最愛の大将が急逝 人気ラーメン店女将が明かす激動の2年間「悲しんでいる時間もなかった」

亡き大将の遺志を継いで奮闘を続けるラーメン店のおかみがいる。千葉・市原市に本店を構える人気ラーメン店「ちばから」の長谷川利恵さんだ。2021年9月に大将で夫の誠一さんを亡くした後、店主を引き継ぎ、この2年以上、店を引っ張ってきた。新型コロナウイルス禍も落ち着きを見せ、にぎわう店の切り盛りの充実ぶりをかみしめる日々だ。数多くの困難や苦悩があったここまでの2年間を振り返ってもらった。

「ENCOUNT」のインタビューに答えた長谷川利恵さん【写真:ENCOUNT編集部】
「ENCOUNT」のインタビューに答えた長谷川利恵さん【写真:ENCOUNT編集部】

支えになったのは店にいる“仲間たち”

 亡き大将の遺志を継いで奮闘を続けるラーメン店のおかみがいる。千葉・市原市に本店を構える人気ラーメン店「ちばから」の長谷川利恵さんだ。2021年9月に大将で夫の誠一さんを亡くした後、店主を引き継ぎ、この2年以上、店を引っ張ってきた。新型コロナウイルス禍も落ち着きを見せ、にぎわう店の切り盛りの充実ぶりをかみしめる日々だ。数多くの困難や苦悩があったここまでの2年間を振り返ってもらった。

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「今、お店にはセントラルキッチンと工場があります。これは、主人と私の夢でした。主人は生前、『どんなことがあっても、とにかく工事は全部終わらせてくれ』と言っていました。亡くなった後、いろいろ皆さん協力していただいて、半年ぐらいかけ、今までやってきた感覚でなんとかスープができるようになって。そこから今がありますから、主人がそれまでに築いてきた仲間の方たちに本当に感謝しています」。

 長谷川さんは万感の思いを口にする。

 誠一さんは21年9月、肺機能不全で亡くなった。もともと糖尿病を患うなど複数の疾患があったという。52歳。早すぎる別れだった。創業者で大将、精神的支柱を突然失ったちばから。だが、おかみである利恵さんに落ち込んでいる暇はなかった。「ずっとお店をやってきていましたから、やらなきゃいけないことが当然あって。だから、そんないちいち悲しんでいる時間もなかったですし、まずお店をやることによって、主人も喜ぶだろうと。大将の遺志を継いでいかないといけない、というのもありました」。

 店の味を求め、連日足を運ぶ人々のため、懸命に汗を流す日々。それでも、ふと休みの日になると、大将と過ごしたこれまでがよみがえってくる。「そんな中でもお店に行けば、お店の子たちみんながいる、それがとても大きな力になりました」。利恵さんを支えたのは店にいる“仲間たち”だった。

 生前、常に大将が口にしていた言葉がある。「いつも同じ事をやっているのは退化していくこと」――。その思いは今も受け継がれ、スタッフ全員で常に店の味を高め続けている。「スープを見ながら、状況や匂いでもう少し重くしよう、軽くしようとか。月に1回程度みんなで話し合って、アップデートしていっています」と工夫を明かした。

授賞式で感謝の言葉を述べる長谷川利恵さん【写真:ENCOUNT編集部】
授賞式で感謝の言葉を述べる長谷川利恵さん【写真:ENCOUNT編集部】

「今後はいろいろなイベントとかにも出ていきたい」と意欲も

 ちばからは「第13回 お取り寄せラーメン オブ・ザ・イヤー」で、2年連続でインスパイア大賞を受賞した。昨年で第13回を迎え、業界有数の表彰として知られている。消費者の人気度が反映されているだけに、長谷川さんは「今年もこんな良い賞がいただけた」と笑顔。今年3度目の受賞となれば、殿堂入りを果たすことになる。

 新型コロナウイルスの脅威から、世の中は徐々に回復の兆しを見せている。2024年はどのような青写真を描いているのか。「もっといろんな方に知ってもらいたいので、今まではなかったのですが、今後はいろいろなイベントとかにも出ていきたいなっていう気持ちもあります。

 また、ラーメン店というのは1人で運営しているところも多いんです。オープンした当初は元気でも、やはり重労働ですし続けていくうちに当然つらくなってきます。そういった大変な人たちもいっぱいいるので、もし何か協力できることがあれば、一緒にスープを作れたりしたらいいなっていう理想はあります」。

 そう考えるのも誠一さんを亡くした際に受けた、周囲からのサポートに感謝しているからだという。「大将が亡くなって、すごく大変な時に(他店の)皆さんが協力してくれて、いろいろやってくれたという思いがあります。そういう気持ちはいつも忘れず、常に思いながら、お互いウィンウィンになれればいいな、と思っています」。

「ちばから」全国区へ――。利恵さんのラーメン人生はまだまだ続いていく。

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