伊藤万理華、「多様性」テーマの作品でNHKドラマ初主演 共演にドラマ初出演・和合由依

俳優の伊藤万理華、和合由依がNHKで5月11日から放送のドラマ『パーセント』(土曜午後10時、全4回)に出演することが26日、発表された。伊藤はNHKドラマ初主演、和合はドラマ初出演となる。

『パーセント』メインビジュアル
『パーセント』メインビジュアル

5月11日から放送

 俳優の伊藤万理華、和合由依がNHKで5月11日から放送のドラマ『パーセント』(土曜午後10時、全4回)に出演することが26日、発表された。伊藤はNHKドラマ初主演、和合はドラマ初出演となる。

 同企画は、テレビ局が「多様性」にしっかりと向き合えているのだろうか……という疑問から始動。これまで「当たり前」とされてきた表現も、実は誰かを軽んじたり、傷つけたりしていたんじゃないか。そのことを改善しようと、いち早く動いたのがイギリスの公共放送BBCだ。性別や障がい、人種による差別をなくし、出演機会を増やすため「出演者の○%にマイノリティーを起用する」という目標を定め、実行した。

 マイノリティーが参加する%(割合)を増やし差別を是正することを、「ポジティブ・アクション」という。数を合わせることが重要なのではなく、「意識改革」が目的。では、NHKの制作現場はどうだろうか。もっとアップデートできることがあるのではないか。そこで、まず初めに行ったのが、オーディションだ。特に今回は「障がいのある俳優」を排除することなく起用したいという思いから年齢・性別等の枠を設けずに実施し、100人以上の俳優と出会った。魅力あふれる表現者を目の当たりにし、「出演者に障がい者を起用する%を増やすこと」の意味を改めて考えた。この物語は、障がいのある方への取材で得たエピソードを反映した、実録ドラマとなっている。

 同作はローカルテレビ局「Pテレ」で、バラエティー班のアシスタント・プロデューサーとして多忙な日々を送る吉澤未来が主人公。彼女はいつかドラマ班に異動したいと、企画書を出し続けていた。ある日、編成部長に呼び出され、自身のドラマの企画が通ったことを告げられる。喜んだのもつかの間、部長は「この企画の主人公、障がい者ってことにできへんか?」と未来に尋ねた。局をあげた「多様性月間」というキャンペーンの一貫として、登場人物に多様性を持たせたドラマが必要なのだという。

 戸惑う未来をよそに、「障がいのある俳優を起用する」という条件で企画は進んでいく。当初は、エンターテイメントに振り切った学園ドラマを作りたいと思っていた未来だが、とにかく企画を成立させねばと、取材を進める。やがて彼女は車いすに乗った女子高校生・宮島ハルと出会う。俳優を目指すハルに未来は不思議な魅力を感じ、「私たちのドラマに出てください」とオファーするが、ハルは「障がいを利用されるんは嫌や」と拒否。あきらめきれない未来は、ハルが所属する劇団「S」の稽古場を訪ねる。

 伊藤は「障がいのある俳優を起用する」という局の方針に悩みながらも向き合う、若手プロデューサー・未来を演じる。そして未来と出会い、ドラマ出演に挑戦する高校生・宮島ハルを演じるのは、オーディションで抜てきされた和合だ。

 以下、キャスト陣&大池容子氏(脚本)、南野彩子さん(プロデューサー)のコメント全文。

○伊藤万理華

「人との距離感に境界線がなくなればいいのに。数年前から、物創りを通して考えていたタイミングで『パーセント』のお話をいただきました。最初は好奇心と恐れで意気込み過ぎていましたが、それは杞憂でした。ハルを演じたユイちゃんのまなざしに何度も胸を打たれ、引っ張られました。頑なにならずもっとシンプルに、素直に対“人”、対“あなた”に精一杯言葉を尽くす。ずっと大切にしてきたことを未来と重ねながら、少しの感情も逃さずに向き合った作品です。ハルと未来の新鮮な煌(きら)めきが『パーセント』に詰まっています。未来として『パーセント』を作ることができ幸せです!」

○和合由依

「宮島ハルに出会って、私はこれからを生きていくための力をもらえた気がします。『自分を生きる』ってとても難しい。何かにもがいてはまた1からスタートして、その度に自問自答を繰り返して、自分を見つめ直す。人生ってそう簡単に進まない。だからこそ人は生きれば生きるほど強くなる。この作品を通して、宮島ハルを演じて、私は『生きる』ということについて考え直しました。日々成長していくハルと一緒に私も成長できた気がします。泥臭い部分を持ちながらも、1つ1つの出来事と向き合って一生懸命に生きる彼女の姿ものぞきながら、このドラマが誰かにとって“明日も頑張ろう“と思える、背中を押してくれる作品となりましたら幸いです」

○脚本:大池容子氏

「『パーセント』を書くにあたって、プロデューサーの南野さんをはじめとするチームの皆さんと、1年以上、会議や取材を重ねてきました。その中で知ったこと、感じたこと、そして障がいのある俳優の皆さんと出会い、『この人たちと作品をつくりたい!』という気持ちが湧き上がってきたことを、主人公・未来の視点を通してふんだんに、正直にセリフの中に盛り込みました。アットホームな撮影現場で、スタッフさん、キャストさんが真摯(しんし)に試行錯誤を重ねて、その思いを具現化してくださいました。ドラマの現場、あるいは世間一般で常識や普通とされているものを疑うような投げかけができればなあ、と思っています」

○制作:プロデューサー南野彩子さん

「数年前、私は1人の俳優の履歴書を前に頭を抱えていました。その俳優は車いすに乗っていました。私は思わず、『障がいのある人って、撮影現場にお迎えできるんだっけ……』そんなことを考えてしまいました。私のその偏見こそ、彼のような俳優の活躍の場を狭めてきたんじゃないか。そんな思いから、障がいのある俳優さんたちを拒むことのない撮影現場を作りたいと、企画を出しました。けれど、撮影の準備を進める中で、何度も『これでいいんだろうか』と立ち止まってしまいました。

 例えば、障がいのある俳優を起用するためオーディションを開催しようとすると、募集要項が書けないんです。『多様性のために』とか『こんな時代だから』とか言葉を並べるほど、なんだかきれい事を言いたくて人を利用しているような感覚になりました。『障がいがあるから』という理由で人を選ぼうとしている時点で何か間違っているんじゃないか。そもそもなぜ、障がい者と健常者って線を引いているんだっけ……。『あなた』と『わたし』、ただ1対1の関係を築きたいのに、それを阻むものはなんだろう。考えれば考えるほど、自分がどう他者と向き合ったらいいか分からなくなってしまいました。

 それを業界の話にとどめず、人が人と出会う尊さ、関係を築く難しさ、それでも対話することの大切さ…… いまを生きる生身の人間の物語として、作り上げてくれたのが、脚本の大池容子さんです。そして主人公・未来(みく)を演じるのは伊藤万理華さん。未来はさまざまなモヤモヤを抱えてもがき続ける人物なのですが、そんな未来の気持ちを全身全霊で表現してくれました。さらに、未来に大きな影響を与える人物・ハルを演じるのは、ドラマ初出演の和合由依さんです。彼女の芝居をオーディションで見たとき、『この人と一緒にドラマを作りたい!!』と、心が震えました。未来とハル、2人の出会いから生まれたさまざまな感情を、ぜひお楽しみいただけたら幸いです」

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