市川中車、34年前に初対面した父・猿翁さんとの“確執”回想「あなたは私の息子でもなんでもない」

歌舞伎俳優の市川中車が28日、都内のホテルで行われた市川猿翁さん、市川段四郎さんの合同お別れ会に出席。父との初対面、印象に残っている言葉について語った。

取材に応じ、父と叔父について語った市川中車【写真:ENCOUNT編集部】
取材に応じ、父と叔父について語った市川中車【写真:ENCOUNT編集部】

市川猿翁さん、市川段四郎さんの合同お別れ会に出席

 歌舞伎俳優の市川中車が28日、都内のホテルで行われた市川猿翁さん、市川段四郎さんの合同お別れ会に出席。父との初対面、印象に残っている言葉について語った。

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 中車は、1968年に猿翁さんと母・浜木綿子さんが離婚したため母と暮らし、父とは関わりのない人生を歩んだ。25歳になった際、「このままでは父に会う機会が無いのではないか」という思いから、「父のことも、一門のことも考えずに、自分だけのことを考えて、『お父さん生んでくれてありがとう』と伝えたくて会いに行った日がございました」と、沼津で巡業中の父のもとを訪ねた過去を振り返った。

「青天のへきれきで父はびっくりしていた。控室で二人きりになり、父が白塗りをしたまま怒り、『あなたは私の息子でもなんでもない。帰りなさい』と伝えられた日を34年も前のことですが、昨日のように覚えています」と壮絶な対面を回想。それでも再会について、「僕は『あなたのことを愛している』という風にしか聞こえませんでした。僕は、この人に会えてよかったと思いました」と話し、目をうるませた。

 叔父の段四郎は温かく迎え入れてくれたことを明かすと、「父は北風のように強烈な風を浴びせ、叔父は太陽のあたたかい光をくれました」とコメント。「2人とも愛してくれていると言ってくれたような気がしました。僕の人生にとって一番幸せだった日だったと言えるかもしれません」と語った。

 父の存在については、「偉大過ぎて、まばゆくて、解釈のできない人でした。父が病気になってから会わせていただくようになり、この人は偉大でものすごく怖い人なんだなと。なによりも遠い距離だったところから始まった関係かもしれません」と言及。「父から書いてもらったハガキが今でもあり、『日本一の富士山のような役者になれ』という言葉がありました。『日本一の役者になれ』と言うなら分かりますが、そこに『富士山のような』と付け加えた、その父の言葉のセンスだったり粋な感覚があった」と父から送られた大切な言葉を明かしていた。

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