鳩山由紀夫元首相、米軍基地の県外移設に悔い「力不足だった」 現在は市民活動に協力

ドキュメンタリー映画『沖縄狂想曲』の初日舞台あいさつが3日、東京・新宿のK’s cinemaで行われ、太田隆文監督(63)と出演の元内閣総理大臣・鳩山由紀夫氏(76)が登壇した。

舞台あいさつに登壇した鳩山由紀夫氏【写真:ENCOUNT編集部】
舞台あいさつに登壇した鳩山由紀夫氏【写真:ENCOUNT編集部】

ドキュメンタリー映画『沖縄狂想曲』に出演

 ドキュメンタリー映画『沖縄狂想曲』の初日舞台あいさつが3日、東京・新宿のK’s cinemaで行われ、太田隆文監督(63)と出演の元内閣総理大臣・鳩山由紀夫氏(76)が登壇した。

 原発問題を描いた映画『朝日のあたる家』の太田監督が『ドキュメンタリー沖縄戦』『乙女たちの沖縄戦』に続いて、沖縄と日本の現実に切り込んだ問題作。鳩山氏は、『朝日のあたる家』の上映会を開催した縁があり、出演を快諾。映画では、総理大臣時代に沖縄の米軍基地移設について、「最低でも県外」と発言した真意などを語っている。

 白杖を手に持った太田監督は昨年3月に脳梗塞を患い、視野が狭くなったと告白。「大島渚監督と同じ病気です。低予算で映画を作り、7人分ぐらい働いているうちに心臓が壊れてしまった。昨年はしゃべることもできなかったが、ここまで回復できた」と言い、ゲストの鳩山氏を招き入れた。

 鳩山氏は、米軍基地の県外移設が実現できなったことに悔いを残し、政界引退後の今も年4、5回沖縄を訪れ、市民活動に協力している。

「日本の安全保障が変わるだろうと思い、(映画で)いろいろお話しさせていただきました。監督は、本当にいい作品を作っていただき、感謝いたします。(米軍基地は)『最低でも県外』と言って、実現できなかったんで、『最低なやつだ』と言われましたが、力不足だった。沖縄のために行動しようという総理があまりおられなかった中で、沖縄のみなさんに寄り添いたいという思いでした。今では、どこよりも沖縄に行くようになって、沖縄のみなさんからも優しく接していただいています」と語った。

 今も辺野古基地移転問題が揺れているが、「基地がなくなったら沖縄も困るでしょうと平気で言う人たちもいますが、そんなことは一切ない。あと21年で戦後100年になりますが、アメリカ軍によって守られている日本でいいのか。米軍基地は全部撤去されて、日本人が本当の意味で自立する国になる。沖縄が、その平和の重要拠点として役割を果たせるように、みなさんと一緒に見つめていきたい。少しでもお役に立てればと思っています」と思いを語った。

 太田監督が脳梗塞を患いながらも、公開にこぎつけたことには「太田さんは命をかけて作られている。これからも体には気をつけられながら、作品を見せていただきたい。私が発信するよりも、太田監督が映画を作って発信していただいた方がすごい。『沖縄狂想曲』をみんなで見に行こうよ! と言って広めていただくことがこの国を変える原動力になる。ぜひみなさん方のお力を貸していただければ」と観客に呼びかけた。太田監督は「鳩山さんはこの映画の主演俳優です。今日は鳩山さんを応援する、魅力を紹介する会にしようと思ったのですが、逆にいろいろ褒めていただいて恐縮です」と話した。

次のページへ (2/2) 【写真】鳩山由紀夫氏と太田隆文監督の2ショット
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