レスラーデビュー35周年の蝶野正洋が“幻の引退宣言”と“引き際”を初告白

“黒のカリスマ"蝶野正洋(56)が5日にデビュー35周年を迎えた。近年はAEDを使った救急救命や地域防災の啓蒙活動を推進する一方、リングの第一線からは遠ざかったままだ。悪党レスラーとして一時代を築いた黒の総帥は今後、どこへ向かうのか。

今までにないことにチャレンジしたいと語った蝶野正洋
今までにないことにチャレンジしたいと語った蝶野正洋

節目を迎えたカリスマが「どういう形でプロレスと関わっていくか」と切り出した

“黒のカリスマ”蝶野正洋(56)が5日にデビュー35周年を迎えた。近年はAEDを使った救急救命や地域防災の啓蒙活動を推進する一方、リングの第一線からは遠ざかったままだ。悪党レスラーとして一時代を築いた黒の総帥は今後、どこへ向かうのか。

 蝶野に35周年を迎えた心境を聞くと、「現役というか、もう試合から遠ざかっちゃっているので、あとはどういう形でプロレスと関わっていくか。年齢的に56になっていますから」と落ち着き払った口調で語った。

 故橋本真也さん、三沢光晴さんの急死を受け、2010年から救急救命の啓蒙活動に取り組んでいる。「名前がある人間たちだから手伝えることがある」。キャリア節目の年を迎えて、自身の中で、ますます活動の軸になっていくという。

年内は試合不出場を宣言…蝶野が考える自身のフィナーレとは?

 一方、レスラーとしての現役生活については「年内にリングに上がることはない。どこかで体調が戻ったら、試合やりたいって上がるかもしれない」と消極的だ。

 8月には武藤敬司(56)プロデュースの「プロレスリング・マスターズ」で雄姿を披露したが、「ちょっとした冷やかしで上がる分にはね。マスターズというご高齢の方たちの集まりはなんとか大丈夫かもしれないけど、若い連中とは怖くて上がれない」と苦笑する。

 第一線への復帰のメドは立たないが、現役への強いこだわりもない。自身の引き際も意識している。蝶野が考えるのが、セレモニーなしの“フェードアウト”方式だ。

「それが一番、自分の好きなスタイル。知らない間にいなくなるっていうのがオレの好きなスタイルでしょうね」

 蝶野ほどのレスラーなら、ケジメをつけるならば、引退試合をしてもおかしくない。しかし、気をもむ周囲をよそに、マイペースを貫いている。「引退式をするというガラでもないのかな。ある程度、業界を背負うなり、団体を背負う人間が、そういう名だたる人たち、先輩たちが引退式だとかそういったことを挙げられる。オレはそのレベルじゃないなっていうのは自分の中であるから」と持論を展開した。

東京ドーム大会で再結集するはずだった闘魂三銃士

 実は過去、古巣の新日本プロレスで引退を決意したことがある。

「橋本選手が亡くなる年、もう14年前ぐらい前か。あの時が自分の中で一番、引退を考えてプランを立てた年だったんですよ。でも、あそこで機を逃して、橋本選手に先に逝かれちゃったから」

 橋本さんが急逝した05年、かつて「闘魂三銃士」と呼ばれて人気を博した蝶野、武藤、橋本さんの3人は、異なる団体で活動していた。そんな中、蝶野は人知れず、ライバルに先駆け、リングシューズを脱ぐ意思を固めた。

「本当は5月ぐらいにドーム大会があって、武藤選手が(橋本さんを)招へいしてて、3人揃ったところで、オレが引退を宣言するっていうのがあった。そしたら橋本選手が来れなかった。あそこで一発やろうと思っていたのが……」

 盟友の死が結果的に蝶野の運命も変えてしまった。

 武藤は現役を続けているが、そこで切磋琢磨する気持ちは蝶野の中ではなくなったという。今後は、総合イベントの一環としてのプロレスのプロデュース業に力を入れる。また、35年を機に芸能事務所ケイダッシュの関連会社「ケイパーク」と業務提携を結び、芸能界にも進出していく方針だ。

「本格的な芸能事務所とやっていくということで、今までにないことにチャレンジはしていきたい。35周年だから、自分の中では『挑戦』というくくりの年にしたい」

 蝶野はプロレスの枠にとらわれず、活躍の場を広げていく。

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