まさに天才的発想? 『進撃の巨人』の「1話」に散りばめられた衝撃的な伏線の数々

2009年から21年まで『別冊少年マガジン』(講談社)にて連載されていた『進撃の巨人』(作:諫山創)。アニメ版も23年11月4日に最終話となる『進撃の巨人 The Final Season完結編(後編)』(NHK)が放送され、約10年に渡って続いたテレビアニメシリーズの幕が閉じた。

進撃の巨人(1)諫山創/講談社
進撃の巨人(1)諫山創/講談社

1話に散りばめられた数々の伏線が“天才的発想”すぎる…

 2009年から21年まで『別冊少年マガジン』(講談社)にて連載されていた『進撃の巨人』(作:諫山創)。アニメ版も23年11月4日に最終話となる『進撃の巨人 The Final Season完結編(後編)』(NHK)が放送され、約10年に渡って続いたテレビアニメシリーズの幕が閉じた。

 巨人を巡る壮大なストーリーが展開されたが、同作の魅力の1つは見事なまでの“伏線回収”だ。漫画は全34巻もある中で、実は1巻の1話から重要な伏線が散りばめれている。

(以下、漫画の内容に関する記述があります)

 まず1話以前の話になるのだが、『進撃の巨人』というタイトルの意味を考えると感慨深くならないだろうか。そもそも特殊な能力を持った巨人は9つの種類に分かれ、その中の1つが「進撃の巨人」なのだ。主人公のエレン・イェーガーが継承したのは進撃の巨人という力で、まさに作中の大きなポイントをタイトルの時点で明かしていることになる。

 もちろん進撃の巨人の存在やエレンが継承していることは後に判明することで、作品が始まった当初は「壁外にいる巨人が襲ってくるから、このタイトルなんだ」と何となく捉えていた読者が大半だろう。筆者も読み進めていく中で、物語において「進撃の巨人」の重要さを知り、それがタイトルだと気づいた時の興奮は今でも覚えている。

 続いて伏線が散りばめられている1話に注目していくが、まず見開きで登場する「第1話 二千年後の君へ」とサブタイトルが出るページに伏線がある。

 その場面で超大型巨人が壁内を覗き込んでいるのだが、巨人の足元を見ると、足跡が1つしか描かれていない。巨人が壁を目指して歩いてきたのなら、それまでの足跡があるはずだが、足跡がないということは超大型巨人が突如出現したという答えに行き着く。

 後にわかることだが、調査兵団の一員だったベルトルト・フーバーは超大型巨人の継承者で、1話に現れた巨人はベルトルトであったのだ。果たして“足跡がない”という違和感に気づいた読者はどれほどいたのだろうか。

 1話といえば違和感のあるページがあった。それはエレンが居眠りから目覚めるページにだけ「13」というページ数が書かれていること。ネット上ではさまざまな考察が飛び交ったが、最も有力な説は最終巻に収録した138話が関係しているというもの。

 1話の13ページのすぐ後に「845」と恐らく西暦のような意味を持った数字が登場。ここに注目して13と845の2つのヒントから「138話45ページ」という答えが導き出される。このページに何があるのか確認するため、コミックス最終巻(34巻)で掲載されている138話の45ページ目を見ると、ミカサ・アッカーマンがエレンの首を抱きかかえて「いってらっしゃい エレン」という場面だった。

 1話の845と描かれたページというのは居眠りから目覚めたエレンが自身でも理由も分からず涙を流すシーンなので、138話で死んだエレンが1話に戻るという流れが成立するわけだ。これはあくまでも考察の1つだが、1話の段階で構想された伏線であれば“天才的発想”としかいいようがない。

 しかし、その可能性を示唆する伏線が1話に存在する。というのもエレンは大木の前で居眠りをしていたのだが、起きた後の大木に十字架が描かれている場面がある。34巻のラストでミカサはこの大木の下にエレンを埋葬しているため、1話の十字架はエレンの死を予兆していることに……。全話を読み終えた後に改めて1巻を振り返ったとき、多くの読者が驚いたことだろう。

 ほかにも作中には数多くの伏線が存在する。漫画やアニメを見終わった人、これから見始める人も、ぜひ“伏線”に注目しながらチェックしてみてほしい。

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