65歳で亡くなった小金沢昇司さん、活動休止のまま帰らぬ人に…「優しくて面倒見のいい人でした」

テレビCM「フィニッシュ・コーワ」でブレイクした歌手の小金沢昇司さんが、今月11日に呼吸不全のために神奈川県内の医療機関で亡くなっていた。15日、キングレコードの公式サイトで発表された。65歳だった。2014年2月、師匠の北島三郎がオーナーの北島音楽事務所から独立も21年に事務所が破産。体調も崩し、活動休止の状態が続いたまま帰らぬ人になった。

65歳で亡くなった小金沢昇司さん【写真:キングレコード オフィシャルサイトより】
65歳で亡くなった小金沢昇司さん【写真:キングレコード オフィシャルサイトより】

調理師免許を持ち、スタッフに料理を振る舞う一面も

 テレビCM「フィニッシュ・コーワ」でブレイクした歌手の小金沢昇司さんが、今月11日に呼吸不全のために神奈川県内の医療機関で亡くなっていた。15日、キングレコードの公式サイトで発表された。65歳だった。2014年2月、師匠の北島三郎がオーナーの北島音楽事務所から独立も21年に事務所が破産。体調も崩し、活動休止の状態が続いたまま帰らぬ人になった。(取材・文=柳田通斉)

 小金沢さんを知る関係者は突然の訃報に接し、動揺しながら言った。

「活動を休止されて以来、お会いしていませんでした。まだ60代半ば。早過ぎます」

 14年2月、北島音楽事務所から「のれん分け」の形で独立。歌手活動とともにボランティア活動の熱心さでも知られた。一方で、20年11月28日、東京・杉並区を車で運転中にトラックと衝突。検査でアルコールが検出されたため、道路交通法違反(酒気帯び運転)で警視庁に逮捕された。同30日には釈放され、芸能活動休止と謹慎を発表した。

 この不祥事とコロナ禍が影響して21年7月に事務所は破産。本人は体調を崩して表舞台に復帰できないままだった。関係者によると、「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」を患っていた時期もあったという。

 小金沢さんは神奈川・大和市生まれ。父は中華料理店を営んでいた。家業を継ぐために調理師免許を取得するも、歌手になる夢をあきめられなかった。「料理の修業のため」と称して東京・新宿区歌舞伎町のクラブの調理場で働きながら、音楽の専門学校に通学。新宿コマ劇場で北島の大看板が掲げられているのを見て、弟子入りを志願した。

 北島の付き人で長年の下積み生活を経た後、1988年『おまえさがして』でデビュー。92年には、テレビCM「フィニッシュ・コーワ(歌手の小金沢くん編)」に出演した。当初は本人が一切せりふを発さず、「歌手の小金沢君が使っているのはフィニッシュコーワ」のナレーションが流れる構成。歌も流れず、無名だったため、瞬く間に「小金沢君って誰」と話題になった。これをきっかけに小金沢さんはテレビ番組に多数出演。歌よりも先に存在が知られる演歌歌手となり、このキャッチフレーズは同年の新語・流行語大賞において大衆部門の銀賞を受賞した。

 その後、92年5月にリリースしたシングル『おまえだけ』がジワジワと売り上げを伸ばしてヒット。文字通りのブレイクを果たした中で、小金沢さんはスタッフに料理を振る舞うことがあったという。

「よく手料理を作ってくださいました。春先のバーベキュー会は恒例で、スタッフにお肉を焼いてくれました。わがままを言う姿は見たことがなく、誰にでも優しくて面倒見のいい人でした」

 小金沢さんはかつて、得意の料理を仕事にも生かしていた。だが、晩年はスタッフらとの交流も途絶え、バーベキュー会も長らく開かれないままだったという。

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