避難所に次々届くガーベラの花「少しでも心の慰めになれば」 地元花店の行動にSNS注目

能登半島地震の被災地に花を贈る地元フラワーショップの活動がSNSで注目されている。被災地に届けられている花はガーベラ。花言葉は「希望」だ。石川県各地では最大震度7を観測した地震により甚大な被害を出しており、その全容がいまだに分からない状態が続いている。北陸地方を中心に実店舗を運営している「花まつ」の松村吉章社長に被災地に花を届ける理由を聞いた。

避難所に次々と届けられているガーベラ【写真:松村吉章さん提供】
避難所に次々と届けられているガーベラ【写真:松村吉章さん提供】

氷見市の『民宿あおまさ』にお米60キロとガーベラの花束

 能登半島地震の被災地に花を贈る地元フラワーショップの活動がSNSで注目されている。被災地に届けられている花はガーベラ。花言葉は「希望」だ。石川県各地では最大震度7を観測した地震により甚大な被害を出しており、その全容がいまだに分からない状態が続いている。北陸地方を中心に実店舗を運営している「花まつ」の松村吉章社長に被災地に花を届ける理由を聞いた。

「まず1月3日に避難所としておにぎりの炊き出しと温泉を無料解放していらっしゃる氷見市の『民宿あおまさ』さんにお米60キロとお花をお届けしました。ガーベラの花言葉は希望。女将の青木栄美子さんの笑顔に応援に参った私がむしろ勇気づけられました」

 4日にこうXにポストした松村社長は「厳しい時ですが、お花は笑顔を生んでくれます。まさに今、被災された方々に必要とされているメッセージとして“希望”をお届けしたくガーベラを選びました。お花を見て少しでも心が癒やされ笑顔になってほしいと願います」と語る。

 実は、「花まつ」を展開するジャパン・フラワー・コーポレーション社は2020年から「スマイルフラワープロジェクト」を立ち上げ社会課題となっていた「フラワーロス」(花き類の破棄)の解決に挑んでいる。同社は生産者を支援するため、規格外の花を生産者から買い取り、消費者に直接販売する取り組みを続けている。今回届けたガーベラも規格外のものといい、「民宿あおまさ」の他にも氷見ふれあいスポーツセンターに、8日には小松市粟津町内の旅館に花を届けた。同旅館は二次避難所に指定されており被災者が次々と到着している。

「今 お花をお持ちすることはかえってご迷惑にならないか、衣食住と安全の確保が最優先の中、疲れきった方、大切な方を亡くされた方、大変なショックを受けていらっしゃる方、甚大な被害を前にして被災された方々に対して私たちは何ができるのだろう、どんなお声掛けも不適切かもしれない、どんな支援が望まれているのだろうか、ということをずっと葛藤しながら考え続けています。しかし、やっと避難した先でほっと一息ついた時にそこに1輪の花があったら、そっと無言で寄り添い慰めたり明るく勇気づけたりする力を持つのではないか。お花は不要不急、お腹は満たしません。でも心を満たしてくれるかもしれません。被災された方の心が花によって少しでも平和で温かいものとなりますようにと祈りながらお花をお届けしたいと思います」

2011年東日本大震災の際は葬儀の花が不足

 松村社長は、2011年3月11日に発生した東日本大震災の際にも、岩手・陸前高田市へトラックいっぱいの花を積んで駆けつけた経験があるという。「お店もなくなってしまって大切な方のご遺体に手向けるためのお花も手に入らず、手を合わせその死を悼むことができなかったから本当にありがたいと大変感謝されたことを覚えています」。当時に比べ燃料代、資材、人件費、輸送量などの高騰と、コロナの影響による生産者の減少のため花卉(かき)の価格は例年にないほど高騰しているというが、花を届ける取り組みは今後も粘り強く続ける覚悟だ。

「花は心の栄養です。癒やし、慰め、勇気、笑顔、暖かさ。思う以上にポジティブなエネルギーとパワーに満ちています。お正月早々の大地震で私の会社や店舗も少なからず被害を受け片付けに追われました。また、従業員の中には能登半島にご実家があり帰省中に震災に見舞われた方もいらっしゃいます。知人、友人それぞれに非常事態への対応に追われる中、今私にできることは何かを考え続けていました。花は不要不急のものですが、見ると自然と笑顔になります。少しでも明るい気持ちになっていただけたらと願っています」

「花まつ社長」のアカウント名でXに投稿した写真には「こんな時だからこそ、花を贈る優しさや心遣いが必要なのだと思います」「お花でおなかはいっぱいにならないけれど、お花のある世の中なんだ、と思えることがどれだけありがたいことか」「今は生きることが最優先で心に余裕が持てない時だと思います。だからこそ生活に絶対必要ではないものが心を休ませる」などの声が寄せられた。

 多くの反響に松村社長は「大変勇気づけられました。能登半島の冬は厳しいです。災害関連死を防ぐためにも安全で暖かい場所に二次避難をして無事に冬を越してほしい。お花が被災された方々の心に寄り添い、少しでも笑顔や明るさにつながりますように」と平穏な日常が一日も早く取り戻されることを願っている。

「スマイルフラワープロジェクト」の公式ホームページ
https://jfc.thebase.in

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