NMB48安部若菜、初小説が連ドラ化 主演は異例の同グループメンバー「現役アイドルだからこそのリアル感」
現役アイドルが書いた小説が、同じグループのメンバーの主演でドラマになった。NMB48の安部若菜が2022年に出版した小説『アイドル失格』(KADOKAWA刊)が、BS松竹東急でドラマ化。主演は安部と歩んできたNMB48の山本望叶(みかな)で、1月13日からスタートする。キャスティングにも携わった22歳の安部に、小説に込めた気持ちやアイドルとしての抱負を聞いた。
テーマはファンとの禁断の恋愛”推されたのは山本望叶
現役アイドルが書いた小説が、同じグループのメンバーの主演でドラマになった。NMB48の安部若菜が2022年に出版した小説『アイドル失格』(KADOKAWA刊)が、BS松竹東急でドラマ化。主演は安部と歩んできたNMB48の山本望叶(みかな)で、1月13日からスタートする。キャスティングにも携わった22歳の安部に、小説に込めた気持ちやアイドルとしての抱負を聞いた。(取材・文=大宮高史)
――主人公の4人組アイドル『テトラ』メンバー・小野寺実々花の役には、安部さんが山本さんを推薦したそうですね。
「まず『実々花は絶対に現役アイドルでないと』と考えました。望叶はビジュアルももちろんですが、『悩みや弱みをなかなか他人に見せないところや、アイドルとして抱いている思いが実々花にマッチするな』と思って彼女に託しました」
――山本さんからはどんな言葉をもらいましたか。
「すごく喜んでくれたのとともに『プレッシャーと責任感もすごい』と言っていました。『小説を読んで、実々花にすごく感情移入して泣いてしまった』とも言ってくれて。アイドルとファンの“禁断の恋愛”がテーマなので、すごく生々しい内容なのですが、現役アイドルだからこそのリアル感のある実々花を見せてくれると思います」
――原作者として、ドラマへの期待感は。
「撮影現場を見学させてもらったら、『原作者や』ってイジられました(笑)。望叶はドラマ初主演ですが、『どんどん上手くなっていて先が楽しみ』とスタッフさんが演技を褒めてくれましたし、私が推薦した他のテトラのメンバー役のメンバー(上西怜、川上千尋、泉綾乃)も、日頃の活動に懸ける熱さやキラキラ感を見せてくれると思います。演じるメンバーにとっても、視聴者にとっても人生の糧になる作品になってほしいです」
――安部さん自身は、出演したいとは思わなかったんでしょうか。
「小説の中で私が考える理想のアイドルを書いたからこそ、『私が演じるのはおそれ多い』と思っていましたから、そこはメンバーの皆に譲りました(笑)。テトラのメンバーそれぞれに私の中での明確なイメージもありましたから、『生身の私が演じるのは無理だな』と。テトラの4人はもう、娘のような感覚で見てしまうし、逆にファンの役で、推しを眺めていたいです。『こんなグループが実在したら絶対推す!』という気持ちを込めて書いたので、チェキ会とかたくさん通ってしまいますね(笑)」
――執筆にあたって、参考にした作品やグループはありましたか。
「フィクションの『アイドルもの』は影響されないように、あえて遠ざけていました。NMB48での4人曲やももクロさんを参考にして、4人組のテトラのフォーメーションや、メンバーの目立たせ方を考えていました」
――小説にも込めた安部さんが考える理想のアイドル像とは。
「昭和のアイドルのような歌もダンスも何もかも完璧で手に届かないような存在です。実々花もそういう存在として書いたのですが、私がいざNMB48で活動してみると『そんな完璧にはなれない』と現実を痛感しました。理想と現実の間での葛藤はずっと感じてきたので、実々花にもそういう悩みを抱えている描写を加えました。やっぱり、幼い頃からアイドルが好きで、特に『ラブライブ!』の矢澤にこちゃんが推しでした。でも、架空のキャラクターに私はかなわないので、『理想との壁』を痛感したことが本を書く原動力になりました」
――そんな中で、連載などを獲得してきました。
「ブログで日常のこととか、今日のライブの感想をつづっていたら『わかぽんのブログは面白い』って反応をもらえるようになって『私の書くものを生かせるかも』と自信がついたんです。子どもの頃から本を読むことも書くことも好きでした」
大学では経済学を専攻「アイドルって何でもできる」
――ブログであいさつやキャッチコピーを決めたり、ルーティンにしていたことはありますか。
「そういう習慣を決めているアイドルの方もいますが、私はなかったですね。感じたことを素直に書いていたらほめてもらえるようになって『感情を文字にするのが得意なんだな』って気付きました」
――これから執筆してみたいジャンルは。
「青春ものですね。私も3年前まで高校生でしたから、当時の感覚を思い出しながら、若い子ならではの葛藤を書いてみたいです。でも、『アイドル失格』を書き上げるだけでも想像以上にしんどかったですから、どうなるか(笑)。一緒にいるNMB48のメンバーたちを主人公に、公演の脚本を書くのも面白そうです」」
――大学では経済学を専攻し、ファンに多才な面を見せてきました。
「NMB48に加入して通信制の高校に転校した時、投資部という部活をやってみてハマったのがきっかけですね。落語も好きでイベントで演じさせていただいたり……。でも、どれも中途半端でプロの方にはかなわないことが歯がゆくも思います。その気持ちを忘れないで、グループの活動に還元していければいいですね」
――夢だったアイドルの世界で活動をし続け、今の気持ちは。
「『思っていたより、アイドルって何でもできるんだな』と実感しています。普通の女の子が、本職の歌手やダンサーの方には及ばなくても、何にでもがむしゃらに挑戦できて、そこから長所を作っていける環境です。私の場合はそれが『書くこと』だったんです」
――あらためて、安部さんのアイドルとしての強みは。
「推していて、刺激のある体験ができることです。自分で言うのもなんですが、推しが小説を書いてドラマ化もされるなんてなかなかないことだと思います。そうやって、ファンをびっくりさせる活動を続けてファンと一緒に楽しんでいきたいですね」
□安部若菜(あべ・わかな)2001年7月18日、大阪府出身。18年にNMB48加入。趣味は落語、ゲーム、読書など。22年11月に小説『アイドル失格』を出版。今年3月に写真集『愛される予感』を刊行した。愛称は「わかぽん」。159センチ、O型。