大型タワマンでまさかの悲劇 管理組合理事長による“独裁政権”になってしまったワケ

日本の分譲マンションは、区分所有法に基づいて物件を所有する区分所有者が「管理組合」を運営し、管理する体制が整えられている。部屋を購入すれば自動的に管理組合メンバーになるのだが、「マンションの管理運営は管理会社がやってくれるもの」と勘違いしたり、管理組合理事に丸投げしたりする人が多いもの。その結果、とんでもないトラブルを生んでしまうこともあるという。

タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】

管理組合の理事長が10年ほど変わらないタワマン「年々高圧的に…」

 日本の分譲マンションは、区分所有法に基づいて物件を所有する区分所有者が「管理組合」を運営し、管理する体制が整えられている。部屋を購入すれば自動的に管理組合メンバーになるのだが、「マンションの管理運営は管理会社がやってくれるもの」と勘違いしたり、管理組合理事に丸投げしたりする人が多いもの。その結果、とんでもないトラブルを生んでしまうこともあるという。

 今回、話を聞いたのは、東京近郊の大規模タワーマンションに住む白川香夏子さん(仮名・52歳)。数百世帯が入居するそのマンションで今、何が起こっているのだろうか。

「私が住むマンションは、住人数は多いのですが、理事会に参加する方はごくわずか。何か決めなければならないことがあって住人による話し合いの場が開かれても、ほとんどの方が出てこずに『理事長に一任する』という紙を提出して終わります。理事長はかれこれ10年ほど前から変わっていないのですが、こうした状況からか年々高圧的になり、我が物顔でマンションの運営を進めるようになってきて……」

 いわば“独裁政権”のような状態になってしまったというのだ。その結果、あくまでうわさではあるが、数年前に大規模修繕が行われた際には、理事長が施工会社からリベートを受け取っていたなんていう話も……。

「文句を言いたいと思い、他の住人の方たちに協力を要請したのですが、『面倒くさいことに顔を突っ込みたくない』と断られてしまいました。何か改善策があるといいのですが……」

理事が20年以上に渡ってマンション管理を牛耳る例も

 こうした事象に対応するには、どうするべきなのだろうか。20年以上のキャリアを持ち、業界に精通した不動産のプロである中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに話を聞いた。

「まず大切なのは住人そのものが『誰かに任せる』という怠惰な行為をやめること。政治家を選ぶ際の『選挙』と同様に、声を上げる人が少なければ少ないほど、悪循環に陥ることが多くなります。最も早い解決策は、香夏子さん自身が理事となり、意見を面と向かって言うことだと思います。ご自身の意見を代弁する誰かを待ってヤキモキしているくらいなら、自ら行動に出ましょう」

 住人の高齢化や、区分所有法を知らない若い人が増えたことなどにより、マンションの管理運営そのものが暗礁に乗り上げている例も少なくないという。

「あまり良いアドバイスとは言えないのですが、香夏子さんがお住まいのマンションのように、理事長に一任する旨の紙を出す人がいるだけでも、十分に良いマンションだと言わざるをえません。委任する紙を出すことすら面倒臭がり、理事会の運営が立ち行かなくなった例がたくさんありますから。

 どうしても自分たちでの管理が難しくなった場合は、管理会社に委託し、変わりに運営してもらうことができます。便利なようにも思えますが、管理委託契約料が必要となり、管理費を値上げせざるをえないことも。また、実際に住んでいる方でないと気付かないことも少なくありません。マンションの管理運営は、できる限り住人が行うべきもの。住人の意識を改革する努力も必要だと思います」

□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

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