堀口恭司、平本蓮はUFCに「2、3年で全然いける」と断言する根拠「あとは自分を信じられるか」

RIZINフライ級新王者の堀口恭司が、都内で著書『EASY FIGHT』(幻冬舎)の刊行イベントを行った。今回はその際に堀口が発した発言から興味深かったものをお届けする。

初の自著「EASY FIGHT」(幻冬舎)刊行イベントを行った堀口恭司
初の自著「EASY FIGHT」(幻冬舎)刊行イベントを行った堀口恭司

自信が揺らいだことはない

 RIZINフライ級新王者の堀口恭司が、都内で著書『EASY FIGHT』(幻冬舎)の刊行イベントを行った。今回はその際に堀口が発した発言から興味深かったものをお届けする。(取材・文=“Show”大谷泰顕)

 約1時間弱にわたって、堀口は聞き役となった箕輪厚介氏を相手に持論を展開した。

 まず2023年大みそかにさいたまスーパーアリーナで開催されたRIZIN.45では、安保瑠輝也、皇治、芦沢竜誠といったキックボクサーが初のMMA戦に挑んだが、試合前の段階で堀口は「人を熱狂させるので何試合かは“客寄せピエロ”みたいなのがいてもいい」といった発言を公にしていた。

 改めてこの傾向に関する方向性を堀口にぶつけると、「すごくいいんじゃないですか?」と話しつつ、次のように答えた。

「有名な選手がMMAに挑戦して、人が来るわけじゃないですか。人が来ないと廃れていくので。その中でも本物と、言い方悪いですけど、偽物っていうかああいうビギナーっていうか。そういうのを見せてあげると、本物に人がつくんじゃないかと思いますね」

 では、同じくK-1ファイターとして活躍しながらMMAに挑戦し続けている、平本蓮は世界最大のMMA団体であるUFCの名前を出しているが、実際にUFCのレベルを知っている堀口からすると、どの程度の期間練習すれば可能性はあるものなのか?

「打撃のベースはキックボクサーなのであるので、あとは寝技だけだから、うーん、そうですね。2、3年やれば全然いけるんじゃないかと思いますよ。あとは自分を信じられるか。そこが一番のキモだと思いますよ」

 ここで「堀口さんは自分に対する自信が揺らいだことはない?」と聞かれると、「ないですね」と即答する。

 その理由を堀口は「やっぱり練習ですね。もうわからないことがなくて、(寝技の)ポジションで。昔はホント分からなくて。あせって力で逃げるとかだったんですけど、今はまったくないので。普通に練習みたいに全部さばいちゃうので。こう来たらこうだ、みたいな。もちろん、打撃とかだと一発もらえば倒れちゃうので、そこはなんとも言えないですけど、寝技はもうだいたい(問題ない)」と話した。

 例えば堀口は金太郎戦(RIZIN.38=2022年9月25日、さいたまスーパーアリーナ)でも一発もらった瞬間があったが、すぐに起きて対応した場面は見事だった。

「あれは一瞬飛んで。カラダに染み付いてるから起きただけであって。考えて動いてるわけじゃないッスね」

「試合中、初めての場面になったことはない」

 ちなみに堀口は、ATTでの練習で、イレギュラーな場面を想定した練習を連日行っているという。

「ずーっと練習してますね、マイク・ブラウンと一緒に」

「そうなると、試合中に初めてになった場面はあまり来ない感じですか?」と問われると、「あんまりっていうかないですね。全部やっていることなので」と断言し、いかにATTでの練習が世界最先端なのかを話し始めた。

「それはアメリカにいったからですね。全部研究できて。今の日本の格闘技っていうのはそこまでできてないですね。どんどん伸びてますけど、すべてに対応できるほど、まだ来てないので。自分はアメリカに行って、その技術を学んでるっていう」

 それは対戦相手が決まったらメニューを組んでくれるということなのか。

「それもありますし、対戦相手用の練習は相手が決まってから。その前までは、毎週UFCの試合があったり、各団体で試合があるんですよ。その試合で各選手が見せた気技術とかを、みんなで話し合って、これ、新しい技が出てきたぞ。どう対処する……? 全部こういう話があるんですよ。だから自分は、アメリカに強い選手は(集まってくるって言っているんです)」

 要は、選手が練習するための場所というよりも、選手を強くするための、いわば研究所としての側面がATTには備わっているということなのだろう。これは、アメリカで生まれたビジネスが数年後に日本でも展開されるのと似た雰囲気があり、堀口においても、ATTでの最先端の研究から生まれた技術を、先の神龍戦でも使用したことになる。

 ちなみに大みそかのRIZIN.45では、堀口に敗れた神龍が試合直後に「一番の(敗戦の)ポイント……まあ僕が焦っちゃったことですかね。あとはそのバックチョークが入らないと思っていたのですけど、汗で滑って入ってきちゃったので、そこは想定外だったっすね」と答えていたが、堀口は「取れると思わなかったら、あそこに入れないですよね」と答えると、豪快に「へへへへへ(ここはガハハハハ! か)」と笑っていた。
 
 堀口は神龍に対し、試合後に「ATTにおいで」と口にし、神龍は「(堀口に勝つまで)絶対に行かないです」と答えていた。そう答えた神龍の気持ちは十分に理解しつつも、2015年4月にUFCのタイトル戦で敗れた堀口が、すぐさまアメリカ行きを決めた臨機応変さを考えると、神龍に限らず、いかに己のこだわりを捨てずに柔軟に変化させられるか。そこにこそ、格闘技に限らず日本人全体の課題があるのでは……。

 堀口の体感するATTでの日常にはそれを打破するためのヒントが詰まっている。

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