高城れに、ももクロは「宝です」 かけがえのない関係で刺激「仲間が幸せになると私もポジティブに」
ももいろクローバーZの高城れにが、今月4日より上演中の舞台『最高の家出』(東京・紀伊國屋ホール、作・演出:三浦直之氏)で舞台初主演を務める。グループを離れての舞台出演も初めてで、高城は同作への思い、昨年15周年を迎えたももクロの「今」を語った。
4日初日の舞台『最高の家出』で家出をする妻の役「ぶっ飛んでいる作品です」
ももいろクローバーZの高城れにが、今月4日より上演中の舞台『最高の家出』(東京・紀伊國屋ホール、作・演出:三浦直之氏)で舞台初主演を務める。グループを離れての舞台出演も初めてで、高城は同作への思い、昨年15周年を迎えたももクロの「今」を語った。(取材・文=大宮高史)
――大みそかの『ももいろ歌合戦』は昨年で7回目でした。年始はどのように過ごされましたか。
「私のお正月はいつも『ももいろ歌合戦』で華やかに新年を迎えたら、寝ないで初詣に行って初日の出を拝んで、お墓参りにも行って元日を過ごすのが恒例です。30代になってから初めて迎える年越しで『体力的に寝ないでいられるかな』と思いましたが、今年もルーティーンを完遂できて良かったです」
――それからすぐに『最高の家出』の稽古が佳境に入りました。
「年末は毎年忙しくて、ゆったり気分で1月は過ごすことが多かったのですが、今年はスパっとお仕事モードに切り替えて稽古に臨みました。稽古場でも既に通しで芝居を演じたのですが、ここからまた三浦さんが脚色をしてくださっています。初日までにまだまだ生き物のように内容が変わっていきそうです」
――高城さんが演じる立花箒(たちばな・ほうき)は、夫との結婚生活に疑問を抱いて家出をしてしまう役です。役や作品への印象はいかがですか。
「ぶっ飛んでいる作品ですね(笑)。会話劇なのですが、突然に全く違う方向に話題が飛んで、日常会話とはかけはなれたコミュニケーションが展開されます。台本を読みながら『箒ちゃんってどんな子なんだろう』と仮説を組み立てて稽古を始めました。その上で三浦さんの考えを吸収していきました。ももクロのライブやお芝居ではパフォーマンスを体で覚えていくのですが、この作品はすごく頭も使いますし、ステージ上でのコミュニケーションも異なってきます」
――どのようなところが、ももクロのライブとは違うのでしょうか。
「私たち4人でのステージでは、誰かが失敗しても自然にフォローできるような阿吽(あうん)の呼吸の関係ができています。一方でこの舞台は一人ひとりの役が目立っていますから、『協調性よりも個性重視』なのかなと思います」
――高城さんは、『ももクロ一座特別公演』などの舞台を経験されています。ただ、グループを離れて単独で舞台に出演するのは初で、しかも主演です。
「私はリーダーシップが全然ないので(笑)、『主演だから』と気負わずに舞台経験が豊富な皆さんから素直に吸収している毎日です。役作りで分からないポイントでも、皆さんが積極的に三浦さんに質問しているので、私も遠慮しないで疑問をぶつけています」
――家出をした箒は、劇場に住んで『模造街』というセットの中で7か月も同じ役を(劇中劇で)演じます。主人公・立花箒役についての印象は。
「『三浦さんが私の性格を見透かしていたの』と思うくらい私に似ています。人柄を分析していくうちに彼女のことが愛おしくなってきました。そして、三浦さんが脚色していくほど、どんどん私っぽくなってくるんです」
――高城さんと似ていると思うポイントは。
「想像力が豊かだったり、自分の世界を持っているところでしょうか。私は一人っ子で、幼い頃は友達を遊ぶことも少なくて。自分の中で『想像上のもう1人の私』を作って、頭の中で会話をして遊んでいました。箒にもそういった『イマジナリーフレンド』がいる上に、その友達の名前が私の飼っていた猫の名前と同じというミラクルがありました。今は家族や友達と会話する時も、箒のセリフをしゃべってしまうくらいになりきっています」
――稽古場の様子はいかがですか。
「三浦さんの発想に驚いてばかりです。『何でこんなセリフが思いつくんだろう』って。私は(お笑いタレントの)永野さんとのお笑いライブを始めて7年になりますが、永野さんを思い出します。丸くなった永野さんです(笑)」
ももクロは「かけがえのない関係・空間に」
