2023年に強烈インパクトを放った北川景子&磯村勇斗 難役“怪演”で見せた新境地

2023年もさまざまな映画やドラマなど映像作品が多数世に送り出された。そんな中、非常に強く印象に残った俳優たちを振り返っていく。

磯村勇斗と北川景子【写真:ENCOUNT編集部】
磯村勇斗と北川景子【写真:ENCOUNT編集部】

今年もぶっちぎりの表現力を見せた磯村勇斗

 2023年もさまざまな映画やドラマなど映像作品が多数世に送り出された。そんな中、非常に強く印象に残った俳優たちを振り返っていく。(文=磯部正和)

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 まずは近年、質量ともに印象深い映画への出演が続く俳優の磯村勇斗だ。2023年も、『最後まで行く』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-運命-』『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編-決戦-』『波紋』『渇水』『月』『正欲』と7本の映画に出演した。どれも主演としてではないものの、作品にとっては欠かせない人物を好演した。

 特に、辺見庸の原作をモチーフに実写化映画化された『月』では、宮沢りえ演じる主人公・堂島洋子が勤務することになった重度障害者施設の同僚職員・さとくんを、現実に憤る圧倒的な狂気を持って青年として表現した。

 本作は、重度障害者たちをめぐる周囲の人々の“正義”が重層的に描かれる。一見すると、自分勝手な“正義”なのかもしれない表現もあるが、頭ごなしに正論を振りかざすことが、どれだけ怖いことなのかを、さとくんは体現する。磯村自身も「参加しないとダメだ」と直感的に思ったというが「それだけではやれない」と出演を決断するまで、かなりの覚悟を要したという。

「覚悟」というだけあって、劇中で磯村が演じたさとくんは、非常に生々しく、その狂気は戦慄が走るほど。パブリックイメージというものを念頭においてしまったら、尻込みしてしまうような役柄であり、磯村の俳優として作品に向き合うスタンスが強く表れているような作品だった。

 続いて朝井リョウの小説を映画化した『正欲』でも、ある特殊な指向を持つ青年という難役を演じた。磯村が扮(ふん)する佐々木佳道は自身の持つ“癖”を心の奥深くにしまい込み社会になじもうとするものの、疎外感や孤独感を感じながら生きているという青年。どこかでしまい込んでいた衝動が湧き出てくる瞬間を、磯村は非常に繊細に演じた。

 以前から爽やかなルックスからは想像できないような振り幅の広い役柄を演じてきた磯村だが、23年は深さにも磨きがかかった印象だ。先日最終回を迎えたドラマ『きのう何食べた? season2』の小悪魔的なジルベールを観てから『月』や『正欲』を観ると、さらに彼のすごさを感じることができる。

大河ドラマで2役を演じた北川景子

 もう一人、下半期に強いインパクトを与えたのが北川景子だ。03年にテレビドラマ『美少女戦士セーラームーン』で火野レイ(セーラーマーズ)として俳優デビューしてから、ちょうど20年という節目を迎えた。20年に第1子を出産し、23年9月には第2子を妊娠していることを所属事務所の公式サイトで発表したが、途切れることなく映画やドラマへの出演が続く人気俳優の一人だ。

 そんな北川だが、今年放送された大河ドラマ『どうする家康』では、お市とその娘である茶々の二役に挑んだ。北川自身「同じ顔の人間が違う人物を演じること」について難色を示したというが、脚本の古沢良太から「一人で二役をやるから面白い」という言葉を受けてチャレンジしたという。

 本作でのお市は、圧倒的な脅威として徳川家康(松本潤)の前に立ちはだかる織田信長(岡田准一)の妹という立場でありながら、家康びいきで物語に爽やかな風を吹かせる存在だった。ある意味で、凛(りん)としたたたずまいは北川のパブリックイメージに近い。

 一方で、物語の後半に登場する茶々は、母であるお市の思いを受け止めなかった相手として家康に負の思いを抱く女性。側室となる豊臣秀吉(ムロツヨシ)に取り入り、秀吉の死後は、豊臣家を意のままに操る野心家だ。

 血のつながりはあるものの、まったく性格の異なる2人の女性をどのように演じるのか――というのは非常に大きな注目だったが、北川演じる茶々の情念あふれる演技は、大きな反響を呼んだ。特に「大坂夏の陣」で豊臣家の最後を悟ったかのように血まみれになりながら自害するシーンで、家康が築こうとしている世を「やさしくて卑屈なか弱き者たちの国」と断じて果てる鬼気迫る姿には絶賛が相次いだ。

 元々目鼻立ちの美しさが際立つ役柄が多かった北川。お市で見せた凛とした爽やかさに加え、同一作品で凄味やどす黒さという人間の分厚さを表現したことは、今後の俳優人生において、さらに役柄の幅が広がっていくのではないだろうか――と想像させる演技だった。

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磯部正和

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