大手事務所から独立しても売れっ子、賀来賢人の嬉しい誤算「自分のペースで仕事ができるはずが」
Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)でプロデューサーに初挑戦した俳優の賀来賢人(34)。忍者の一家を主人公にした同ドラマはアクション・サスペンスとホームドラマを融合させた、世界に通じるエンタメ。賀来が作品に込めた思い、家族について語った。
映画製作にも意欲「せっかくなら、ゼロから作り上げたい」
Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)でプロデューサーに初挑戦した俳優の賀来賢人(34)。忍者の一家を主人公にした同ドラマはアクション・サスペンスとホームドラマを融合させた、世界に通じるエンタメ。賀来が作品に込めた思い、家族について語った。(取材・文=平辻哲也)
『忍びの家』は代々、忍者をしてきた一家が巨大な陰謀に巻き込まれていくサスペンス・アクション。日本発、世界でヒットしている忍者を正面から捉え直し、スパイアクションとホームドラマを融合させて、ワクワクさせるエンタテイメントに仕上げている。世界でも、ヒットすることが期待される。
「僕は日本よりも海外でいけるんじゃないかと思っています。忍者というテーマと家族という普遍的なテーマがあって、構成もシンプルなので、多くの人に楽しんでもらえるんじゃないかと思っています。続編につなげていける構想も浮かびますし、本作の手応えはあります」と自信を見せる。
ドラマの魅力の一つはホームドラマとしての面白さにある。
主人公は、優しさゆえに、大切な家族の一人を失い、忍者稼業を捨てて、平凡な日常を過ごす俵晴(賀来)。父・壮一(江口洋介)は家族を守るために、表の仕事である造り酒屋に力を入れる。そんな平凡な日常に物足りなさを感じている母・陽子(木村多江)、女子大生として過ごしながらも、忍者としての鍛錬を忘れない長女・凪(蒔田彩珠)、家族の秘密を知らずに育った末っ子・陸(番家天嵩)、隠居の身ながら、時折、ただものではない能力を見せる祖母・タキ(宮本信子)。それぞれ秘密や葛藤を抱え、バラバラだった家族は、ある出来事をきっかけに一つになっていく……。
家族で忍者村を訪れた経験が構想の下敷きになっているそうで、家族という存在の大切さがうかがえる。
「家族は僕の中でも普遍のテーマだと思うし、世界共通ではないか、と思うんです」
俵家の食卓、家族が集うシーンはサスペンスから一息入れて、クスッと笑える、楽しめるシーンの一つだ。
「家のシーンは全部セットで撮っているんですが、カットがかかっても、みんな楽屋に帰らないんです。残って、『うちの家族は……』という話をダベったりしていました。事前にも、みなさんの家族の話も伺っていて、そこで見えてきた部分もヒントやエッセンスになっています。宮本信子さんは『この本は面白い。だからこそ、家族の会話をちゃんと撮らないといけないよ』と言ってくださった。それはウソがないように、ということだと思うんです。そこは最後まで突き詰めることができました」
キャストとのコミュニケーションを吸い上げて、作品に反映させる。それこそが俳優がプロデューサーを務める意味だと言えるだろう。ドラマ、映画にもなった『今日から俺は!!』『TOKYO MER』など当たり役を持つ賀来だが、今後はクリエティブな部分にも力を入れたいという。
「まだ具体的なことは言えないのですが、映画も作りたいと思っています。やるならば、オリジナルです。原作モノが悪いという意味ではなく、せっかくなら、ゼロから作り上げたい。それがモノづくりの醍醐味だと思うんです。誰も知らないストーリーを作っていきたい」
新たな仕事へのチャレンジを通して、ドラマ、映画、CMに活躍し、テレビで見ない日はない賀来だが、仕事とプライベートのバランスはどう考えているだろうか。
「昨年はちょっと働きすぎてしまいました。自分のペースで仕事ができるからと思って、独立したのですが、逆にどんどん仕事を入れてしまうんですよね。昨年末は体調を崩してしまったので、今年は少しペースを落として、いっぱい休もうと思っています。子育ても大変ではありますが、子どもたちと過ごす時間は大切だな、と思っています。ちゃんと家族の時間を取って自分と向き合う時間を作ろうかなと思っています」
■賀来賢人(かく・けんと)東京都出身。07年に俳優デビュー。映画「銀色の雨』(09) で初主演を務めた。以降映画、ドラマ、舞台とコンスタント に出演を続け着実にキャリアを積み、ドラマ『今日から俺は!!』(18)で大ブレイクし、『ニッポンノワール―刑事Yの 反乱―』(19)と主演ドラマが続く。主な映画出演作に『ごくせんTHEMOVIE』(09)、『ソフトボーイ』(10)、『オー!ファザー』(14)、『森山中教習所』(16)、『斉木楠雄のΨ難』(17)、『ちはやふる―結び―』(18)、「最高の人生の見つけ方』(19)『今日から俺は!!劇場版』(20)、『新解釈・三國志』(20)、『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』(23)など。