督は映画『余命1ヶ月の花嫁』『月の満ち欠け』『母性』など、数々の名作を生み出している廣木隆一が務める。
妻夫木聡「謙さんが僕は大好きです」
以下、妻夫木、渡辺、北川のコメント全文。
○妻夫木聡
「今回、北川悦吏子さんとご一緒するのは約20年振りとなりました。そんなに月日が経っていたとは全く想像もつかなかったのですが、終わってみたらこの作品で再びご一緒するのは、どこか運命だったのではないかと思うくらい、僕にとって素晴らしい出逢いとなりました。死生観というものは人それぞれにあると思います。だけど、こんなにも真っ向からぶつかった作品はなかなかありません。生きる上での、喜び、哀しみ、希望、絶望、その全てを受け止めて僕は陸と共に旅に出たいと素直に感じました。いえ、出なければいけないという、どこか使命感にも近いものを感じていたのかもしれません。それくらい僕は北川さんの覚悟を感じましたし、北川さんは僕を信じて託してくれたのだと思います。想いとは相手を思う心。そんな想いが溢れたこの脚本で生きれたことに喜びを感じています。
渡辺謙さんにはとにかく感謝しています。謙さんがいなければ僕は陸になることはできなかったでしょう。役としてだけでなく、常に僕と向き合って一緒に闘ってくれた。オッサン(成瀬)と一緒にいることが当たり前になっていた僕は、撮影が終わった今、心にポカンと穴が空いたような状態です。スマートだけど、どこかチャーミングな謙さんはまさにオッサンそのものでした。そんなオッサンこと、謙さんが僕は大好きです。この作品で謙さんと一緒に旅をできたことは僕の財産となりました。
こんなにも役と共に生きた感覚を得られたのは久しぶりでした。生きることは何なのか、僕自身も陸と共にオッサンに導いてもらったような気がします。皆さんもこのドラマの中で、陸とオッサンと共に一緒に旅をしてもらいたい。そして、ドラマの中で精一杯生きる僕たちの想いを体感してもらいたい。きっと皆さんにも、幸せの瞬間が訪れることを確信しています」
○渡辺謙
「北川悦吏子さんから作品へのお誘いを頂いた。医者と死に行く患者の話だという。私は、かねてから医療に関するドラマを固辞していた。自分の体験から本当に苦しむ患者の気持ちはドラマでは描けないと感じていたからだ。そこからメールのやり取りが数回続いた。北川さんは難病と向き合い、独特の死生観を持たれていた。彼女の感じてきた『生きること』『死に向かうこと』それを演じてみたいと思った。
ある時は、薬の袋の裏に台詞を殴り書きしたという。彼女流の軽いやりとりの向こうに浮きあがる“死”。中々にハードルの高い作品だった。生きる事の苦しさ、喜びを感じながら北川悦吏子の『死生観』を体現した」
○北川悦吏子
「点滴を見つめる生活を続けた。なぜ、生きなければならないのか? また死を迎える人は、なぜ死ななければならないのか? 生きるって何だ? 死ぬって何だ? 人間ってどうだ? この15年来、脚本家としてどうしても書きたいと思っていたテーマだ。書いてみたら意外にも愛の話になった気もする。わからない。
この物語に、生と死に関してはっきりした結論があるのかどうかもわからない。答えなんてない中で、私たちは、ただ、生き続けるのかもしれない。けれど、妻夫木聡くん、渡辺謙さん、廣木隆一監督、得難い方々に集ってもらい、作品は、命を持つ生き物になった。
どうせ100年経ったらこの世は総入れ替え。今、この世界に生きる、どこかの誰かの胸に届くことを願って」