市川團十郎、長男・新之助と長女・ぼたんの成長に「精神年齢は私が一番幼い。子どもです」
歌舞伎俳優の市川團十郎、長男の市川新之助、長女の市川ぼたんが5日、東京・中央区の新橋演舞場で、初春歌舞伎公演『平家女護嶋(へいけにょごのしま) 恩愛麻絆央源平(おやこのきずななかもげんぺい)―SANEMORI PARTII―』(25日まで)の公開稽古を行った。
副題には亡くなった妻・小林麻央さんの名前も
歌舞伎俳優の市川團十郎、長男の市川新之助、長女の市川ぼたんが5日、東京・中央区の新橋演舞場で、初春歌舞伎公演『平家女護嶋(へいけにょごのしま) 恩愛麻絆央源平(おやこのきずななかもげんぺい)―SANEMORI PARTII―』(25日まで)の公開稽古を行った。
同作は、没後300年を迎える近松門左衛門の傑作『平家女護嶋』を新たな解釈と演出で練り直した公演。源平合戦を舞台に、親子の情愛を描いた物語。團十郎とぼたんは、父・斎藤実盛と娘・斎藤ひな鶴、また團十郎と新之助は、母・常盤御前と息子・牛若丸(源義経)として、それぞれ親子役を務める。團十郎は劇中で俊寛、実盛、常盤御前の3役を演じ分ける。副題には、2017年に乳がんのため亡くなった團十郎の妻で、新之助とぼたんの母である小林麻央さんの「麻」と「央」の字が入っている。
公開稽古前に團十郎、新之助、ぼたんの囲み取材が行われた。今年で新橋演舞場での1月公演出演が11回目を迎える團十郎は、「11年、11回やったとしても、新橋演舞場でお正月を迎えるのは、私としても年中行事のひとつなので、そこに慣れることなく、新しい気持ちで舞台に立ちたい」と意気込んだ。
親子を題材にした今作について聞かれると、「作者の石川耕士さんが、2年前から『こういうお芝居があって、今のうちしかできないから、やりたいから書いていいかな』とずっとおっしゃっていて」と明かし、「コロナがあったり、(團十郎の)襲名披露興行と重なって、なかなかできる機会がなかったんですけど、『ここしかない』というタイミングで。(子どもたちが)これ以上大きくなったらできなくなってしまう」と、2024年での上演が決まったという。「この演目、とても面白く、よくできている。この子たちとやるのは、親子の(年齢の)バランスで、今回が最後になっちゃうのかな」と語った。
副題に入れた「麻央」の字は、石川氏の発案だっという。「石川さんが『どうしても入れたい』ということで、入れさせていただいた。家族の絆を中心とした物語なので、我々(親子)の現実と、舞台の上の役どころに対するところと、見てくださる方々に感じていただける部分があるんじゃないかと思います」と語った。
今回は子どもたちもせりふが多い役どころだが、新之助は平気だった様子。「思い入れのあるせりふ」「心に残ったせりふ」を聞かれるも、「ないです」とクールに即答した。しかし「緊張はしない?」の問いには、「いやぁ……緊張はしますね」と苦笑いした。ぼたんも、「せりふは早く覚えることができていたけど、そこからがちょっと大変だった」と明かした。團十郎は「普段、(ぼたんは)舞踊家で踊り中心なので、せりふがちょっと苦手に感じていて。あえて、せりふに挑戦してもらいたいと思って、『せりふを多めにしてください』と頼んだ。今のうちにちゃんとやっておかないと」と、師匠としての顔ものぞかせた。
2人の成長について團十郎は、「麗禾(ぼたん)は、いろんな方々のことを気にしながら、自分のことをちゃんと見つめながら、修正したいことを修正し、行きたい方向へ向かうような人になっています。息子も、全部わかっているけどそこを表に出さずに、内に入れて、おおらかにいられるようなところがある」と語り、「普通の10代の子たちがそうなのかわからないですけど、ノビノビすくすくと育っていると思います」と称賛。「精神年齢は私が一番幼い。幼いというより、子どもです。(2人の)大人に囲まれています」と報道陣を笑わせた。