“元祖アイドルレスラー”キューティー鈴木、当時の苦悩激白 芸能仕事増え「とくに専門誌は厳しかった」
現在、2児の母として多忙な日々を送っている、元女子プロレスラーのキューティー鈴木。現役時代は“元祖アイドルレスラー”として活躍したように、リング上よりもアイドルの側面を強く求められた。そんな彼女に、最近の女子プロレス界に対しての思いや最近の注目選手についても話を聞いた。
「最初の頃はかわいいイメージもなかった」
現在、2児の母として多忙な日々を送っている、元女子プロレスラーのキューティー鈴木。現役時代は“元祖アイドルレスラー”として活躍したように、リング上よりもアイドルの側面を強く求められた。そんな彼女に、最近の女子プロレス界に対しての思いや最近の注目選手についても話を聞いた。(取材・文=“Show”大谷泰顕)
芸能界屈指の肉体派が絶賛する驚きのトレーニングアイテムとは?
「最初の頃はかわいいイメージもなかったし、自分ではそんな意識はなかったんですけど、マスコミの人に言われて、どっかで私もそういうふうにしなくちゃいけないっていう感じになっていったのかな。自然と作られて行った気がしますね」
“元祖アイドルレスラー”の先駆け的存在だったキューティーがそう答えた。キューティーといえば、ネットもなかった時代に圧倒的影響力を誇った地上波の番組に多数出演し、写真集を何冊も世に出すなど、プロレス以外の芸能の仕事が多かった印象がある。
「最初は呼ばれた仕事をこなすしか選択肢がなかったんです。そこから週に1度だったのが2度、3度……。どんどん増えていく感じですね。最終的にはプロレスより忙しかった。とくにジャパン女子の頃はそんなに試合も入ってなかったので」
そしてキューティーは、試合以外の仕事を続けていた際の苦悩を打ち明ける。
「私なんかはプロレスもちゃんとできていない頃に、気がついたら仕事がいっぱい入ってきていたのでツラかったんですよ。とくに専門誌は厳しかったし、ボロクソ書かれますから。だから一切見なかったです。勝ってもいいことを書かれないし、負けたらもっとボロクソ書くし」。
当時は、芸能の仕事をする暇があったら練習しろ、というのがスタンダードな時代だったのだろう。
「だから早くプロレスで見せられなきゃなーとは思っていましたね。でも、私だってそうしたいけど、とくにジャパン女子プロレスの頃は、私たちの団体もありますよっていう宣伝だったので、あの頃はひとつでも多くのテレビや雑誌の仕事をして(露出を増やして)、私たちのことを分かってもらえるようにしなきゃいけなかった。だってその頃は試合会場に行っても、『今日はダンプ松本は来ないの?』ってよく言われていたから、少しでも早くジャパン女子の選手をひいきに会場に来てもらえるようにしなきゃと思っていました」
「基本的にプロレスは戦い」
今年3月、WWEとの契約期間を終えたSareeeが帰国した際、「かわいいやキレイよりも、プロレスなので“戦い”を見せることが先」と発言し、物議を醸した。かつてはアントニオ猪木も事あるごとに口にしていた「プロレスは闘いである」を、“元祖アイドルレスラー”のキューティーはどう考えているのか。
「基本的にプロレスは闘いだと思います。もちろん、かわいいから人気がある人もいるんだろうけど、全員が全員かわいい子が好きかって言ったらったらそうでもないし、やっぱり基本的にはプロレスができていないとプロレスラーとは言えないし、軸がブレずにしっかりとプロレスをやっているほうがかわいいかろうが、かわいくなかろうが、かっこいいと思います。結局、見た目はプラスαだと思っているので、しっかりとプロレスができているほうが私はいいと思いますけどね」
そんなキューティーの目から見て、最近の女子プロレスはどう見えているのか。
「最近は年に1、2回、たまに(同期の)尾崎魔弓の試合(OZアカデミー)を見に行くくらいですけど、私たちの頃とは全然違うプロレスをやっていますよね」
ならばと、「気になる女子プロレスラーは?」とたずねると、即座に「安納(サオリ)さん」と答え、こう続けた。
「彼女は面白かったですよ。今の子たちは自分のアピールの仕方を知っているというか。私たちの頃は、とくに新人時代なんて自分をアピールする暇もなくガムシャラに戦っていた気もするけど、今の子たちはちゃんと自分のチャームポイントも分かっているし、自分の見せ方も分かっているので、すごく玄人っぽい。だから私たちの時代のプロレスとは違うのかなって。やっぱり自分の個性を早く見つけて、それを輝かせることがひとつ上のランクに行く方法なんじゃないかなって、すごく勉強させられますね」
さらに“元祖”として令和のアイドルレスラーに対してキューティーなりのエールを送る。
「かわいい子たちにしても、それが個性で、自信を持ってやっているんであれば、それはそれでいいとは思うんです。ちゃんと基礎さえしっかりしていれば。プロレスだから自分だけでは成り立たないし、相手あってのものだから。でも、それがプロレスとして確立しているのであれば、それも個性だとは思うけど、相手の技も受けきれないのであれば、ちゃんと練習したほうがいいのかなとは思いますね。自分だけがいいっていうわけではないので」
ちなみに、もしも自分の2人の子どもたちが「プロレスラーになりたい」と言ってきても絶対に反対するというキューティー。それでも、自身に関しては「やっぱり生まれ変わってもプロレスラーになりたいと思う」と答えた。
「たまにですけど、やっぱりプロレス会場に行くと楽しいです。もっとこのプロレスが世に出れば、こんなに頑張っている人がいるんだって、いろんな人に見てもらいたいなとは思いますね」