平田樹が明かす過酷減量の裏側 女性の体とプロ格闘家の狭間で葛藤「周りには伝わらない」

4年ぶりに開催されるONEチャンピオンシップの日本大会「ONE 165」(1月28日、東京・有明アリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで国内独占生中継)で三浦彩佳(33=TRIBE TOKYO M.M.A)と対戦する平田樹(24=フリー)。派手な言動やSNSで注目を集める平田が飾りなしに等身大の自分について語った。

インタビューに応じた平田樹【写真:ENCOUNT編集部】
インタビューに応じた平田樹【写真:ENCOUNT編集部】

講道館出身の柔道エリート…明かした親への感謝

 4年ぶりに開催されるONEチャンピオンシップの日本大会「ONE 165」(1月28日、東京・有明アリーナ/ABEMA PPV ONLINE LIVEで国内独占生中継)で三浦彩佳(33=TRIBE TOKYO M.M.A)と対戦する平田樹(24=フリー)。派手な言動やSNSで注目を集める平田が飾りなしに等身大の自分について語った。(取材・文=島田将斗)

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 平田はキッズ柔道で圧倒的な強さを誇る講道館の春日柔道クラブ出身。小学生から全国大会に出場し高校は名門の創志学園へ。ここでもインターハイに出場する柔道エリートだった。業界では当然のように柔道で進学するかに思えたが突如、柔道界では平田の名前は見られなくなった。格闘家に転向していたのだ。

「中学3年までは学校よりも柔道。学校終わったら走って帰って柔道の練習に行く生活でした。高校も推薦で入らせてもらったんですけど、2年生から3年生のときに結果が出なくなって。一握りしか上にいけないな……、チャンスをつかめないなと。創志って高校生のときから大学生と練習をするんです。大学生の部活内でAチーム、Bチームに分かれているのを見たときに『やらなくてもいいかもって思ったんですよね」

 もちろん大学から推薦の声もあった。それでも「お金かけて大学に行かせてもらって結果が出なかったらどうしようと考えたりして。『柔道をやりたい』って言葉もひとつも出てこなくて」と頑なだった。

 周囲が柔道で大学に進学したり、警察学校へ行くなか、平田はひとり格闘家の道へ。春日柔道クラブ時代の師範だった向井幹博氏とは現在も連絡を取り合っている。

「どこに対しても向井先生は応援してくれる。いまでもあいさつに行きます。ずっとSNSをチェックしてくれているみたいで(笑)。どこに行っても第二のパパだなって。あのとき強くなれたのも、柔道やりたいって思えたのも向井先生のおかげ。何かの形で必ずいつか恩返ししたいです」

 平田と言えば試合前のふてぶてしい表情と「やってやんよ」を代表する強気な言動のイメージが強いが、バックボーンが講道館柔道とだけあって「礼」の気持ちも忘れていない。

「いままで、お金がかかることはたくさんしてきたと思っています。親孝行できたらすごくいい。まだまだ全然足りない。試合に勝ったときもそうだけど、生活してるときでも少しずつ親の喜んでいる顔が見られたらと思いますよね」

水抜きありなら「めちゃくちゃ余裕だと思います」

 プロキャリアは2019年、ONEでスタート。最近は減量に苦しんでいる部分もある。ホルモンバランスの変化や生理周期のずれなども影響し、生理を止めるためにピルを処方してもらっているほど裏側は壮絶だ。

「難しいタイプなんですよね。AKARI(RISEのキックボクサー)ちゃんも苦しんでいて『年齢的にもね』という話になったりします。柔道時代の先生からも『26歳くらいまでは女性の体だから』と言われることもあります。自分では減量しづらい体になってしまっているのも生きていて仕方ないと思いつつも、それは周りには伝わらない。でもプロなのでやらなきゃいけない。やるしかないに尽きますよね」

 ONEではただ体重を落とせばいいわけではない。水抜きによる減量を防止するためハイドレーション(尿比重)テストも設けている。水抜きありならば難易度は下がるのか。

「めちゃくちゃ余裕だと思います。団体のみんなも水抜きした方が余裕だと思う。海外の選手も苦しんでいるのを見るたび、このシステムは難しいんだなって思いますね。だからこそ、それをうまく調整できるのかが自分との向き合いになってくる。自分は水抜きありの試合をほとんどしたことないんです。なにが正解か分からないですけど、選手のためを思ってのことなので、このシステム自体は良いことだと思います」

 現在、52キロを主戦場に戦っている。柔道時代も52キロか57キロとほぼ同じ階級だ。計量ミスのたびに「階級変更」が議題に上がるが、本人的には無理してこの階級で戦っているわけではなかった。

「難しさは特にないです。最後のハイドレーションテストが、本当にそのときのコンディショニングよるんです。自分で行けると思ったときでもダメなことがあるので、本当にそこかなと思います」

