山田洋次監督、小津安二郎監督の名作『東京物語』再演に「世界に一押しできる作品」
映画監督の山田洋次、俳優の水谷八重子、波乃久里子らが2日、東京・中央区の三越で行われた三越劇場初春新派公演『東京物語』の初日あいさつに登場した。三越劇場では毎年恒例の鏡開きが行われる予定だったが、1日に令和6年能登半島地震が発生したことから、自粛となった。コロナ禍もあり、三越劇場での1月新派公演は4年ぶりとなる。あいさつには出演者の河合雪之丞、丹羽貞仁、瀬戸摩純、喜多村一朗、児玉真二、田口守、石原舞子も出席した。
三越劇場恒例の初日あいさつ、地震の影響で鏡開きは自粛
映画監督の山田洋次、俳優の水谷八重子、波乃久里子らが2日、東京・中央区の三越で行われた三越劇場初春新派公演『東京物語』の初日あいさつに登場した。三越劇場では毎年恒例の鏡開きが行われる予定だったが、1日に令和6年能登半島地震が発生したことから、自粛となった。コロナ禍もあり、三越劇場での1月新派公演は4年ぶりとなる。あいさつには出演者の河合雪之丞、丹羽貞仁、瀬戸摩純、喜多村一朗、児玉真二、田口守、石原舞子も出席した。
同作は、日本を代表する映画監督・小津安二郎監督の名作『東京物語』(1953年公開)を、山田監督の脚本、演出で舞台化。2012年に初演され、今回が3度目の上演。20年に再演が予定されていたが、コロナ禍で中止になったため、今回10年ぶりの上演となる。
物語の舞台は昭和28年の夏。瀬戸内の尾道から久しぶりに上京してきた老夫婦が、子どもたちの家(東京・金町)をたずねた際の様子が描かれる。老夫婦は、それぞれの生活に追われた子どもたちからないがしろにされるが、血のつながりのない戦死した息子の妻だけが親身になってくれるという物語。
山田監督は「今ね、小津安二郎や彼の作品が静かなブームになっているような気がします」と語り、「つい先日も、あるフランス人に会った時、『フランス人はほとんどが小津安二郎を知っている。特に東京物語はほとんど知っている。日本人よりも知っているんじゃないか』と言われました」と明かした。「世界に一押しできる作品」と称賛する山田監督は、「再演ですが、もう一度、新しい作品を作るつもりで稽古をして今日に至りました。たぶん、みなさんが満足していただける作品になるだろうと思います」と言い、「舞台は戦後です。戦争のにおいが残っている東京が舞台。当時の日本人の暮らしを見つめる、そういう作品になれば」と語った。
広島・尾道から上京してくる老夫婦の妻・平山とみを演じる水谷は、「三越劇場に、とってもすてきなお家(うち)があるんです。今の東京では見られないお家です」と、舞台となる子どもたちの家のセットがあることを伝え、「縁の下の割れた植木鉢に蜘蛛の巣がはっていて、細かい畳のごみを拾いたくなるような、細やかなお家が建っています。そこで1か月、生活します。その暮らしぶりを見に来てください」と見どころを伝えた。
映画版で杉村春子さんが演じた金子志げ役を務める波乃は、「4年ぶりに新派が(1月の)三越劇場に帰って参りました。本当にうれしく思います。新派が一丸となって燃えております」と意気込んだ。26日まで。