28歳監督の商業デビュー作、池松壮亮出演映画が今秋公開 監督はスケートしながら撮影
俳優の池松壮亮が出演し、奥山大史(おくやま・ひろし)氏が監督を手掛ける映画『ぼくのお日さま』が今秋公開されることが、29日に発表された。
ハンバート ハンバートの同名曲が主題歌
俳優の池松壮亮が出演し、奥山大史(おくやま・ひろし)氏が監督を手掛ける映画『ぼくのお日さま』が今秋公開されることが、29日に発表された。
28歳の奥山監督は、大学在学中に長編初監督作となる『僕はイエス様が嫌い』(2019)を制作。史上最年少となる22歳で、第66回サンセバスチャン国際映画祭の最優秀新人監督賞を受賞した。是枝裕和監督や岩井俊二監督らにも一目置かれ、是枝裕和総合演出のNetflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』の5、6、7話の監督・脚本・編集を担当(5話は是枝監督との共同監督回)。また3月4日から放送開始するNHK夜ドラ『ユーミンストーリーズ』では、第3週『春よ、来い』(主演:宮崎あおい)の演出を手掛ける。
映画『ぼくのお日さま』は長編2本目で商業デビュー作。雪の降る街を舞台に、吃音を持つホッケー少年のタクヤと、フュギュアスケートを学ぶ少女さくら、そして元フィギュアスケート選手でさくらのコーチ荒川(池松)の3人の視点で紡がれる物語。
奥山監督自身が子どもの頃に約7年間フィギュアスケートを習っていた経験から、「雪が降り始めてから雪が解けるまでの少年の成長を描きたい」と本企画をスタート。本作では自身もスケートを滑りながら、カメラを回している。プロットを考える中で、男女デュオ・ハンバート ハンバートの楽曲『ぼくのお日さま』と出会い、その歌詞を聞いた途端「主人公の少年の姿がはっきり浮かび、物語がするすると動きだした」という。同曲は、ハンバート ハンバートが2014年に発表したアルバム『むかしぼくはみじめだった』に収録されている。これまで主題歌オファーがあっても断ってきたほど大切な楽曲だったが、奥山からの手紙を読んで、オファーを快諾した。
また池松は、奥山監督が総監督を務めた『エルメス(HERMES)』のドキュメンタリーフィルム『HUMAN ODYSSEY ―それは、創造を巡る旅。―』で撮影を共にしている。池松の佇まいに魅せられた奥山監督が、「この物語に大人の目線を加えたい」と思い、「夢に敗れた元フィギュアスケート選手のコーチ」という池松が演じたキャラクターが作られた。
池松は「奥山大史という凄まじい才能に出会い、対話を繰り返し、共感し合い、共犯できた全ての時間に感謝しています。この世界の光の粒のような2人の才能に出会えたことにも感謝しています」と、奥山監督とハンバート ハンバートとの出会いを喜んでいる。奥山監督は、「いつの日か、子どもの頃に習っていたフィギュアスケートの映画を作りたいと思っていました。でもなかなか作れずにいました。『ただ思い出を映像にするだけでは映画にならない』と頭を抱える日々でした」と振り返り、「そんな時、『ぼくのお日さま』という楽曲に出会い、惹かれるまま毎日聞くうちに、全く新しい物語が動き始め、時を同じくして、池松さんに出会い、この方の魅力を映し出すことができたら、映画になると確信できました」と語っている。
以下、池松、奥山監督、ハンバート ハンバートのコメント全文。
○池松壮亮
「奥山大史という凄まじい才能に出会い、対話を繰り返し、共感し合い、共犯できた全ての時間に感謝しています。この世界の光の粒のような2人の才能に出会えたことにも感謝しています。今作を共に創り上げたスタッフキャストと共に、この素晴らしい作品を届けることができることを幸せに思います。この世界の雪解けを予感させてくれるような、あまりにもピュアで、心に響く映画になりました。是非楽しみにしていてください」
○奥山大史監督
「いつの日か、子どもの頃に習っていたフィギュアスケートの映画を作りたいと思っていました。でもなかなか作れずにいました。『ただ思い出を映像にするだけでは映画にならない』と頭を抱える日々でした。そんな時、『ぼくのお日さま』という楽曲に出会い、惹かれるまま毎日聞くうちに、全く新しい物語が動き始め、時を同じくして、池松さんに出会い、この方の魅力を映し出すことができたら、映画になると確信できました。この作品で商業映画に初挑戦できたこと、うれしく思います。どうぞご期待ください」
○ハンバート ハンバート・佐藤良成
「奥山監督から最初手紙をいただきました。今作ろうとしている映画は、私の曲の中の『ぼく』から物語がふくらんだもので、主題歌にもその曲『ぼくのお日さま』を使いたいと。脚本や前作も拝見して、彼と是非仕事したいと思い快諾しました。出来上がった作品は、どのシーンのどのカットも実に美しい光と色で、こんな絵を撮る奥山監督は恐ろしい人だなと思います。自分の曲がこんなにも素晴らしい映画となって生まれ変わるなんて、本当に幸せです」
○ハンバート ハンバート・佐野遊穂
「とにかく映像の美しさが印象的でした。どこを切り取っても儚さが漂っていて、監督のキャラクターがそこに一番現れてるように感じました。この楽曲の『ぼく』や、タクヤ、荒川コーチ、それぞれに小さな救いがあったように、この映画がまた誰かのお日さまになればうれしい事だと思います」