優先席の女性に女子高生が蹴り→老人に譲るも「やべぇ、妊婦じゃん」 正義感が暴走する恐さ

妊娠初期の友人がバスの優先席に座っていたところ、面識のない女子高生から席を立つよう促されたという投稿が大きな議論になっている。女子高生は友人の足を蹴り、近くにいた老人に着席を促した後、友人がつけていた妊婦マークに気づく……。「やべぇ、妊婦じゃん」。投稿したコモ(@Como2910)さんに詳しい話を聞いた。

妊娠中は体調に特に気をつけたい(写真はイメージ)【写真:写真AC】
妊娠中は体調に特に気をつけたい(写真はイメージ)【写真:写真AC】

女子高生による暴挙「そしてなんと、足を蹴られた」

 妊娠初期の友人がバスの優先席に座っていたところ、面識のない女子高生から席を立つよう促されたという投稿が大きな議論になっている。女子高生は友人の足を蹴り、近くにいた老人に着席を促した後、友人がつけていた妊婦マークに気づく……。「やべぇ、妊婦じゃん」。投稿したコモ(@Como2910)さんに詳しい話を聞いた。

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「『座ってんじゃねぇよ』友人が妊娠初期の頃、バスで優先席に座っていたら、近くにいた女子高生2人組に突然そう言われたそうだ。そしてなんと、足を蹴られた」

 コモさんが友人から聞いたのは、バスの優先席でのただならぬ出来事だった。

「恐怖心で席を立ち、移動したあと、しばらくして『お腹に赤ちゃんがいますステッカー』を目にして『やべぇ、妊婦じゃん』と言っているのが聞こえてきたそう。彼女たちは、友人がどいた席にお年寄りを座らせていたという。だから悪い子達じゃないと思うけど、怖かったと、言っていた。正義感が根っこにある攻撃ほど怖いものはないと、そのとき知った」

 善意にかられて行動した女子高生。ただ、どんな状況であれ、暴力行為は許されないものだ。

 コモさんは、こう訴えた。

「SNSをはじめネットの世界なんかは特に、真相の分からない様々な情報で溢れかえっている。リアルででも、自分たちの見落としで人様を蹴る人がいるのだから、ネットならなおさらだ。送信ボタンを押すそのときに、ほんの一瞬『これ本当に事実?』『この気持ち本当に正義感?』と、自分を疑うことは大切だなと思う。自戒を込めて」

 この投稿は950万超の表示回数を記録する反響に。「蹴ってしまった手前、自ら謝りにくくしてしまってることが悲しい」「『若いから』では許されない行動」「むやみに蹴りを入れるのは絶対にやめてほしい」「お腹に何もなければいいけど」など多くの声が寄せられた。

「友達のエピソードを書いていますが、私が一番書きたかった部分は『正義感が根っこにある攻撃ほど怖いものはない』ということです。特にここ最近ネットで価値観が異なる同士、互いに自分の考えこそが正義だと信じる、あまりの攻撃的な書き込みを多く見て、何でこんなふうに相手を否定するのかなと考えていたとき、友人の身に起きた出来事をハッと思い出し、これは共通点があると感じ、投稿しました」

妊婦マーク【写真:写真AC】
妊婦マーク【写真:写真AC】

友人は大きなショック「いつもは明るい子が…」

 確かに初期の妊婦は妊婦マークがなければ気づきにくいもの。近くに老人が立っているとなれば、なぜ席を譲らないのか不思議に思う乗客がいてもおかしくはない。ただ、そのこと以上にコモさんが伝えたかったのは“正義の暴走”だ。

 今回の事例のように、ネット上でも背後にある事実に気づかないまま、攻撃的な主張が交わされているケースがある。

 女子高生たちは「やべぇ、妊婦じゃん」と漏らしながらも、友人にわびることはなかった。

「攻撃した相手は、優先席に座るべき妊婦さんだと気づき、バツが悪かったんでしょう。2人いることで気が大きくなっていたことも言葉遣いや態度の悪さを引き起こしたと思います」

 もう少し、やんわり注意していたら素直に謝ることもできたかもしれない。健常者だと思い込み、強く出てしまった分、引くに引けない状況になった。友人は「いつもは天真らんまんといった明るい子が暗い表情で落ち込んでいました」と大きなショックを受けていたという。

 電車やバスの優先席を巡っては、スマホに夢中で席を譲らない若者の存在などが、たびたび議論になっている。

 社会的弱者との共生について、コモさんは「私は母にハンディキャップがあり、子どものころから弱さを身近に感じていました。今日、心身に何の不調や障がいがない人も、この先ずっとそうである保証はないです。そういうことを想像する力を養うこと、形式的でない障がい者雇用などで身近にさまざまな事情のある人と接する機会を増やすことなどが有意義なのではと思っています」。

 投稿が大きな反響を呼んだことには驚きを持って受け止めた。

「Xへの投稿を始めてまだ3か月弱で、これまでにないくらいの閲覧やいいね数となり、正直戸惑いました。でも、それだけ優先席とかマタニティーマークといったワードは多くの人がモヤモヤを抱えている部分なのかなと思ったことと、正義感が暴走する怖さを感じている方が多いのかなと思いました」と結んだ。

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