36歳・高良健吾が感じる変化 見据える今後の役者人生「俳優のピークはきていない」

映画『罪と悪』(2月2日公開)に主演した俳優の高良健吾(36)。本作は、それぞれの道を歩んだ3人の幼なじみが久しぶりの再会を果たし、22年前と現在起きている2つの少年殺害事件の真実にたどり着く姿を描く社会派ミステリー。中堅と言われる年齢になった高良だが、「俳優としてのピークはまだ来ていない」と語る。

高良健吾が俳優生活の“変化”について語る【写真:矢口亨】
高良健吾が俳優生活の“変化”について語る【写真:矢口亨】

苦手だったインタビューも…経験重ね「自分の言葉を発信できるように」

 映画『罪と悪』(2月2日公開)に主演した俳優の高良健吾(36)。本作は、それぞれの道を歩んだ3人の幼なじみが久しぶりの再会を果たし、22年前と現在起きている2つの少年殺害事件の真実にたどり着く姿を描く社会派ミステリー。中堅と言われる年齢になった高良だが、「俳優としてのピークはまだ来ていない」と語る。(取材・文=平辻哲也)

 2006年に『ハリヨの夏』で映画デビュー。08年の『蛇にピアス』では全身刺青、全身ピアスの青年役が話題になり、長崎から上京してきた青年の大学生活をつづった『横道世之介』(13年)ではブルーリボン賞主演男優賞を受賞している高良。5年ぶりの映画主演となった本作では、少年時代の罪を背負い、今は地元の不良たちを集め、闇の仕事も請け負う建築会社を経営する春役。これまでとは違ったクールな人間像を演じた。

「演じる役の変化はめちゃくちゃ感じています。役割が変わってきた、と思います。分かりやすく言えば、父親役が多くなりましたし、若い子たちを支える立場になったなと思います。この作品を撮影したのは34歳のときですが、この歳だから演じられる役ということで、声をかけられたのかなと思っています」

 16年4月に地元・熊本で地震が起こったときは、さまざまな思いを自ら発信していたが、若い頃は、実はインタビューが苦手だったという。

「自分の言葉や思いをうまくキャッチできませんでした。誤解を受けてしまうのなら、しゃべらなくてもいいか、と思って黙っていました。ただ、俳優というのは、自分と向き合う時間が多く、俳優をすれば、するほど、傷ついていく仕事でもあります。だからこそ、自分の中から生まれる感情や言葉をキャッチでき、前より自分の言葉として発信できるようになったのかもしれません。今は、キャッチしたものを全部話している気がします」と笑う。

「俳優の面白いところは歳を重ねてもいけるところ」【写真:矢口亨】
「俳優の面白いところは歳を重ねてもいけるところ」【写真:矢口亨】

 映画では、幼なじみの友情、葛藤が描かれるが、自身は転勤族の家庭で育った。熊本市で生まれ、北九州市、福岡市でも学生時代を過ごした。

「幼稚園から中学生まで転校を繰り返していました。転校生として過ごしてきたことは、今も自分に残っている気がします。転校すると、今まで築き上げてきたものがまたゼロになってしまう。最初の何週間か、何か月は居場所がないのですが、周囲が作ってくれるものです。僕は比較的になじんでいったと思いますが、転校生しか分からない感覚はあるかもしれないです」

 そんな中でも、福岡、熊本にいた中学時代の友人とは親交が続いている。

「中1のときに出会った友人は独身で、東京で建築をやっているので、今も一緒にご飯を食べることもありますし、地元の友達は結婚して、父や母にもなっているので、そんな近況報告していますが、みんなそれぞれの人生を歩んでいるなと思います」

 これまで、さまざまな役を演じてきたが、18歳のときに廣木隆一監督の『M』に出演したことが大きいという。廣木監督作品には『あちらにいる鬼』(22年)まで7度出演している。

「ターニングポイントはいろいろとありますが、18歳のときに廣木さんから『その歳その歳にしかできないことをやれ』とアドバイスをいただきました。スポーツ選手は年齢によるピークは早いと思いますが、俳優の面白いところは60、70、80と歳を重ねてもいけること。僕はまだ俳優としてのピークはきていないと思っています。個人的にも、40~50歳が主役の映画を見たいと思っています」ときっぱり。息の長い俳優人生を歩んでいくつもりだ。

□高良健吾(こうら・けんご)1987年11月12日、熊本県出身。2006年『ハリヨの夏』で銀幕デビュー。11年、映画『軽蔑』で第35回日本アカデミー賞新人俳優賞、12年、映画『苦役列車』で第36回日本アカデミー賞優秀助演男優賞、13年『横道世之介』で第56回ブルーリボン賞主演男優賞・第23回日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞を受賞。待機作に『レイニーブルー』(24)、Netflixシリーズ『忍びの家』(2月15日配信)など。

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