身を乗り出した観客がラウンドガールと接触 謝罪求めるもまさかの返答で一触即発の状況に
リングを彩るラウンドガール。こまつなもその一人だ。しかも最近、ときおり見かけるシングルマザーのラウンドガールでもある。現在、通算8年に渡るラウンドガール歴を誇るこまつなが、自身の目で見て体感してきた格闘技の魅力を激白する。
オーディション中は2週間、ケイタイとニラめっこ
リングを彩るラウンドガール。こまつなもその一人だ。しかも最近、ときおり見かけるシングルマザーのラウンドガールでもある。現在、通算8年に渡るラウンドガール歴を誇るこまつなが、自身の目で見て体感してきた格闘技の魅力を激白する。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
「一番の思い出は、最初に後楽園で大会が開催された時(22年11月7日)ですかね。やっぱり後楽園でやるのって、格闘技イベントである限りひとつの目標だし、Fighting NEXUS(ネクサス)もここまで来たかみたいな感慨はありました。少しずつでも上に上がっているんだなって自分も感動しましたね」
ネクサスでラウンドガールを務める、こまつながそう話した。
こまつなは現在26歳だが、ラウンドガールとして初めてリングに立ったのは18、19歳の頃。実に8年も前になる。
「原点は地元・土浦のST fighting showっていう施設の子どもたちへの支援活動を目的としたチャリティー格闘技イベントの大会があって、そこでのラウンドガールでした。その後、21歳の時にネクサスにお世話になるようになって」
ひと口にラウンドガールといっても、最近はほぼどの団体でも、華やかなリング上に至るまでには課金制のオーディションがある。それによってユーザーからの投票での支持率と順位を決め、その金額の高い順にラウンドガールが選出される。もちろん、こまつなもこれに参加し、見事リングに立つ権利を得た。
「今はみんなそんな感じじゃないですか。私もあの時は死に物狂いで票を集めましたけど、オーディションの期間は精神的にも追い込まれますね。ユーザーとのやりとりが重要になってくるので、ずーっと携帯を気にしていなければいけないんです。実は私、今、喧嘩道ガールズでもあるんですけど、そっちはゲーム内のオーディションだったので、2週間、ずっとニラめっこしてましたね」
ネクサスガールズでありながら喧嘩道ガールズも兼任するこまつな。これに関しては、ネクサスの山田俊平代表も「偉い」と太鼓判を押す。
「ウチは選手に対しても契約で縛ったりせず、どんどんステップアップしてもらえればと思っているので、ラウンドガールもステップアップしてもらえたら。こまつなは、いろんなところでネクサスの話をしてくれているみたいですし。それと仕事じゃなくても格闘技が好きなのが分かるのが良いですよね。選手と勝手に仲良くなってくれるのもありがたいです。なかには口説かれたり、連絡がたくさん来たり大変でしょうけど、選手と仲良くなったほうが、試合を見ていて面白いと思いますから」
ちなみに茨城在住のこまつなは、ほぼ月イチで都内で開催されるネクサスの大会が終了すると、宿泊はせず、その日のうちに帰路に着く。
「終わったら、すぐに帰ってますね。電車で1時間半くらいなので。実は私、シングル(マザー)なんですよ。だから終わったら速攻で茨城に帰って、子どもを迎えに行ってますね。山田さんもそこを気にしてくれて、『時間大丈夫?』とか言ってくれます。大変なこと? それはまったくないかな。4月から小学生なんですけど、強いてあげれば、私に似て我が強いことくらいですね(笑)」
喧嘩道ガールズとして朝倉海VSアーチュレッタ戦に感動
前述通り、こまつなは喧嘩道ガールズも担当している。
「去年の2月、3月から(喧嘩道ガールズも)やらせてもらっていまして。契約は1年なんですけど、去年の大晦日には、朝倉海選手のバンタム級(61キロ契約)タイトルマッチの時にRIZINのリングにも出させてもらったんです。でも、その試合の相手だったフアン・アーチュレッタ選手が前日の計量で(2.8キロの)体重超過で計量オーバーしてしまって。朝倉海選手の試合があるかどうか、直前まで決まらなかったんです」
朝倉海の試合の有無が決まらなければ、こまつなの出番があるのかないのかも決まらない。
「だから、ドキドキするじゃないですか。そしたら結局、やることになって、その時にRIZINを初めて見ました。その時は、選手の気持ちとか状況とか含めて、会場の盛り上がりもそうですけど、すごい感動しました。こんな試合もあるんだなっていう。そこでまた格闘技に興味を持ちましたね」
RIZINに限らず、格闘技の大会ではあらかじめ決められた契約体重に沿って試合をする。ただ、朝倉海VSアーチュレッタ戦のようなカードで契約体重が守られなかった場合、通常は中止(不成立)されるが、RIZINでは最後の最後まで関係者が協議した結果、試合の1時間前に再計量し、68キロであれば、バンタム級タイトル戦として実施することを決めた。その場合、もしアーチュレッタが勝ったとしても無効試合、海が勝った時のみ、勝利になる特別ルールが採用された。
こまつなからすれば、そういった関係者の粘り強さや試合が成立する過程を含めた上で、格闘技の奥深さを知ったに違いない。しかも朝倉海が退場する際、こまつなは衝撃的な体験をする。
「海選手の試合を終えて退場するのを、私は自分の席で待っていたんですね。その席は隣にフェンスがあって、その向こうに客席があったんですけど、海選手の退場の時に、ファンの方々がフェンスを乗り越えるくらいに手とカラダを飛び出してきて。ある女性の手が私の頭にガッツリ当たったんです」
その瞬間、こまつなは年末でもあるし、穏やかに済まそうと思った。
「でも、やっぱり我慢できなくて、その女性に『普通に痛いんだけど。謝って!』って言いました。そしたらその女性が『私が悪いんですね、すいませんねー』って嫌味ったらしく言ってきたので、思わず『ちゃんと謝れないんだね。その謝り方は大人気ないよ』と言っちゃいましたね」
まさに喧嘩道ガールズの真骨頂爆発とまでにはさすがに行かず、手までは出すこともなかったそうだが、その時にこまつなは思った。
「私としては、『ありがとう』と『ごめんなさい』は大切だよなーって改めて思いました。子どものほうが断然、素直に『ありがとう』も『ごめんなさい』も言ってますよね」
ラウンドガールでありながら、母親としての強さも併せ持つこまつな。18日にはGARDEN新木場FACTORYで2024年最初の「ネクサス」プロ興行が開催されるが、もちろん当日は、こまつなも年内最初のラウンドガール姿を披露することになっている。