中学3年生で『ガンダムSEED』主題歌に抜擢 衝撃デビューから20年…玉置成実の現在地

歌手の玉置成実(35)は、2023年にデビュー20周年のアニバーサリーイヤーを駆け抜けた。時を同じくして、玉置にとっての原点とも言える『機動戦士ガンダムSEED』も20周年を迎え、最新作となる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開を1月26日に控えている。最新曲『Reborn』でオフィシャルサポーターソングを務めているが、玉置の『ガンダムSEED』への思いやこれまでの歩みを聞いた。

インタビューに応じた玉置成実【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた玉置成実【写真:ENCOUNT編集部】

芸能活動20周年に『ガンダムSEED』で“原点回帰”

 歌手の玉置成実(35)は、2023年にデビュー20周年のアニバーサリーイヤーを駆け抜けた。時を同じくして、玉置にとっての原点とも言える『機動戦士ガンダムSEED』も20周年を迎え、最新作となる『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』の公開を1月26日に控えている。最新曲『Reborn』でオフィシャルサポーターソングを務めているが、玉置の『ガンダムSEED』への思いやこれまでの歩みを聞いた。(取材・文=中村彰洋)

 続編を待望され続けてきた『ガンダムSEED』。20周年という節目での最新作の発表には、ファンのみならず、玉置も心を躍らせていた。今回は作品を盛り上げるための「オフィシャルサポーターソング」という大役を担う。

「今回は、宣伝映像と一緒に私の楽曲が流れるので、見た人が劇場に行きたくなるような曲を作らなくてはいけなかったので責任感や緊張感がありました。いかに、今までの『SEED』『DESTINY』とリンクしているかで、“見に行きたくなる度”が変わってくるだろうと思っています。なので、『これぞ、玉置成実が歌うガンダムSEED』というものをお届けしたいと思って制作に臨みました」

 近年は、以前までと曲調が異なる楽曲も増えているが、今回は「玉置成実の王道」と断言。「本当に当時に戻った感じです。『新しいんだけど聞いたことある』ような不思議な感じです」と懐かしさを感じる楽曲に仕上がっていると自信をのぞかせる。

 2003年4月に『ガンダムSEED』のオープニング曲『Believe』で鮮烈な歌手デビューを飾った玉置。キャッチーな楽曲に合わせてパワフルなダンスも披露していたが、驚くべきは、当時まだ14歳の中学3年生だったという事実だ。

 デビューのきっかけは大型オーディションだった。10組まで絞られたファイナリストに名を連ねたが、合格の5組には選ばれず、涙をのんでいた。しかし、オーディションを見に来ていたというデビュー当時のマネジャーが「一緒にやりたい」と声を挙げたことで起死回生となった。

「本当に運が良かったです。合格者の方よりも先にデビューすることができてしまいました。デビュー前年のクリスマスに東京に呼ばれて、スタッフさんから『ガンダムSEEDの主題歌決まったよ』と言われて、『え!』って(笑)。当時は中学2年生で、親も一緒に来ていない中で『分かりました!』と即答でした。家に帰ってから『ごめん、もう上京するって言っちゃった』と親に伝えたら、ものすごい怒られましたが、『中途半端に帰ってくんなよ!』と送り出してくれました。

 3か月後の3月28日には単身上京して1人暮らしという状況でしたね。今になって思うと、和歌山と東京って距離ありますし、14歳で1人暮らし。しかもデビューするなんて、親からしたらたまったもんじゃないだろうなって(笑)。背中を押してくれた親には感謝しています」

玉置成実『Reborn』期間生産限定盤ジャケット写真
玉置成実『Reborn』期間生産限定盤ジャケット写真

舞台経験を経て気づいた「主軸としたいもの」

『Believe』はデビュー曲ながらも大ヒット。その後も数々のヒット曲を連発した。順風満帆に見えた歌手人生だったが、「壁にはずっとぶち当たっています」と笑顔でこれまでを振り返る。

「人生ってそんなものですよ(笑)。極度の緊張しいで、いまだに震えてステージに立ちますし、ちょっとでも失敗したら、『もうダメだ』と思ってしまいます。20年やってきた中で、落ち込むけれど、切り替えが早くなったり、努力をたくさん重ねて“自信ではなく確信でステージに立つ”ことができるようになったのかなと思います。

 本当にいろんなことがありましたね。中には苦手な人にも出会いました(笑)。でもそれ以上に最高な人たちに出会えて、全力で支えてくれるチームのみんながいてくれるので、乗り越えられていると思います。人との縁に恵まれている点は玉置成実として誇れる部分です。20年間、何もなかったことの方が少ないですね」

 07年ごろからは、ミュージカル活動がメインとなっていた。舞台俳優が多く在籍する事務所に移籍するなど、活動の比重を意識的に変化させていた。

「元々の夢は、テーマパークのパレードで踊るようなエンターテイナーになりたかったんです。ミュージカルには歌もダンスもお芝居の要素も全部あって、『すごいエンターテインメントだ!』とのめりこんでいきました。お芝居の勉強をするために、たくさんの作品に出させていただきました。そこで歌い方や発声、歌をセリフとして伝える術を学ぶことで、“歌手・玉置成実”にも還元していくことができました。

 でも、やってみて気づくこともありました。もちろん今でもお芝居もミュージカルも大好きですが、『主軸としたいものは何か』と言われたら、根本は“アーティストの玉置成実”でありたいと思えるようになりました」

 近年は、楽曲配信など新曲のリリースも目立ってきた。「また、たくさんのアニメ主題歌を歌わせていただけたり、新曲をお届けできるということは、歌手をしていてうれしい瞬間ですね」。

 酸いも甘いも経験してたどり着いた現在地。20年前の中学生だった玉置には想像できない世界が広がっていた。

「本当に想像以上の未来が待っていました。20年も続けられるとは思っていなかったですし、こんなにもずっと応援してくださる皆さまがいて、本当にありがたいことです。1人1人に『ありがとう』と伝えたいです。でも、20年やっていても、まだまだやらなきゃいけないことや努力しなきゃいけないことはたくさんあるので、これからも妥協することなく、“スポコン“な感じでいきたいですね」

「玉置成実を生み出してくれた作品」「人生でずっと側にいる作品」「自分を輝き続けさせてくれる作品」――。玉置にとっては、切っても切れない“盟友”とも言える『ガンダムSEED』。デビュー当時の気持ちを胸に、いま一度“原点回帰”する。

□玉置成実(たまき・なみ)2003年ソニーミュージックよりシングル『Believe』でシンガーデビュー。第18回日本ゴールドディスク大賞「ニュー・アーティスト・オブ・ザ・イヤー」受賞。近年ではブロードウェイミュージカル『Kinky Boots』など舞台作品に数多く出演。23年1月には『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』のオフィシャルサポーターソング『Reborn』をリリース。3月17日にはデビュー20周年イヤーを締めくくるワンマンライブを開催する。

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