【ノア】セミとメインの試合順で物議、2024年「闘い初め」1・2有明アリーナ大会を総括
2024年、方舟「ノア」の舵を取るのは誰なのか。“闘い始め” 1・2東京・有明アリーナ大会で事態はいよいよ混沌としてきた。
毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.178】
2024年、方舟「ノア」の舵を取るのは誰なのか。“闘い始め” 1・2東京・有明アリーナ大会で事態はいよいよ混沌としてきた。
全試合終了後、大会を締めたのは、メインイベントを争った飯伏幸太でもなく丸藤正道でもなかった。
敗れた丸藤が引き揚げると、ジェイク・リーと清宮海斗がリングに上がって来た。勝った飯伏に対戦要求するのかと思いきや、アピールはなし。二人の間をすり抜けた飯伏は花道を下がっていく。
残った二人がそれぞれの言葉で「今年のノアを引っ張るのは俺だ!」と名乗りを上げた。
ジェイクは「あんなウルトラヘビーみたいなリズムで試合やりやがって!」と、メインのスピード感のなさを痛烈に批判。観客席に共感の声援と拍手が広がると「またここの舵を取ってやる」とズバリ。拳を天高く突き上げた。
清宮は「ノアの闘いの中心に入っていく。ここにいるみんなで一緒にノアを作っていこう」と絶叫。ファンの歓声を集めた。
セミとメインの試合順を巡って物議をかもした大会は、思わぬフィナーレとなった。
「興行は水もの」という言葉を思い出した。どんなに良いカードでも噛み合わないこともあれば、逆に注目されないカードでも思わぬ好勝負になることもある。たった1試合で興行全体が高評価されることもあれば、またその逆も有りえる。
セミの熱戦で盛り上がった会場の空気は、貴重なカードとされたメインが変えてしまった。だが、ジェイクの言葉で救われた。ジェイクは以前から「ものごとすべてに意味がある。それに気づけるかどうかが重要」と繰り返している。メインの試合を見て、自分のやるべきことに改めて気づいたのではないだろうか。
群雄割拠、戦国時代の到来を改めて実感させられる試合の連続だった。23年3月から10月まで、GHCヘビー級王座に君臨したジェイクは、第2試合の6人タッグマッチにGLGのメンバーを引き連れ登場。リーダーの役目を果たし、チームに勝利を呼び込んだ。
清宮は第9試合の6vs6イリミネーションマッチに、NOAH&NJPW軍を率いて出陣。新日本プロレスの悪党軍団「HOUSE OF TORTURE」と激突した。最後の一人となった清宮は、高橋裕二郎、EVILを連続撃破し、ノアファンの喝采を浴びた。
セミの屈辱をエネルギーに変えたGHCヘビー級王者・拳王は、かつて金剛をともに支えた征矢学との防衛戦で現チャンピオンの底力を見せつける。30分近い激闘の末に初防衛に成功。まさにメインイベント級の熱く激しいバトルだった。
有明アリーナを熱狂させた死闘に引き寄せられるように、潮崎豪がやって来た。タイトル挑戦を迫る潮崎に、拳王は「ベルトをかけてやる。ただお前も「I AM NOAHの決め台詞をかけろ」と、らしい要求を突き付けた。
1・13東京・後楽園ホール大会で拳王がベルトを、チームノアを結成した潮崎が「I AM NOAH」を掛けるGHCヘビー級戦のゴングが鳴る。拳王はもちろん、決め台詞を失いかねない潮崎も負けられない大一番となった。
メインイベントで飯伏に敗れたとはいえ、丸藤もまだまだ引くつもりはない。「どんなに叩けれようが、否定されようが、文句言われようが、一人になろうが、25周年で44歳。かませ犬にはならない。もう一回、駆け上がってみせる。負けていうのもなんだけど、なめんなよ。安く見るなよ」と意気軒高。
「ノア=丸藤を変えてみろ」と、試合に負けても強気な丸藤は「方舟の天才」として、今までノアを支えて来たというゆるぎないプライドがあるのだろう。その闘志は微塵も衰えていない。
現王者の拳王を筆頭に、次期挑戦者の潮崎、前王者のジェイク、元王者の清宮、ノアの象徴・丸藤、今回は獲得できなかったもののベルトに王手をかけた征矢・・・ノアには猛者がズラリと顔を揃えている。
これほど各選手が団体愛を叫ぶプロレス団体も珍しい。誰がノアなのか、誰が一番ノア愛があるのか。答えはリング上で出すしかない。
一体、誰が舵を取るのか。24年のノアマットはサバイバル闘争がいよいよ激化。熱い火柱が次々と何本も立ち上がる。間違いない。