現役看護師で女優、空手世界一のインフルエンサー…長野じゅりあはなぜプロレスラーになったのか
「長野じゅりあ」という名前を聴いたことのある人は多いだろう。しかし、その聴いたきっかけは多岐に渡るかもしれない。小学校時代に空手の「形」において世界1位になり、現在は女優・タレントとして映画にも出演している。そして現役看護師としての日常もアップしているTikTokのフォロワー数は、まもなく100万人を超えようとしている。さらには東京女子プロレスでは、タッグ王座にも挑戦し勢いに乗っているところだった。
倍率600倍、軽い気持ちで受けたオーディションを見事突破し芸能界へ
「長野じゅりあ」という名前を聴いたことのある人は多いだろう。しかし、その聴いたきっかけは多岐に渡るかもしれない。小学校時代に空手の「形」において世界1位になり、現在は女優・タレントとして映画にも出演している。そして現役看護師としての日常もアップしているTikTokのフォロワー数は、まもなく100万人を超えようとしている。さらには東京女子プロレスでは、タッグ王座にも挑戦し勢いに乗っているところだった。しかし1月9日に会見を開き、4月13日の北沢タウンホール大会をもってプロレスを卒業することを発表。その長野に、プロレスラーになるまでの経緯と現在の心境を聴いた。(取材・文=橋場了吾)
長野は5歳のときから空手を始めた。最初はいわゆる対戦形式の空手と形の両方をしていた。
「親が格闘技やK-1が好きだったので、自分の身を護ってほしいということで無理やりやらされたのが最初です。(人を殴ったり蹴ったりすることへの)抵抗は……ありました。痛いんですけど、その分カッコいいですし、強くなれましたし。5歳からやっていると、だんだんそれが普通になってしまうんですよね。小学校低学年のときは同級生を誘って同じ道場で練習するんですけど、みんなは1か月で辞めてしまって(苦笑)」
そして2006年に開催された「第5回糸東流空手世界選手権大会 形の部 9歳~10歳 女子3級以上」において優勝した。
「組手はルール的に自分に向いていなかったというか……(審判に)止められた後に殴り掛かっちゃうとかするくらい熱くなってしまうので。それで、形一本にしようと思いました。(世界選手権大会は)最初からいける気がしていたんですよ(笑)。当時は世界チャンピオンになるのは当たり前でしょ!という自信がありました。今思うと、自分は凄かったんだなって思いますけど(笑)」
中学2年生のときに、空手の試合結果が掲載されているホームページを見ていると、映画『サルベージ・マイス』のオーディションの広告を発見した。興味本位で応募した長野は、600人を超えるオーディション参加者の中から栄冠を勝ち取り、映画に初出演することになる。
「AKB48さんが好きで、家で歌ったり踊ったりはしていたんですけど、芸能界に入りたい!という気持ちは当時はなくて。原宿の竹下通りを歩くと、なぜか声をよくかけられたので、スカウトの名刺を集めるのが趣味だったんですが(笑)、親に全部捨てられてしまいました。オーディションでは空手ができる女子高生の役を募集していたので、『映画の中で空手を披露できるんだったらいいなあ』という軽い気持ちで受けたんです」
実際、映画の撮影をしてみると芸能界の凄さを目の当たりにすることになる。
「映画というものが、どれだけ時間をかけて作られているのか……本当に大変な世界だなと現実を知りましたね。キラキラしているように見えていましたけど、台本1ページ分撮影するのに1日かかったり、セリフも凄い量を覚えたり……厳しい世界だなと。でも、自分の出ている映画が公開されたら嬉しくて何回も見直しました」
プロレスを知らないのに即答で「やります!」…でも練習中に「ヤバい」と感じる
その長野が芸能の世界に本格的に飛び込みたいと思ったのはいつだったのだろうか。
「映画の撮影時は、(高校)受験もありましたし空手の大会もあったので、2年くらいで辞めてしまったんですよ。でも心の中では本気で(芸能活動を)やりたいなという気持ちを持ったまま看護学校に入りました。そして看護師として3年働いた23歳のときに、TikTokでフォロワーが30万人もできて、もう1回芸能界にチャレンジしてみたいなと思って、今の事務所に入ったんです。芸能活動を再開するにはちょっと遅い年齢なので、今しかないと思って……」
長野はその際に看護師の仕事を辞めようと思ったという。しかし、ファンの後押しもあり看護師は続けることになった。
「今も週2~3回は看護師として働いています。芸能活動も、看護師も、プロレスラーとしての時間も、全部同じくらいですね。日中は看護師、終わったあとに道場に行って練習、その後にインターネットサイン会みたい日もあるので。さらに土日を中心に試合があって、という感じですね」
今でこそ人気プロレスラーの長野だが、実はプロレスのことはほとんど知らなかった。しかも、高木三四郎にスカウトされたときにプロレスを知らないまま「やります!」と言ってしまった。
「夜ふかししているときに少しテレビで触れたくらいで……プロレスのことは、数回しか見たことのないレベルでした。(高木にスカウトされたときに)プロレスを見ることもなく即答してしまって、その後に東京女子を見に行ったときに『あ、ヤバい』と思いました(苦笑)。でも、頑張ればなんとかなるかもしれないと思って、試合を見た後も気持ちは変わらなかったですね。それから道場に行って練習したときに『やっぱり、ヤバい』と(笑)。受け身すら取れないんですから。でも、やるっていったからには必死で練習しました」
そして2022年1月4日、東京女子プロレス・後楽園ホール大会で長野はあいさつし、プロレスデビューすることを報告した。しかもデビューの会場となったのは両国国技館。同年3月19日の『GRAND PRINCESS ’22』と発表された。