東出昌大、映画で“山暮らし”公開も「見てほしくないし、自分でも2度と見たくない」と明かしたワケ

関東近郊で狩猟生活を送る俳優の東出昌大(35)の姿を追ったドキュメンタリー映画『WILL』が16日に公開された。山小屋でのインタビューに応じた東出は「人に見てほしくないし、自分でも2度と見たくないと思ってしまう」と話す。その理由とは?

東出昌大が映画『WILL』を撮影した真意を語る【写真:ENCOUNT編集部】
東出昌大が映画『WILL』を撮影した真意を語る【写真:ENCOUNT編集部】

自身のドキュメンタリー映画『WILL』が16日公開、映画化のオファーは「1度断った」

 関東近郊で狩猟生活を送る俳優の東出昌大(35)の姿を追ったドキュメンタリー映画『WILL』が16日に公開された。山小屋でのインタビューに応じた東出は「人に見てほしくないし、自分でも2度と見たくないと思ってしまう」と話す。その理由とは?(取材・文=平辻哲也)

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 監督したエリザベス宮地氏は、楽器を持たないパンクバンド「BiSH」、ラップグループ「MOROHA」、藤井風、優里などの数々のMVやドキュメンタリー作品を数多く監督してきた映像作家。オムニバス映画『BiSH presents PCR is PAiPAi CHiNCHiN ROCK’N’ROLL』の1編『オルガン』では元BiSHのアユニ・Dを主演に狩猟、写真をモチーフに生と死を描いた。「MOROHA」のアフロは東出との共通の友人だったことから、オファーされた。

「エリザベスさんから話を頂いた時、仕事関係者の総意で狩猟のことは出してはダメといった考えがあったので、1度お断りをしたんです。しかし、虚偽の報道に精神的に振り回される日々は続き、『本当の自分って何なんだ』と瞑想(めいそう)していた頃、事務所を退所する事が決まった際にエリザベスさんにご連絡を差し上げ、『やりましょう』という話になりました。狩猟は残酷な面もあるけれども、嘘をつかずやってきたという思いもあったので、そこらで氾濫している嘘の記事よりはよっぽど自分らしく、真実だろう、と。」

 狩猟に魅せられた理由は何か。

「一つには動物が好きなんです。動物は下等な存在ではない。身一つで山の中を生き抜く。タフネスも備え、身体能力も素晴らしい。狩猟は、僕の人生の積み重ねと、動物たちの選択が交差する瞬間なのかもしれない。そこが全て自己責任。安心安全の世界ではないんですが、自由がある。だから生を実感できるっていうところがあるのかもしれない」

 昨今、日本全国でクマの目撃情報が増え、人にも危害を与えていることが社会問題にもなっている。東出の山小屋周囲のクリの木にも、クマが木の実を獲るために作ったクマ棚の残骸があり、別の山中でも、猟銃を持っていない時に出合ったこともある。

「見とれているうちにクマが『なんか、めんどくせーのが来た』みたいな顔をして、いなくなりました。クマは森の賢者、王様といった存在で、とても聡明な動物です。鼻はいいので、人間の気配や音を察知したら、基本的にはかなりの確率で逃げていくんです。ただ、食べ物がない時、山菜やハチの巣を食べている時は人間の方も気づきにくいですし、クマも驚くので、危ないと思います」

 クマの肉は数ある野生動物の中でも一番おいしいという。

「特に衝撃的だったのは、『シャンク』と呼ばれる前腕の赤ワイン煮込み。旨味が濃厚で、肉の味が強い。独特の匂いが一切ない。脂の部分もうまいんです。クマを駆除しなければ、いけないという風潮もありますが、一方、ツキノワグマは絶滅の危機に瀕している現実もあります。絶滅は避けないといけないし、森の多様性も大切にしないといけない。難しい問題ですね」

 映画では、約1年半の密着取材を受け、狩猟生活、自然、動物への思いだけではなく、自身が起こしたスキャンダルなどへの本音なども垣間見せる。

「2度と見たくないですね。さまざまな感情がフラッシュバックして、つらいです。会見(2020年3月20日)の姿も初めて見ました。あの後、記者さんに追いかけられて、車で実家に送ってもらったんですが、そこから数日、ずっと記者さんが外で張っていました。テレビを見ると、自分が映っているのですが、自分ではない感じがしました。そういう自分がしてしまったこと、イヤなことをいっぱい思い出してしまうんです」

 カッコ悪い姿もたくさん映っているという。

「例えば、山歩きに慣れていないエリザベスさんに『これがシカの痕跡です』とかかっこつけて説明している部分もあるのですが、全部カットされました(笑)。でも、人に聞かれたくない本音を話しているところ、酒を飲んで自己嫌悪に陥っているところは絶対に外さない。本当に容赦ねえと(笑)。まさか、こんなにどぎつくなっているのか、と思いましたけど、でも、それがドキュメンタリーだと思っていますし、エリザベスさんがそばにいてくれたことはよかった」

 今はフリーランスの俳優として、自ら動いている。昨年は主演作『とべない風船』『Winny』、『福田村事件』『コーポ・ア・コーポ』など映画が公開され、バラエティー番組にも数多く出演。番組での人生相談、ABEMA TVの『世界の果てに、ひろゆき置いてきた』では2チャンネルの創業者、ひろゆき氏とともにアフリカ横断旅も繰り広げたことが話題になった。

「仕事への意欲は以前よりも増していますし、俳優に関しては、以前よりも、やれるという自信があります。一昨年は金銭的に大変な時期もありましたが、今は生活ができるようにもなりましたし、気持ち的にも落ち着いています」

 報道には、嘘や間違いも多いというが、メディアを通じて反論することはしたくないという。筆者は嘘を書いた覚えはないが、同じメディアの人間である。そういう人間を自分のプライベートな空間に招き入れることに抵抗感はないのか。

「中には僕のことを気に入らなくて、攻撃したいと思っている人はいると思っています。それでも、僕は人を信じたいというのはあると思うんです。それに僕は、そんなに人を見る目がないとは思っていませんよ。そういう精神の人間なんだと思います」と笑った。

□東出昌大(ひがしで・まさひろ)1988年2月1日、埼玉県生まれ。2012年、映画『桐島、部活やめるってよ』で俳優デビューし、第36回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。以後、数々の作品に出演。主な作品として、第71回カンヌ国際映画祭の『寝ても覚めても』、人気の『コンフィデンスマンJP』シリーズ、第77回ヴェネチア国際映画祭銀獅子賞受賞の『スパイの妻』、『Blue』、『草の響き』、『Winny』、『福田村事件』など。東出の狩猟生活を追ったドキュメンタリー『WILL』(2月16日)、『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(3月15日)を控える。『週刊文春CINEMA!』で「山暮らし日記」を連載中。

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