林家木久扇、『笑点』勇退は「ホッとしている」と本音「毎週、試験を受けている感じ」

3月いっぱいで日本テレビ系『笑点』(日曜午後5時30分~)を勇退する落語家の林家木久扇が25日、東京・上野精養軒で行われた「落語協会百年」の会見に出席。「『笑点』は落語の窓口だと思ってやってきた」と落語の普及役に徹した思いを伝え、最後まで無事に務め切ることに「ホッとしています」と本音を吐露した。

会見に出席した林家木久扇【写真:ENCOUNT編集部】
会見に出席した林家木久扇【写真:ENCOUNT編集部】

次世代の若手のために提案「渋谷にもう1軒寄席があるといい」

 3月いっぱいで日本テレビ系『笑点』(日曜午後5時30分~)を勇退する落語家の林家木久扇が25日、東京・上野精養軒で行われた「落語協会百年」の会見に出席。「『笑点』は落語の窓口だと思ってやってきた」と落語の普及役に徹した思いを伝え、最後まで無事に務め切ることに「ホッとしています」と本音を吐露した。

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 この日、木久扇は、落語協会会長の柳亭市馬、副会長の林家正蔵とともに、同協会の相談役として、「落語協会百年」の式典の前に会見に臨んだ。

 100年前のきょう、同所で発会式が行われ、協会の歴史がスタートしたことに市馬は「ちょうどこの日に式典が行われることは、会員のひとりとしてこんなにうれしいことはございません」としみじみ。「100年先はどういうことになるか分かりませんが、ふらりと寄席に行ってきょうは噺でも聞こう、演芸を楽しもうという方がおいでだと思います。(芸人は)100年先のお客さんにうまくこたえられるように芸のしのぎを削っていることと思います」と、今後も演芸が栄える未来を願った。

「落語協会百年」の実行委員長を務める正蔵は、旗振り役としてユニクロとのコラボ商品の制作などを推進したが、「ほとんどが噺家と色物の方が手作り。刊行物を作ったりイベントを考え、皆さんに喜んでいただきたいという気持ちを込めてこの日を迎えました」と若手の力を結集した取り組みだと強調。「ここからがスタートです、3月の上席から来年2月の下席まで、いろんな企画で寄席に足を運んでいただこう、落語協会をかわいがっていただこうという思いで、1年間、100周年のイベントをやっていきたいと思います」と語った。

「100年のうちの63年を(落語家として)生きているわけでして、感無量でございます」という木久扇は「(8代目桂)文楽師匠、(古今亭)志ん生師匠、(5代目柳家)小さん師匠、(三遊亭)円生師匠にお茶を出したり、着物を畳んだことは私の大変な記念になっています。(協会員ではなかった)三遊亭金馬師匠のお手伝いもしました。名人に全員お会いしたわけでして」と、長年のキャリアを伝えた。

 3月に、『笑点』を勇退することにも触れ「55年(番組に)出ておりまして、面白いこと、おかしいことを毎週やらなきゃいけない。毎週、試験を受けている感じ。(勇退に)ホッとしております」と本音をチラリ。「『笑点』という落語の世界を伝える20分の窓口だと思って務めてきました。私は(演芸ファンの)呼び込み役。若い人につないでもらって、誰かが私の席に座ってもらいたい」と次世代に期待を寄せた。

 さらに演芸界の未来について「(都内に)もう1軒、寄席があるといい」と提案。かつて東急文化寄席などが開催されていた東京・渋谷に着眼し「渋谷には下地がある。私鉄の沿線のお客さんが来ます」と期待し、「(人間国宝だった5代目の柳家)小さん師匠が寄席を作ろうということで、亡くなる直前までやっていた。今の定席だけじゃなくて、もう1軒作ると、若い人が飛び出すことになれると思います」と場の拡大を願った。

次のページへ (2/2) 【写真】「落語協会百年」の会見の様子
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