 体重を作れてきていてもハイドレーションをクリアしていなければ試合をする資格はない。チャトリシットーヨンCEOは「選手の健康を守るシステムは世界一」と豪語するが、平田が難しさを明かした。

「試合前になるとハイドレーションテストで頭がいっぱいになってしまうこともあって。『ここまで作ってきたのにダメだったらどうしよう』ってそれがストレスになることもあります。

 逆にONEには『ハイドレーションだけはクリアしてくれ』と言われていて、それでみんな水を何リットルも飲みだすんです。『パスすれば、キャッチウエイトで大丈夫』って、それが基準になってるんですよね。まぁそう言われても、自分のように相手にダメと言われれば(ハム・ソヒ戦)ダメなので……」

鹿志村仁之介との生活で変化「コンディションの浮き沈みは少なくなりました」

 平田のインスタグラムのフォロワー数は32万人。国内の女子格闘家のなかでは圧倒的だ。Xではやりのトラッシュトークはしない。SNSへの考え方を語る平田はイマドキ女子だった。

「自分がもし逆の立場だったらって考えます。『この選手カッコいいな』ってインスタを見て練習だらけだったら『別にそれは見たくないんだよな』って思う。ファン的にもプライベートを見せてくれる方が親近感わくし、その方が接しやすいのかなと。『こういう服を着てます』って投稿してお仕事につながることもある。

 格闘技だけでも良いとは思うんですけど、そういうのって日本だけじゃないのかな。UFCの海外選手とかもプライベートを載せたりして、それを見てみんなが切り抜いて面白がったりしているので、その方がみんなが見るよなぁと思いますね」

 試合が近くないときには、ウエアブランドショップで「1日店長」をしていることもある。「ファンの方も自分(平田)が好きなものに対して『私も好きです』って言ってくれたりします。そこでもつながりが増えたら、すごく面白いことだし、そういう関係ができるのはSNSのおかげかな」と白い歯を見せた。

 あえて格闘家らしい投稿は控えている。たまに載せる練習映像で「そういえばこの子選手だった」と思わせるのがちょうどいい。

「毎日練習を載せるよりも、練習の休憩時間にこんなの飲んだ、こんな物を食べたの方が良い。練習の投稿は1か月に2~3回で、『そういえばこの子、きつい練習もしてるんだよな』みたいな感覚でいてくれたら」

 そう言いつつも、練習をしていないわけではない。現在は週に6日トレーニング。和術慧舟會HEARTSでMMA、立ち技のジムで打撃練習、トライフォース池袋でグラップリング練習している。投稿は移動中にしているそうだ。

「アカウントはあるのに何も投稿しない人がいるじゃないですか。自分はそれが分からなくて。観光に行っても『絶対載せない』って。いや絶対載せた方がいいよって(笑)。そういう趣味あるんだってファンのみなさん喜んでくれるじゃないですか。試合の前後だけ投稿している人はもったいないですよね。自分は日記だと思っているので、みんなが反応してくれたらうれしいですよね」

 平田のSNSにはパートナーである鹿志村仁之介も時折登場する。DEEPを主戦場としている“彼”との生活は、格闘家として良い方向に向かわせてくれている。

「彼は柔術が強いから、打ち込みもしていて、いつもダメ出しばかりです(苦笑い)。近くにいる人って指摘もしてくれる。そうなると生活も変わって、食べるものも変化しました。お互い減量期があるので、減量飯を一緒に食べたりして、コンディションの浮き沈みは少なくなりましたね」

 対戦カード発表会見で減量面について質問されると「平田流」と多くは語らなかったが、実際には鹿志村の知恵も助けになっているようだ。

「彼も減量する人だし、いろいろ指摘してもらいながらやってます。シンガポールのとき(22年11月)も最後の計量前にお風呂に何度も入って、体が痺れ始めたときに湯船から引き出してくれて。1人でやってたら死んでたかもしれない。そういうところを分かる人だと本当に助かります」

 今年で25歳。格闘技界の“フレッシュマン”ではなくなった。だからこそ自分より若い世代に目が行くこともある。

「いままで自分が1番下だったからこそ、若い世代と一緒に作っていきたいという気持ちがあります。これまでは、どこに行っても年上の人ばかりであまり話しかけられないこともあったので、自分より下の子が増えて、一緒に海外勢を倒したいって思いが大きいですね」

 夢は「目標してもらえる存在」だ。「女の子たちの目標になれたらうれしい。手助けじゃないけど、一緒に目指すものができたら良いですよね。自分は逆に目標とする選手がいなかったので、そういう付いてきてもらえる存在になっていきたいです」と熱い。

“距離の近さ”が人気の秘けつだ。「将来はキッズや女性会員の先生になりたい」と目を輝かせる。三浦との唯一の日本人対決。試合で観客を楽しませられるのか、格闘技でも輝く姿をファンは期待している。

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