大沢たかお、主演・プロデュース作で提起したい“日本の問題”「みんなどこかで不安な思いを抱えてる」

俳優の大沢たかおが主演・プロデューサーを務めた映画『沈黙の艦隊』が、Amazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』(全8話)として2月9日からPrime Videoにて世界独占配信がスタート。このほど、インタビューに応じ、作品にかけた思いやプロデューサーになった経緯について語った。

インタビューに応じた大沢たかお【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた大沢たかお【写真:ENCOUNT編集部】

ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』が9日から配信開始

 俳優の大沢たかおが主演・プロデューサーを務めた映画『沈黙の艦隊』が、Amazon Original ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』(全8話)として2月9日からPrime Videoにて世界独占配信がスタート。このほど、インタビューに応じ、作品にかけた思いやプロデューサーになった経緯について語った。(取材・文=猪俣創平)

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 1988~96年に『モーニング』(講談社)で連載されたかわぐちかいじ氏の同名漫画を実写化した映画『沈黙の艦隊』は、2023年9月29日に公開された。今回のドラマでは、劇場未公開シーンを加え、前半は劇場版のストーリーをより多くの登場人物にフォーカスして描いていく。後半は劇場版の続きとなる沖縄沖海戦、東京湾海戦が舞台となる壮大なバトルシーンが見どころとなる。

 原作の連載から30年が経過した今、実写化するに至った背景について「本当にいろんなご縁で人や条件がそろった結果です。“今だからこそ映画化”と言うよりも、“気が付いたら今だった”という言い方が正確な答えかもしれません」と、完成までの道のりを振り返った。

 今作でプロデューサーとしても名を連ねた理由を尋ねると、「製作に最初からいたので、周りから『責任逃れさせないぞ』という意味でしょうか。逮捕されたみたいな」と冗談めかしに笑った。そんな実写化に向けた航海の始まりは、今作や映画『キングダム』などのプロデューサーを務める松橋真三氏との会話だった。

「電車の中で松橋プロデューサーから『沈黙の艦隊』を映画にしたいという話をお聞きして、実現するのは難しいけど面白いなと思いました。ただ、当時の僕は『キングダム』をやっていたので、それどころじゃなくて。それから少し時間がたって、自分の撮影分が終わってから改めて映画化についていろいろ考えました。それで、松橋プロデューサーとお会いして『沈黙の艦隊』の実写映画化を本丸に、本気でやりましょうと伝えました。そこから動き出しましたね」

 実写化に魅力を感じたのはストーリーだけでなく、テーマもその一つだった。「『未来の日本はどうなるんだろう』みたいな話をよく2人でしていました。もともと、そういうことに関心があったり、いろいろ問題視していたところだったので」と、原作を通して浮かび上がる日本の姿にも興味をひかれていた。

 本作で大沢は、日米政府が秘密裏に開発を進めていた原子力潜水艦を乗っ取り、独立国「やまと」の建国を宣言して“真の平和”を求める男、海江田四郎を演じた。ドラマでは東京湾を舞台に、海江田らがテロリストとも思える行動で、日本の海上自衛隊、アメリカ海軍とバトルを繰り広げる。スリリングな戦闘シーンだけでなく、核や日米関係など日本を取り巻くさまざまな問題も描き出される。製作にあたり他のプロデューサーや監督らに、自らの口で今作にかける思いを訴えていた。

「日本の未来とか、今の日本の状態とか、みんなどこかで不安な思いを実は抱えていたり、問題があるんじゃないかって分かっているんだけど、何か触れてはいけない空気の中にいると思います。でも、いつまでも蓋をし続けられない時期に差しかかっているんじゃないかと思って、この企画をやりたいと話してきました。監督さんも含めて、ほぼ全員に同じ言い方で伝えました。この作品を通して全てが解決するとは思わないけど、1つのきっかけには必ずするので、力になっていただけないか、と」

 そんな大沢の熱意もあってか、海上自衛隊・潜水艦部隊の協力を得て撮影も行われ、さらにドラマ版は世界配信もされる。今回、大沢は英語のセリフが多いものの、世界を意識した芝居は行っていないという。「インターナショナル用に芝居してもしょうがないし、それ用に何かやったって誰も喜ばない」と、心がけを明かした。

「世界からどう受け取られるかは分かりません。そこで何が一番大事かといえば、自分たちがなるべくうそをつかず、置きにいかず、腹を据えて『これが我々のやりたかった作品です』と胸を張ってやる以外にないと思ったんです。より日本人の思う考え方とか、より日本人の思う価値観とか、その姿をちゃんと見せていくことが重要だと」

『沈黙の艦隊』世界配信への思いを語った【写真:ENCOUNT編集部】
『沈黙の艦隊』世界配信への思いを語った【写真:ENCOUNT編集部】

異例の配信形式「いろんな可能性とか挑戦が詰まった作品」

 これまで『キングダム』の王騎や『JIN』の南方仁などさまざまなキャラクターを演じてきた。しかし、今作の海江田を演じるうえで「とても特異なキャラクターで、大部分のエネルギーを使いました」と苦労も吐露。俳優としては一時休養していた過去もあったが、その当時について聞くと「なんでしょうね、何か刺激が足りなくなっちゃったんでしょうね」と振り返り、言葉を続けた。

「俳優っていろんなやり方があると思うし、どんなやり方でもいいと思うんだけど、僕にとって挑戦する何かがなくなっちゃったんですよね。それで離れていただけです。俳優として戻ってくるとも思っていなかったし、半分辞めたような感じだった。だからこの業界に戻ったらどうなるとか、1ミリも考えてなかったですよ」

 そんな大沢が俳優として、さらにプロデューサーとしても携わった『沈黙の艦隊』。世界からどう見られるのか「本当に分からない」と首を横に振るが、「日本の挑戦とか、我々の挑戦って言えれば、いろんな国の人がきっと見るだろうし、関係者の人も見るだろうから」と、「挑戦」という言葉を繰り返し、世界配信への思いを語った。

「他の国の人って、実は日本はアメリカに対して不安に思うことがあるんだとか、日本は核の問題を抱えているんだって知らないと思うし、関心もないと思うんです。でも、エンターテインメントを通して、日本ってこんなことになっているんだとか、こういう作品を作るんだって見てほしいです」

 今回、Amazonスタジオが日本の劇場版映画を製作し、その後ドラマシリーズとして全世界に配信をするのは初の試み。異例ともいえる配信形式には、「今までこんなのダメだったじゃないですか。もちろん難しい理由もよくわかります。でも、そういうのも含めて、いろんな可能性とか挑戦とか、今までなかったものばかりがこの作品って詰まっています。そういう意味も含めて、日本の皆さんにも、もちろん世界の皆さんにもアピールできたら」と語り、「挑戦」が詰まった本作の意義を強調した。

□大沢たかお 東京都出身。1987年にモデルとしてデビューし、94年にドラマ『君といた夏』で俳優デビュー。95年、ドラマ『星の金貨』で注目を集める。2009年のドラマ『JIN-仁-』で主演を務め、『第18回橋田壽賀子賞』橋田賞など多数の賞を受賞。映画『キングダム』シリーズ、ドラマ『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』など話題作に多数出演。

スタイリスト:黒田領
ヘアメイク:松本あきお(beautiful ambition)

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猪俣創平

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