「住民の民度」で生活の質が左右 高級タワマンで起きた悲劇…内廊下に漂う悪臭の原因

軽犯罪法第一条26号には「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」と記載されているが、公園や道路上での立小便は後を絶たない。こうした行為はタワーマンションという「富の象徴」でも行われているという。首都圏某所のタワマンに住む上條ゆりさん(仮名・44歳)は数年前、強い異臭に悩まされる日々を送ることに。今回は、その経験を語ってもらった。

タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】
タワーマンション(写真はイメージ)【写真:写真AC】

エレベーターホールの隅にある柱から強いアンモニア臭が…

 軽犯罪法第一条26号には「街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、又は大小便をし、若しくはこれをさせた者」と記載されているが、公園や道路上での立小便は後を絶たない。こうした行為はタワーマンションという「富の象徴」でも行われているという。首都圏某所のタワマンに住む上條ゆりさん(仮名・44歳)は数年前、強い異臭に悩まされる日々を送ることに。今回は、その経験を語ってもらった。

「コロナ禍に入る直前くらいのことです。廊下が異様に臭くなり、他の住人の方と『なんだろう?』って話をしていたんです」

 他の住人や管理人とともに匂いの元を探ると、エレベーターホールの隅にある柱の陰が怪しいとのこと。嗅いでみると、強いアンモニア臭が……。それ以上の検証はできなかったが、「誰かがここで用を足したに違いない」との意見でまとまったという。

「大変だったのはここからでした。私たちが住んでいるタワマンは築15年以上のものなのですが、内廊下に敷いてある絨毯や壁紙など、ヨーロッパから輸入した高級志向のアイテムをふんだんに使用していることが売りだったんです。すぐにでもエレベーターホール前の小便を吸い込んだと思われる絨毯を張り変えたかったのですが、コロナの影響により取り寄せるのに3週間以上かかると言われてしまいました」

 その後、犯人捜しも行われたが、防犯カメラに映る範囲外であったため、結局分からずじまいでうやむやになったという。

「こういう経験はもう2度としたくありません。私たちは今後、どのように対処すればいいのでしょうか?」

犯人が分れば器物損壊で賠償請求は可能だが…

 20年以上のキャリアを持ち、業界に精通した不動産のプロである中目黒「コレカライフ不動産」の姉帯裕樹さんに、ゆりさんの悩みに対するアドバイスを聞いた。

「建築資材やインテリア用の資材が届かない。こうした影響はコロナ禍の頃から顕著になり、ロシアのウクライナ侵攻による世界的な社会情勢悪化によりさらにひどくなっています。ですので、まったく同じ絨毯にこだわらず、似たような色味の絨毯に張り替えてしのぐべきだったのでは、とは思います。まぁ、こうしたことはマンションの理事会の考え方次第ですので、次回同様のことがあった場合は上記のような提案をしてみるといいでしょう」

 いくら尿意をもよおしていたとはいえ、匂いがこもりやすい内廊下仕様のマンションで小便をするのは許されることではない。泣き寝入りするしかないのだろうか。

「こうした小さな犯罪の抑止につながるのが、防犯カメラです。15年以上前の建物とのことで、防犯カメラの性能が低いことも考えられます。死角がなるべくできないよう360度録画できるタイプのものに交換するなどのアップデートが必要かもしれません。

 また明確に犯人が分かっているようであれば、民事ではありますが、器物損壊で賠償請求をすることができます。ただ、弁護士を雇うなど費用がかかり、対処と呼べるほどのことはできない可能性が高いでしょう。結局、住民の民度が高いマンションに住む以外、こうしたことの解決策はないですね」

□姉帯裕樹(あねたい・ひろき)「株式会社ジュネクス」代表取締役。宅地建物取引士の資格を持ち、不動産取り扱い経験は20年以上を数える。独立した現在は目黒区中目黒で不動産の賃貸、売買、管理を扱う「コレカライフ不動産」として営業中。趣味はおいしいラーメンの食べ歩き。

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