つぶやきシロー、“つぶやき”続けて15年 フォロー0&フォロワー100万人目前も「数字は気にしない」

お笑いタレントのつぶやきシロー(52)がX(旧ツイッター)に投稿したネタをまとめた書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』(小学館、税込1760円)を出版した。Xのフォロワー数は100万人まであとちょっとだが、つぶやきの思いは……。

つぶやきシローが14年以上続ける「つぶやき」について語る【写真:ENCOUNT編集部】
つぶやきシローが14年以上続ける「つぶやき」について語る【写真:ENCOUNT編集部】

ツイッター時代から15年間続けたポストが書籍化

 お笑いタレントのつぶやきシロー(52)がX(旧ツイッター)に投稿したネタをまとめた書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』(小学館、税込1760円)を出版した。Xのフォロワー数は100万人まであとちょっとだが、つぶやきの思いは……。(取材・文=平辻哲也)

 2009年9月から現在まで、毎日のようにXで「あるある」ネタを投稿し続けているつぶやきシロー。きっかけは、『週刊プレイボーイ』の企画だった。

「“つぶやき”つながりで、ツイッタージャパン(当時)の人がわざわざ来てくれて、僕のパソコンを設定してくれたんです。それで、編集者の人から『雑誌の発売まで2週間くらいやっていただけるといいんですけど』と言われたので、やってみようかな、と。やってみたら、『フォロワー増えていますよ』と言われて、やめにくいなって(笑)」

 Xの写真とプロフィールは今も、当時のまま。誰もフォローしていない。ほぼ1日に1回投稿を続けており、29日現在、フォロワーは98.6万人。まもなく100万人に届く勢いだ。

「数字は気にしていないです。SNSといっても一方通行。僕がフォローしたりすれば、増えるのかもしれないけど、そういうものはやってないから。だいたい、僕の投稿は1日1回だし、フォローしなくても、一気に1か月分くらい読めちゃうでしょ」

 SNS業界も15年間で様変わりした。2023年にはツイッターからXに名称変更。「つぶやき」とも言われた「ツイート」は「ポスト」、「リツイート」は「リポスト」に。収益化の仕組みもできた。

「面倒くさそうだな、と思っていますね。公の場では、僕もXと言いますけど、話す時はツイッターでいいんじゃねと思います。収益化の話も聞きましたが、会社もあんまり乗り気じゃないし、大した金額じゃないみたいだから、そのまま流れている感じです」

 Xの投稿は1日1回、夜にパソコンで打っている。

「大して面白いこと書いてないので、そんなに悩まないです。書いているのは、漫談のネタにはならないな、その後は広がらないなって思うこと。後から見ると、これは、いいかなと思うこともあるけど、大抵は不完全というか、志半ばで出しています。あるあるネタですけども、責任感もあんまりないので、スッと出せるんでしょうね」

 毎日投稿していたが、ここ1年は、さぼりがちなのだという。ただ、そのゆるさが続けられるコツでもある。

「夜の12時を過ぎたら、急におっくうになりますね。きょうは仕事で遅くなったからとか、お酒を飲みすぎちゃったから、『もういいや』となります。今は、最後のひと仕事みたいな感じはあるかな。ちょっと面倒くさいけど、やってしまえば、その後のお酒もうまいじゃないですか。そのための『振り』というのはあるかもしれないですね」

 本書ではXに投稿された「つぶやき」の中から、本人がセレクトした165本を収録し、さらにXに投稿した作品に加えて、「追いつぶやき」と称して、解説風のひと言を追記している。装丁は吉田戦車、さくらももこ、吉本ばなな、恩田陸らの書籍を手掛けたブックデザイナーの祖父江慎氏(65)が手掛けた。

「本になってみると、新鮮ですね。デザインを祖父江さんがやってくれて、おしゃれになっている。Xは横書きですけども、本では縦書きになっているから、感じも違って見える。選んだのは僕ですけど、ベストだと言うと、『これがベストなの?』と言われるし、『ベストじゃない』というと、『じゃあ、いいや』となるので、板挟みです。僕の場合、読んでもらって、ニヤッとしてもらえれば、大成功かな」

 日々の生活から、誰も“あるある”とうなづける短文を切り取ったもので、中には俳句のような味わい深い作品もある。あえてベスト・オブ・ベストを聞くと、「考えていなかったな」とポツリ。「本当にいいなと思ったのは、(表現が)あぶないから載っていないかもしれない」

 記者が特に好きなのは、「玉ねぎを生でかじるたくましさ。」だというと、「じゃあ、それで」と執着のなさを見せるから、面白い。

 悩ましいのは、行替えだという。

「なるべく画面に1行に収めようとしているのですが、うまくいかない。編集画面と表示画面って、ちょっと違うんですね。僕はあんまり字や本を読まない人だから、行が増えると、もう面倒くさくて読みたくないんですね」

 これもSNSの投稿“あるある”かもしれない。

□つぶやきシロー(つぶやき・しろー)1971年3月10日、栃木県出身。愛知学院大学心理学科卒業。著書に『3月生まれあるある』(さくら舎)、小説『私はいったい、何と闘っているのか』(小学館)、小説『イカと醤油』(宝島社)、『つぶやき隊』『みんなのつぶやき隊』『新しいつぶやき隊』(いずれもTOブックス)、『こんな人いるよねぇ~本を読んでつぶやいた』(自由国民社)などがある。

書籍『リモコンの電池を換えてて、ちょっとでもテレビに気を取られると、あれ?新しい電池どっちだっけってなるね。』
https://www.amazon.co.jp/dp/4093891540

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