賀来賢人、忍者ドラマ製作のきっかけは家族で行った「忍者村」 プロデューサー挑戦で新境地

俳優の賀来賢人(34)はチャレンジが好きな俳優だ。22年9月には大手事務所との契約を終了し、独立。そして、Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)ではプロデューサーに挑戦した。そのきっかけは、意外な理由だった。

インタビューに応じた賀来賢人【写真:荒川祐史】
インタビューに応じた賀来賢人【写真:荒川祐史】

Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』でプロデューサーに

 俳優の賀来賢人(34)はチャレンジが好きな俳優だ。22年9月には大手事務所との契約を終了し、独立。そして、Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』(Netflixにて独占配信中)ではプロデューサーに挑戦した。そのきっかけは、意外な理由だった。(取材・文=平辻哲也)

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『忍びの家』は今まで日本でありそうで、なかった現代スパイアクションだ。

 主人公は過去のトラウマから忍者を引退した男、俵晴(たわら・はる)。俵家は表向き、酒造会社を営んでいるが、実は服部半蔵の血を引き、代々忍者を家業としてきたナゾめいたファミリー。海外で人気の高い忍者を前面に出し、アクションとホームドラマを融合させている。共演には江口洋介、木村多江、高良健吾、蒔田彩珠、宮本信子、山田孝之と日本を代表するキャストが結集。監督には気鋭のデイヴ・ボイルを迎えた。

 この企画を原案者として立ち上げた張本人が賀来だ。作品では「共同エグゼクティブ・プロデューサー」として名を連ねている。

「20年春からコロナ禍で、ドラマや映画が止まってしまい、自分の仕事がなくなると思ったんです。それなら、自分が作ってしまえばいいんだと思ったんです。海外の俳優は、プロデュースと主演をやっていますから」

 企画のヒントになったのは、子どもを連れて、たまたま出かけた忍者村だった。

「そこまで大きくはない感じなんですが、僕はめちゃくちゃ楽しかった。子どももすごく熱狂して、外国人の観光客が超ノリノリだったんです。忍者は海外ではすごく人気がありますが、日本人って、あまり興味がない気がして。カルチャーとして、こんなに強いのにもったいないな、と思ったわけです」

 現代の忍者を作る上で、家族という要素を加えた。

「家族は、僕の中で普遍的なものであるし、世界共通のものだと思うんです。家族全員が忍者だったら、どういうストーリーになるかなと考えました。Netflixに持ち込んだら、すごく面白がってくれた。ただ、同時に足りないところもあったので、今回の監督・脚本のデイヴ・ボイルを引き合わせてくれたんです」

 デイヴ・ボイル監督は42歳。大学では日本語を専攻した親日家で、ロサンゼルス在住の藤谷文子をヒロインに起用した『Man From Reno(マン・フロム・リノ)』が第20回ロサンゼルス映画祭でグランプリを受賞した気鋭だ。

「デイヴが監督してくれたことは本当によかったです。日本人が忍者モノを作ると、忍者にリスペクトが足りない気がして、いい作品ができないんじゃないかと思ったんです。反面、海外の忍者モノって、日本の忍者ではないんですよね。その点、デイヴは日本にも詳しいし、海外の視点も持っています。提示してくれた忍者像には、気づきがいっぱいありました。忍者は肉を食べない、酒も飲まない、性欲も持たないようにしている我慢している人たちで、伝統も捨てられない。そこが面白かった」

プロデューサーでの苦労も明かした【写真:荒川祐史】
プロデューサーでの苦労も明かした【写真:荒川祐史】

 製作費以外のクリエイティブ部分には企画、本作り、キャスティング、撮影、編集まで関与した。初のプロデュース業にはどんな気づきがあったのか。

「監督のクリエイティブをどこまで尊重できるかが一番大事だと思いました。監督はリーダーであるし、その人がやりたいことを実現させるために信じてやっていく。それをサポートするのがプロデューサーの形なのかなと思いました。デイヴは日本でちゃんと仕事するのは初めてで、最初は日本語に苦労していましたが、今ではネイティブといっていいレベル。コミュニケーションは完璧です」

 苦労したのは準備段階だという。

「コロナ禍で不確定要素がちょっと多すぎたんです。本作り、キャスティング、ロケーション、スケジュールもそうでした。クランクインするまで『やれるのか』というドキドキもあって、ギリギリまでヒリヒリした思い出があります」

 撮影は21年に一部を行い、22年夏から23年3月まで半年以上をかけた。

「ドラマをやっているというよりも、8本の映画を撮っている感覚が大きかったですね。撮影中は自分の役に集中して、終わったら、他のシーンを見て、気づくことがあれば、監督に話すようにしていました。基本は事前に問題点を全部解消するようにしていました。撮影が終わったら、次の日の撮影のことを監督と話していました」

 ハリウッドではスター自らがプロデューサーを務め、商業的にも批評的にも大きな成功を収めている。その代表例は『ディパーテッド』『ツリー・オブ・ライフ』『マネー・ボール』『ムーンライト』のブラッド・ピット、『ミッション:インポッシブル』シリーズ、『トップガン マーヴェリック』のトム・クルーズ。しかし、日本で俳優がプロデューサーを兼ねる例は多くはない。

「確かに今は少ないと思います。日本の環境のせいでもあると思います。ただ、僕が知っている限り、これからすごく増えていくと思います。監督は専門職だと思いますが、俳優からプロデューサーになるのは、自然なことだと思うんです。作品を俯瞰で見る作業は役者にも必要ですから」。俳優としてのキャリアを武器に、今後はゼロからモノづくりに関わっていくつもりだ。

□賀来賢人(かく・けんと)東京都出身。07年に俳優デビュー。映画「銀色の雨』(09)で初主演を務めた。以降映画、ドラマ、舞台とコンスタントに出演を続け着実にキャリアを積み、ドラマ『今日から俺は!!』(18)で大ブレイクし、『ニッポンノワール―刑事Yの 反乱―』(19)と主演ドラマが続く。主な映画出演作に『ごくせんTHEMOVIE』(09)、『ソフトボーイ』(10)、『オー!ファザー』(14)、『森山中教習所』(16)、『斉木楠雄のΨ難』(17)、『ちはやふる―結び―』(18)、「最高の人生の見つけ方』(19)『今日から俺は!!劇場版』(20)、『新解釈・三國志』(20)、『劇場版TOKYO MER~走る緊急救命室~』(23)など。

スタイリスト:小林新/UM
ヘアメイク:西岡達也/leinwand

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