――「家出」が作品のキーワードですが、高城さんは「家出したい」と思ったことがありますか。全く違う環境に飛び出したくなるような。
「1人になって散歩するのが好きで、海辺に行って音楽をボーっと聴いたり、イルミネーションを見に行ったりします。私、生まれも育ちも横浜で実家も横浜なので、実家や帰省という概念が薄いんですよ。なので、家出をしても横浜から出られなくて(笑)、このお芝居のようにどこかクローズドな場所に居ついてしまうかも」
――仮に遠くに家出してしまったら、どんな体験ができそうに思いますか。
「地元の人と仲良くなって、帰りたくなくなりますね。お仕事で地方に行くと、地域の人とちょっとの時間でも仲良くなれてしまうので。一人旅も好きですが、知らない土地での新しい出会いは刺激になります」
――今回はグループを離れた仕事ですが、ももクロで15年の時を過ごしてきました。
「私にとってももクロは大切な居場所であり、宝です。芸能界入りしてから今まで私が活動できているのは、ももクロの存在があってこそです。舞台主演の機会をいただけたのも、メンバーやスタッフさん、ファンの皆さんと『ももクロ』という場所を守ってこられたからだと思います」
――プライベートでもメンバー各々に転機がありつつ、グループは続いてきました。
「『家族』でも説明がつかないくらいかけがえのない関係・空間になりました。仲間が幸せになっていくのに背中を押されて、私もポジティブに生きています。そういった『居場所』について考えさせてくれる作品でもあります」
――ファンの皆さんに楽しんでほしいポイントはありますか。
「すごく笑いの要素もありつつ、人生でめげそうになった時の受け止め方も教えてくれる舞台です。居場所がなくなったり、人から必要とされなくなって悩んだ時でも、焦らず人と関わることで自分らしさを取り戻していける。そんなメッセージが込められています。ラストにつながる伏線も散りばめられていて、結末を知った上で繰り返し見ていただくと、また違う印象があります。ももクロのライブと一味違う舞台を楽しんでほしいです」
――東京公演の後は5都市での公演もありつつ、ももクロの活動と並行する日々が待っています。
「どちらの生のステージならではの魅力があって、特にその場で生まれる特別な感情を見る人と共有できることが大好きです。東京公演中にもバレンタインイベントが控えていて、気持ちの切り替え自体も楽しんでいけると思います」
――忙しい日々で、体力面は大丈夫ですか。
「私は暇すぎると不安になってしまうタイプで(笑)、毎日何かしらやることがあって気が張っている方が好きなんです。だから、ライブ、舞台、お笑い、ラジオ……と何にでも挑戦していけるのかもしれません」
――芸能活動16年目もエネルギッシュですね。
「はい。でも、先日は突然にお休みになって、ずっとダラダラしていました(笑)。お昼頃まで寝て、起きたら好きなアニメを見ました。その後にCoCo壱番屋に行きました。気分をリフレッシュしたら、家のお掃除をしたりして。『一人ココイチ』も癒やしになっていて、プライベートのひそかな楽しみです」
□高城れに(たかぎ・れに) 1993年6月21日、神奈川県生まれ。2008年にももいろクローバーとしてデビュー、メンバーカラーは紫。11年4月11日にももいろクローバーZに改名。16年から、文化放送『高城れにの週末ももクロ☆パンチ!!』でパーソナリティーを務め、17年からはソロコンサート『まるごとれにちゃん』、エキセントリックコミックショー『永野と高城。』を開催。20年には、NHK連続ドラマ『彼女が成仏できない理由』に主演。23年には、6月にソロライブ『30祭』を開催。8月に初のソロ写真集『9-kaw-』を発売した。
ヘアメイク:竹内美紀代(KIND)
スタイリスト:寄森久美子(ワンダースタイル)
<公演概要>
パルコ・プロデュース2024『最高の家出』
作・演出:三浦直之(ロロ)
主な出演者:高城れに(ももいろクローバーZ) 祷キララ 東島京 板橋駿谷 亀島一徳 篠崎大悟 島田桃子 重岡漠 尾上寛之
2月4日(日)~24日(土)東京・紀伊國屋ホール
3月6日(水)高知・高知県立県民文化ホール オレンジホール
3月9日(土)大阪・森ノ宮ピロティホール
3月14日(木)香川・レグザムホール(香川県県民ホール)小ホール
3月20日(水祝)宮城・仙台電力ホール
3月23日(土)北九州・J:COM北九州芸術劇場 中劇場