北原里英『マーダーミステリー』は全部“ガチ” 全アドリブで「何が起きるか分からない」
AKB48の元メンバーで俳優の北原里英(32)が映画『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(2月16日公開)に出演した。推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの劇場版。北原が、脚本なし、全部がアドリブという現場の裏側を明かした。
「撮影が終わった日はアドレナリンが出まくり」と舞台裏を明かす
AKB48の元メンバーで俳優の北原里英(32)が映画『劇場版 マーダー★ミステリー 探偵・斑目瑞男の事件簿 鬼灯村伝説 呪いの血』(2月16日公開)に出演した。推理小説の登場人物となり、参加者が話し合いながら事件の解決を目指す体験型ゲームの劇場版。北原が、脚本なし、全部がアドリブという現場の裏側を明かした。(取材・文=平辻哲也)
『マーダー★ミステリー』は中国でバラエティー番組をきっかけに大ブームとなった日本版。2021年3月、ストーリーテラーに劇団ひとりを迎えて、朝日放送がドラマ化。出演者たちもストーリー展開、犯人を知らない中、アドリブで演技し、結末までたどり着くという斬新なアイデアと先読みできない展開が受け、21年12月には舞台化、22年3月にはシリーズ第2弾ドラマが放送された。
劇場版はドラマ版のエピソード0といった位置づけ。「一夜のうちに3人の生贄の血を滴らせると死者が蘇生する」という伝承が残る鬼灯(ほおずき)村で、村長が遺体となって発見される。容疑者は邸宅に滞在していた8人。そのすべてにアリバイはなく、動機もあるが、8人は協力して、犯人探しをすることになる……。
「私はマーダーミステリーにすごい縁があって、オンライン演劇、日テレさんのドラマでもやったことがあったので、ついに劇場版かと(笑)。全メディアでマーダーミステリーをやるんじゃないかと思いつつ、経験者の分、余裕はありましたが、この豪華キャストの皆様とどうなるんだろうというワクワクがありました」
出演はシリーズの主人公である探偵・斑目瑞男を演じる劇団ひとり、斑目の助手・村城和兎役で剛力彩芽。木村了、犬飼貴丈、文音、松村沙友理、八嶋智人、高橋克典らが出演。北原は、移住してきたばかりの元看護師、七尾優子役を演じた。
「本当に台本がないです。プロローグだけは撮って、後は自分のキャラクター設定書と事件当日の動きをもらって、その先は本当に何が起きるか分からない。ガチアドリブですね。キャラクターを膨らませてところは、他の芝居も変わらない。セリフを覚えなくていいのは楽かもしれません」と笑う。
同じ事務所の劇団ひとり以外は初の顔合わせ。ゲーム初心者も多かったことから、初日は市販のゲーム『マーダー・ミステリー』をプレーして、理解することから始まった。
「ゲームをやったことで初日に共演者の皆さまとの関係性が築けたので、2日目は結構和気あいあいで、チーム感が生まれたんです。みなさん、犯人らしく、あえて強めに怪しく振る舞ったりとかして、楽しかったですね。絶妙なさじ加減で演じているので、見ている方々もだまされるんじゃないか、と思います」
撮影はほぼ一発撮り。演技中には監督からNGの指示もない。言葉に詰まった瞬間もあえて使っていて、それがリアルさを増している。
「そんな中でも、みんな役者さんたちなので、『本当にこれ台本ないよね』みたいな瞬間がたくさんありました。演じる時は舞台のエチュードでやっている感覚で、もう突き進むしかなという感じ。第2フェーズからはそれぞれ見つけてきた証拠品を出して、疑い合うみたいな時間があって、全員が神経を尖らせていました」
北原は最初にセリフを言った方が楽ではないかと思ったが、共演者に遠慮して、言い出せなかったという。
「このメンバーで行けなかったですね。初っ端、八嶋さんとひとりさんが掻き乱し始めてくれたときには本当に尊敬しました。場数が違うと思いました。私は、(劇団ひとりが出演する)『ゴットタン』のキス我慢選手権が大好きだったので、生でひとりさんのアドリブを見られたのがすごくうれしかったです。撮影が終わった日はアドレナリンが出まくりで、なかなか寝付けなかった」と振り返る。
完成された作品には「もっとこうすればよかった」との反省もしつつ、手応えも感じた。
「クスッと笑えるところもありますけど、重厚なミステリー映画に寄せていただいたなと感じました。編集の力ですごいなって思いました。ミステリーファンの方も楽しめると思いますし、1度結末まで見ていただき、犯人を知った上でもう1回見ていただけると、もっと面白いと思います。現場ではどんどんみんなも慣れてきて、コミカルな要素も多かったので、DVDを発売するときはコメディー寄りの本編も見てみたい」と自身でも、楽しんで演じられることができたようだ。
□北原里英(きたはら・りえ)1991年。愛知県出身。2007年、AKB48第二回研究生(5期生)オーディションに合格して、08年からAKB48メンバーとして活躍。15年、NGT48に移籍し、キャプテンを務める。18年にNGT48を卒業。卒業後、ドラマや映画に多数出演し活躍している。俳優ほか23年には小説家としてデビューを果たす。近年の代表作として、映画『女子大小路の名探偵』(23)、『神さま待って!お花が咲くから』(23)など。